地域医療の崩壊が深刻な社会問題になっており,各種対策も立案実行されている.さらに医学教育においても,モデル・コア・カリキュラムの改訂や,各大学での地域医療教育の充実が図られている.本学においても地域密着型の地域医療実習を平成17年度より開始しており,本実習による学生の地域医療への意識・親和性の変化を調査した.
1)2006年4月から2010年7月までに地域医療実習を履修した494名を対象にアンケート(自己評価)を行った.実習開始前と実習終了時の計2回の回答が回収された.
2)アンケート調査項目をカテゴリーに大別すると,A−地域住民との活動(問1〜14),B−在宅高齢者との活動(問15〜28),C−自身の将来像(問29〜31)となった.
3)地域医療への自己評価は実習後に有意に上昇し,「C−自身の将来像」では,地方都市での病院勤務の選択が増え,農山漁村での勤務を希望する学生も見受けられた.
4)地域医療への誘導は,最初に医療でなく地域住民とのかかわりを強めること,次に自身での問題解決能力を高めることが肝要であると考えられた.
5)地域医療実習にて医学生が地域医療に理解と親和性を高め,将来的に地域での医療に従事するインパクトを与えられることが示唆された.
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