廃棄物資源循環学会誌
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22 巻, 1 号
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年頭所感
特集:レアメタルリサイクル
  • 森下 哲
    2011 年 22 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
    レアメタルは製品の高機能化・小型軽量化に欠かせないが,輸出先国の偏在や市場価格の急激な変動があることから,安定確保が問題とされている。
    このため,レアメタルを含む使用済み製品 (例:液晶,電子部品,二次電池等) からのレアメタルの回収・リサイクルが十分に行われていないことに着目し,環境省および経済産業省では,適正かつ効果的なレアメタルのリサイクルシステムの構築を目的としたモデル事業と学識経験者等からなる研究会をスタートさせた。
    モデル事業は全国7地域で実施され,使用済小型家電の効率的な回収手法,レアメタルの回収ポテンシャル等が明らかになった。
  • ――リサイクルの関与物質総量 (資源端重量)――
    山末 英嗣, 南埜 良太, 奥村 英之, 石原 慶一
    2011 年 22 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
    わが国において,都市鉱山と呼ばれる使用済み製品の有効活用は喫緊の課題である。そのためには都市鉱山に含まれる種々の素材の「量」だけでなく「質」の評価も重要である。本稿では簡易代理指標として期待されている関与物質総量 (Total Material Requirement, TMR) について,その概念や指標としての位置づけを紹介するとともに,筆者が都市鉱石TMRとして拡張し,都市鉱山に含まれる元素・素材の「質」を評価する方法について紹介を行った。またノートPCについていくつかの推算結果を示すことでTMRの観点から見たリサイクル性について示した。そして,都市鉱石TMRという評価方法を用いることで,これまで見逃されがちであったりサイクルされない部分,すなわち「都市鉱石ズリ」の影響を評価できることを明らかにした。
  • 貴田 晶子, 宮崎 徹, 倉持 秀敏
    2011 年 22 巻 1 号 p. 19-27
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
    小型家電等からのレアメタル等の回収に関する動きがあるなか,製品に含まれているレアメタル等の実態把握も進められている。現状ではレアメタル等の標準分析法がなく,本報告ではレアメタルを含む39元素の一斉分析における標準法作成を目的とした活動を紹介する。標準法は電子電気機器の有害物質測定法であるIEC62321を基本として,多元素一斉分析ができること,製品に含まれる各種素材に共通して適用可能にすることを目標として改良した。分析操作の検討課題を検討するため,共通試料 (基板粉砕物と焼却灰粉砕物) を作成し,現在までの検討結果から現状で提示しうる3種類の方法を提示した。それらは,(1)王水/アルカリ溶融 (AgとTa等を除く多くの元素に適用),(2)フッ酸溶解 (Ta等フッ酸共存が必要な元素に適用,(3)6M塩酸抽出 (Agに適用) である。(1)と(3)は分析フローと標準手順書を準備している。(2)のTa等はまだ検討課題を残しているが,フッ酸共存の必要性は確認している。共通試料を配布することにより,レアメタル等分析における技術向上,精度向上が期待される。
  • 大和田 秀二, 中村 崇
    2011 年 22 巻 1 号 p. 28-32
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
    わが国のレアメタル資源戦略の概要とその循環利用に必要な技術要素を紹介するとともに,資源循環の最適化に資する新たな「蓄積・保管」システムの構築を提案した。また,(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構 (以下JOGMEC) にて過去4年間にわたって行われてきた「廃小型電子・電気機器からの希少金属の回収技術開発事業」の概要と,そのキー・テクノロジーである破砕・選別による廃電子機器からのレアメタル濃縮技術の検討例を紹介した。
    JOGMEC事業においては,電子基板からの実装部品剥離が重要な技術要素であること,それによって分離された基板は従来の非鉄製錬所にて金・銅等が回収できること,そして剥離部品はそれに含まれるレアメタル類を回収する新技術プロセスの開発が必要であること,などを記した。また,剥離部品の相互分離 (部品選別) によって各種レアメタル類の濃縮が可能であることも示した。
  • 原田 幸明
    2011 年 22 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
    都市鉱山開発における都市鉱石化技術とその位置づけについて述べる。都市鉱山開発には,分散,廃棄物,コスト,時代の4つの壁があり,破解・濃縮による都市鉱石化は廃棄物とコストの削減のために有効である。しかし,本来的には解体設計こそが重視されるべきであり,都市鉱石化は緊急避難に過ぎない。
  • 新井 義明, 古賀 沙織, 星名 久史, 山口 省吾, 近藤 比呂志
    2011 年 22 巻 1 号 p. 41-49
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
    使用済み家電製品を対象に既存の家電リサイクルルートで回収可能なエアコン,洗濯機のコンプレッサとモータに関して,希土類磁石 (ネオジム磁石) を使用している製品ごとの型式や特徴,使用比率,使用重量を調査し,回収可能量の試算を行った。また,組成分析評価や磁石特性評価を実施し,使用されている希土類磁石の特性を解析し,含有されるレアアースの品位から資源埋蔵量の推定や環境負荷低減効果の試算を行った。さらに,コンプレッサ・モータからの希土類磁石の効率的な回収方法の検討として,現在国内で行われているコンプレッサ・モータの分解プロセスに追加する形で希土類磁石の取り出し方法について技術検討を行った。これらの結果から,使用済み家電製品からの希土類磁石のリサイクルが可能であるとともに資源セキュリティーの面からもリサイクルの必要性を確認した。
  • 岡部 徹, 野瀬 勝弘
    2011 年 22 巻 1 号 p. 50-57
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
    日本はレアメタル資源のほぼすべてを輸入し,ハイテク製品を大量に生産するレアメタル生産大国であると同時にレアメタルの消費大国でもある。そのため,いまや国内には膨大な量のレアメタルが製品やその廃棄物という形態で蓄積されている。これらの廃棄物は鉱物資源をほとんど持たない日本にとっては貴重な資源となり得るため,廃棄物からのレアメタルの回収技術は重要であることは論をまたない。特にレアメタルの中でも,自動車用排ガス浄化触媒や電子機器材料に欠かすことのできない白金族金属は,産出国が南アフリカとロシアに極端に偏在しており,年間産出量もレアメタルの中でも極めて少なく,供給量に制限がある。また,BRICs諸国の経済発展に伴って,白金族金属の需要はますます増加すると予想される。本稿では,世界的にも関心の高まる白金族金属のリサイクル技術について乾式製錬プロセスを用いた手法を中心にその概況を解説する。
  • 棚町 裕次
    2011 年 22 巻 1 号 p. 58-65
    発行日: 2011年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
    昨今,レアアースを含むレアメタルは一般社会的な注目を集め続けている。2010年でいえば9月下旬の中国のレアアースの禁輸措置が日中関係をも危うくするほどの大問題となった。しかしレアメタルという言葉が一般新聞にも登場するようになったのは2005年頃から。相場の上昇とレアメタルへの関心の高まりがレアメタルとそのリサイクルビジネスの市場をも拡大させてきたが,レアメタルのリサイクルはブームに乗るほど簡単なものではない。
    金属資源の情報は,日本においては主に業界新聞という,まさに「業界のための」メディアでしかなかった。しかし今日,世界的にはインターネットを駆使したWEB形式へと急速に変貌している。メタルジャーナリズムという分野も日本では確立されていないが,今後はネットインフラを活用しながら中立的なスタンスを維持し,客観的に状況を論じていくWEB形式のメタルジャーナルが古典的なスタイルの業界新聞にとって変わることになるだろう。
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