医学教育
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33 巻, 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 特に評価の相反について
    杉浦 芳章, 吉住 豊, 尾関 雄一, 愛甲 聡, 松山 智一, 前原 正明, 田中 勧
    2002 年 33 巻 3 号 p. 157-162
    発行日: 2002/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    防衛医科大学校第2外科では1998年に卒後1年目の研修医合計25人に3か月間循環器, 呼吸器, 上部消化器各1か月ずつの臨床研修を行った. 研修医は5~7人の患者をスタッフの監督の下に受持医と担当した. スタッフ9名, 大学院生3名, チーフレジデント2名が研修期間終了時に, 教育目標である1) より臨床技術的能力, 2) 社会的能力, 3) 判断管理能力に関して, A水準以上, B水準, C水準以下, D落第の評価を観察法に付けた. 2) における責任感と積極性, 3) における過剰な検査かつ投薬への配慮, 迅速な併診依頼, 迅速な検査・手術のアレンジにおいて評価は相反した. また, 成績の悪い研修医の評価も不一致が多くみられた. 14人の評価者のうち4人に関してはいくつかの評価者間の相反がみられた.しかし, 大学院生3名, チーフレジデント2名の評価には偏りが少なかった. 評価者の熟練もさることながら評価者と研修医との人間関係も, 的確な評価をするために必要と考えられた. 評価は卒業生の昇進に影響する可能性があるから重要である.
  • 田中 越郎, 狩野 力八郎, 阿部 好文, 谷亀 光則, 白井 孝之, 長村 義之, 大塚 洋久
    2002 年 33 巻 3 号 p. 163-172
    発行日: 2002/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    “ミニッツペーパー” を用いた学生による授業評価が教員の授業改善に役立っているかを検討した.“ミニッツペーパー” は, 10段階評価が3項目 (総合評価を含む), 2段階評価が8項目からなる. 東海大学医学部で講義を行っている全教員202人を対象とし, 年間を通じて各自1回評価した. このうち73人は初年度 (1999年) と次年度 (2000年) の連続評価を用い, 初年度の総合評価得点により上・中・下位の3群に分けた. 次年度は, 上・中・下位では評価の向上は認められなかったが下位群では評価点数の上昇が認められ, その改善率も上・中・下位に比べ大であった. すなわち本学においては “ミニッツペーパー” を用いた授業評価は評価下位群の教員の授業改善に役立っている可能性が示唆された.
  • 山本 竜隆, 吉田 勝美
    2002 年 33 巻 3 号 p. 177-181
    発行日: 2002/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    近年欧米では代替医療の再認識・再評価が進み, 臨床現場でもこの分野の知識が求められるようになってきている. これに伴い医学教育の編成も行われ, 代替医療教育が導入されるようになりつつある. 今回, 聖マリアンナ医科大学予防医学実習で行った代替医療の講義と実習を紹介するとともに, 鍼実習の効果について調査を行ったので報告する. この結果, 十分な成果が得られたと判断し合わせて行った代替医療分野に関する学生の認識調査でも, 学生の関心が高く, 早期の医学教育への導入を希望する結果となった.
  • 熊谷 晶子, 玉井 幸恵, 礒橋 文秀
    2002 年 33 巻 3 号 p. 185-191
    発行日: 2002/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    生化学・分子生物学は, 実験的に検証されてきた学問であり, 実習がその教育において非常に重要な位置にある. そこで, 情報化時代の生化学・分子生物学教育を推進するために, ラーニングシステムの開発を行った. 実習室に, 学生2名に1台のノートパソコンを用意した. 実習室の学生パソコンと研究室のサーバ, パソコンなどを結んだネットワークを構築し, 学内LANを通してインターネットに接続した. このラーニングシステムは, 管理ソフトにより, インタラクティブに制御されている. すべての実習データをデジタル化し, パソコン上に取り込んで, 解析ソフト, グラフ化ソフトを利用した実習を行うことができた.このシステムは, 医科大学の生化学・分子生物学の教育において学生の理解, 教員の指導に非常に役立つことが明らかになった. 今後さらに, 学生の自学実習に役立つ, 動画も含めたラーニングシステムの開発を進める予定である.
  • 卒前医学教育における専門職意識の育成のひとつとして
    安陪 等思, 淡河 喜雄, 上野 隆登, 堀田 まり子, 林 明宏, 吉田 一郎, 早渕 尚文, 佐田 通夫
    2002 年 33 巻 3 号 p. 193-199
    発行日: 2002/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    【目的】医師となる過程に医療人としての自覚を認識するための明確な通過儀式がなかったので, これを白衣授与式として行った. 学生に対するアンケート調査を元に評価したので報告する.【方法】臨床研修として患者に初めて直に接する直前の2001年1月11日に第4学年112人を対象に白衣授与式を行った. 白衣授与式は学長, 医学部長, 病院長の出席を得て, 臨床の場にこれから第一歩を踏み出す学生に白衣と顔写真付きの名札を授与し, 医師を目指す医学生としての心構えを新らたにする目的で行われた. 式の翌日にアンケート調査を行い, 学生の意識調査を行った. 調査項目は医療に携わる責任感, 患者さんへの優しさ, 愛校心, 白衣に対する愛着, プロフェッショナルとしての意識, 医師としての使命感, 勉学する意欲, 厳粛な気持ち, 倫理的・道徳的生活を実行する意欲の9項目である. また, 教職員, 学生の聞き取り調査を加えた.【結果】アンケート調査のすべての項目において意識の向上が認められた (P<.0001). 約8割の学生が来年も引き続き行うことに賛意を示した. 確立した儀式の様式がないことに多少の問題もあったが, 意義深い試みであったとの評価を得た. 一方, 進級の決定と異なった時期であったので違和感をもった学生が多かった.【結論】不慣れな点もあったが教職員, 医学生ともに意義深い通過儀式としておおむね肯定的な意見が得られた. 医師としての専門職意識を育成するひとつの方法として有効な手段であると思われた. 今後は効果の継続性の有無, 意義, 利点や欠点について教職員と学生を含めた検討, 考察を行い, バランス感覚の取れた通過儀式として修正を加えたい.
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