地域医療実習が多くの大学で導入されてきているが,そのカリキュラム評価は充分に行われておらず,特に,実際に学生が地域医療実習で何を学んだかについての定量的研究は実施されていない.
1) 2006年度の札幌医科大学5年生で実施された2週間の地域医療実習期間中に学生に課せられた毎日の振り返りシートをデータとして,学生が何を学んだかを分析した.
2)すべての振り返りシートが収集され,学生の記述から学びと考えられるものを抽出し,カテゴリー別に分類した.
3) 抽出された学びの総数は2243であった.知識,コミュニケーション,医療手技,臨床推論,診療マネジメント,患者マネジメントのカテゴリーに分類される学びは,それぞれ334,232,214,111,106,102あり,すべての学びの49.0%を占めた.
4) 地域,家族に関する学びは,それぞれ84,117,全体の3.7%,5.2%であり,他のカテゴリーと比較して多数とは言えなかった.
5)地域医療実習をより効果的にするために,地域,家族を学ぶための新たな方略を検討する必要がある.
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