目的 : 医学科初年次生の必修科目「ヒト生物学」の授業改革で, 学生の授業外学習時間を伸ばし, 学習意欲と達成感の向上を目指すと共に, それらの関係を検証した. 方法 : 反転授業にし, 始業時にミニテストを行い試験の成績や順位を返却した. 3種の授業アンケートから学生の態度や行動, 達成感を分析した. さらに影響過程に着目し, 共分散構造解析で影響過程を検討した. 結果 : 一週間の授業外学習時間は4から10時間に増え, 授業満足度も上昇した. 授業改革は学生の授業外学習を増加させ, 授業態度の改善を媒介して, 結果的に学生の達成感を上げた. 結論 : 初年次生を授業外学習へ導く工夫が, 学生の学習時間を伸ばし, 達成感を高める.
指導者向けのワークショップにおいては, 参加した指導者が, 今後求められる教育スキルの重要性を理解し, 習得し, 明日からの実用に備えることが求められる. ロールプレイはスキル獲得の効果的な方法の一つだが, 寸劇を応用した方略を開発したので報告する. まず明日から目標とする指導上の目標を議論し設定させる. そののち, それぞれの教育現場に即した劇をグループで場面設定し, 先に設定した指導上の目標を反映させたシナリオを準備し, 配役を決め, 演じること, そしてお互いの劇を相互評価するのが主たる方略である. このようなアプローチは, 参加者の目標をより具体的にし, 実践の場での行動変容につながることを促進する可能性が示唆される.
学会国際化委員会では, 「医学教育分野での世界の潮流を踏まえ, 医学教育の実践および研究における国際交流の活性化を通じて学会全体の国際化に貢献する」という委員会方針のもと, 第50回医学教育学会大会学会において国際企画を運営した. 第50回記念大会である今年は1) インターナショナルセッション (ポスターおよび口演), 2) 国際パネルディスカッション, 3) 日韓招請講演の3企画を行った. いずれも秀逸な内容であり, 会場は多くの参加者が詰め掛け活発な議論が交わされた. 鈴木康之学会理事長を始め吉澤靖之大会長, 田中雄二郎実行委員長, 大会運営関係者, 学会員の先生方, 海外からの多くの教育研究者のご協力により滞りなく運営できたことを深謝し, 委員会の今後の課題と構想を踏まえここに報告する.