2004年度に施行された新臨床研修制度以降, 医師不足が社会問題となり, 医師, 病院勤務医における過酷な勤務実態の影響が指摘されている. 今回われわれは多施設の研修指定病院において, 直接研修医の指導に当たる指導医479名を対象として, 労働時間, 当直回数や業務内容などの労働環境とメンタルヘルスについて質問紙法を用いて実態調査した.
1) 2004年度に全国8箇所で開催された指導医養成護習会およびプログラム責任者養成護習会に参加した大学病院勤務医および研修指定病院勤務医を対象に調査を実施した.
2) 新臨床研修制度開始後も指導医は平均月あたり100時間を越える時間外労働に従事しており, 2割以上の指導医は月160時間以上にも及ぶ時間外労働を行っていた.
3) 精神的健康度に関しては, 指導医の2割以上が抑うつ傾向を呈していた.
4) 臨床研修内容を一層充実させ, よりよい教育体制を構築するために, 診療業務の軽減, 勤務内容の配慮などにより, 臨床研修指定病院勤務医の労働環境を改善する必要性があると考えられた.
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