本稿は, 学習者評価に関して, 量的評価-質的評価のパラダイムによる分類を紹介したのち, パフォーマンスに基づく評価に軸足を置きながらルーブリックとEntrustable Professional Activities (EPA) について議論している. ルーブリックは明確な評価基準を提供するため, 学部教育や卒後教育において, 形成的評価として有効に機能することに期待が持てる. また, 観察評価においてルーブリックを用いることで, 複数の分野・診療科にまたがった共通の枠組みで, 分析的な資質・能力の評価を可能にする. 一方, EPAは指導医が研修医らに特定の専門業務を委託することができるかどうかを判断することで, 複数の資質・能力を束にして評価することができる. 医学教育においては多様な評価手法が存在するが, それぞれ利点と制限がある. それを理解したうえで, 当該評価を何のために行いたいのかという目的に基づいて, 適切な評価手法を選択し実行することが重要である.
抄録全体を表示