知能と情報
Online ISSN : 1881-7203
Print ISSN : 1347-7986
ISSN-L : 1347-7986
33 巻, 2 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
目次
巻頭言
特集:「パターン分類とクラスタリング」
特集解説
書  評
用語解説
会  告
学会から
編集後記
特集論文:パターン分類とクラスタリング
原著論文
  • 本多 克宏, 上野 雅哲, 生方 誠希, 野津 亮
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 33 巻 2 号 p. 593-599
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    観測値行列を非負の因子行列に分解する非負値行列分解(Non-negative Matrix Factorization:NMF)は,大気中の汚染物質の発生源分析などで活用されているが,最小2乗原理に基づいた更新モデルになっていることから,ノイズ観測の影響を強く受ける欠点がある.本論文では,ノイズファジィクラスタリングにおけるノイズ除去機構をNMFに融合することにより,ロバストな非負値行列分解法を提案する.観測点ごとのノイズ度を判定するファジィメンバシップを導入し,ノイズ観測点の影響を排除しながら行列分解を行うことで,ロバストなモデル推定を行う.数値実験においては,簡易な人工データによる特性の検証を行った後に,実世界の環境観測データへの適用を通して有効性を検証する.

  • 本多 克宏, 國澤 昂平, 生方 誠希, 野津 亮
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 33 巻 2 号 p. 600-607
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    複数の組織などに分散的に保存されたデータベースに対して,プライバシーを保護しながら協調的にクラスター構造を抽出することで,単一のデータベースのみからは知ることのできない潜在的な知識を発見する試みが種々提案されている.本論文では,k-Means型のプライバシー保護モデルを線形ファジィクラスタリングへと拡張するために,最小2乗基準を用いたFuzzy c-Lines(FCL)法に暗号化計算機構を導入する手法を提案する.要素ごと近似に基づくクラスタリング基準の利点を活用することで,データを保持する組織ごとに局所的な主成分ベクトルを算出することを可能とする.数値実験においては,人工データを用いて提案手法の特性を検証するとともに,センサーデータからの人の行動分析への適用を通して,有効性を検証する.

  • 津田 暢彦, 濵砂 幸裕, 遠藤 靖典
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 33 巻 2 号 p. 608-616
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    時系列データとは,時間変化する現象の情報を持つデータであり,その応用範囲は多岐にわたる.大規模複雑な時系列データを分析し,その特徴を抽出するデータ解析手法の1つにクラスタリングがある.時系列データのクラスタリングにおける重要な課題は,適切な非類似度の選択とデータに適したクラスタリングアルゴリズムの選択である.本論文では,時系列データに対するクラスタリング手法にサイズコントロールの考え方を導入することで,不均衡な時系列データを適切に処理する新たなクラスタリング手法を提案する.提案手法は,時系列データに対する代表的な手法である,Dynamic Time Warping(DTW)を非類似度に用いたk-medoids,Shape-based Distance(SBD)を非類似度に用いたk-medoidsおよびk-Shapeのそれぞれを拡張することで構築される.さらに,UCR Time Series Classification Archiveで公開されている12種類のデータセットを用いた数値実験を行い,提案手法の性能を検証した.数値実験から,Dynamic Time Warpingを非類似度に用いたサイズコントロール付きk-medoidsが,提案手法の中で最も良好なクラスタ分割を得ることを確認した.

一般論文
総説論文
  • 鳥居 拓馬, 日髙 昇平
    原稿種別: 総説論文
    2021 年 33 巻 2 号 p. 617-629
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    身体模倣は他者の行為から自分の行為を学ぶ社会学習の基礎といえる.模倣に関する仮説はいかにして模倣者が行為の同一性を認識するかの説明を求められる.本論文では,模倣のメカニズムに関する4つの既存の仮説を検討する.著者らが模倣の仮説に要求するひとつの基準は計算機シミュレーションやロボットでの実装可能性である.もし既存の仮説に不備や曖昧な点があれば,その仮説を素直に実装できず,実際に動作するものを作るには追加の前提が必要となる.本論文では,既存の仮説をその実装を試みた研究とともに批判的に検討することで,既存の模倣の仮説がもつ未解決問題や暗黙の前提を明らかにする.加えて,身体環境系を力学系とみなす立場から,力学的不変量に基づく著者らの模倣に関する仮説を簡潔に論じる.既存の仮説が身体姿勢の感覚表現の対応づけを強調するのに対して,著者らの仮説は身体動作の自由度(力学的不変量)の対応づけを強調する.

原著論文
  • 光田 航, 東中 竜一郎, 青野 裕司
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 33 巻 2 号 p. 630-639
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    雑談対話システムにおいて,ユーザが「システムに理解されている」という印象を持つことは重要である.そのためには,システムは自身がユーザ発話をどのように理解したか(発話理解結果)を伝える必要がある.しかし,発話理解結果の一部には,内容によっては,その伝達が好ましくない場合(例えば,相手を批判する内容や相手のプライバシーに関する内容など)も存在する.本研究では,雑談対話システムにおいて,どのような発話理解結果の伝達が好ましいか,好ましくないかを明らかにするため,発話理解結果を伝達する発話の効果を分析した.具体的には,多様な発話理解結果を伝達するシステム発話を作成し,被験者実験を通じて,どのような種類の発話理解結果であれば,その伝達が好ましいのか,好ましくないのかを調査した.その結果,ユーザの内面に言及する発話理解結果はその伝達が好ましくなく,ユーザの内面以外では,ユーザ自身に言及する発話理解結果はポジティブな極性の内容のものであれば伝達が好ましくなる場合があり,ユーザに関する客観的事実やユーザと無関係な一般的事実は極性によらずその伝達が好ましいということが明らかになった.本研究は,雑談対話システムの発話理解結果において,伝達が好ましいもの,好ましくないものを明らかにする最初の試みであり,得られた知見は今後,自身の理解を伝える雑談対話システムを構築する際の有用な指針になると考えられる.

  • 服部 凌典, 岡本 一志, 柴田 淳司
    原稿種別: 原著論文
    2021 年 33 巻 2 号 p. 640-650
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル フリー

    間取り図が賃料予測に与える影響を明らかにするために,間取り図を考慮した賃料予測モデルを構築し,間取り図の有無による予測誤差を検証する.間取り図の特徴抽出器には,主成分分析,Bag of Features(BoF),Fisher Vector(FV)を適用し,予測器には線形回帰とLightGBMを採用する.LIFULL HOME’Sデータセットを使用した賃料予測実験から,線形回帰においては間取り図を考慮することで,全てのカテゴリ(都道府県と間取り規格の組み合わせ)で予測誤差の95%信頼区間が短くなり,さらに,カテゴリによっては予測誤差の平均値が改善することを確認している.また,検討した3つの間取り図の特徴抽出器の中でBoFが最も予測精度が優れているといえる.

feedback
Top