医学教育
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46 巻, 2 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
特集
  • 後藤 英司, 福島 統
    2015 年 46 巻 2 号 p. 119-120
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー
  • 大生 定義
    2015 年 46 巻 2 号 p. 121-125
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー

     2010オタワ会議でのテーマグループの経験や定義についての新しい方向性について情報を共有し, 国内的には, 国際基準認証, 卒前・卒後研修, 指導医研修会についての話題を紹介し, 併せてプロフェッショナリズム教育についての私見を述べた.

  • 宮田 靖志
    2015 年 46 巻 2 号 p. 126-132
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー

     これまで様々な議論が重ねられてきたが, プロフェッショナリズムの定義は定まっていない. 定義の詳細な議論に終始することは妥当ではなく, プロフェッショナリズムは患者・社会からの信頼を得るためのものであるという基本的な概念を理解して, 実際に教育実践を行っていくことを優先すべきである.

     実際の教育に際して重要なことは, 状況依存的なプロフェッショナリズムを考えること, 個人だけではなく社会との関係にも焦点を当てること, 専門家個人と専門職集団の両方の属性を考慮することである. 行動のリスト, コンピテンシーを挙げるような規範に基づく教育に重点を置くのではなく, 省察を中心に据えた教育を行い, プロフェッショナリズム教育がひいてはプロフェッショナル・アイデンティティ形成につながるようにすべきである.

  • 錦織 宏
    2015 年 46 巻 2 号 p. 133-135
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー

     1999年にHardenがBest Evidence Medical Education (BEME) を提唱して以後, 主に英語圏から発信される医学教育研究の結果を科学的根拠として医学教育の諸問題について議論する潮流は強まってきている. 一方で, 文化や制度を考慮せずに医学教育, 特にプロフェッショナリズムのようなテーマについて論じると, しばしばその本質を見失う. 本稿では, 日本人医師のプロフェッショナリズムについて, 武士道をそのモデルとした論を紹介する. 本論が我が国における医師のプロフェッショナリズム教育の議論の土台となることを期待する.

  • ―武士道またはBushidoという『創られた伝統』からの脱却―
    野村 英樹
    2015 年 46 巻 2 号 p. 136-141
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー

     「武士道」は, 富国強兵を目指す明治時代の公定ナショナリズムの流れの中で「創造」された「日本人のアイデンティティ」である. 敗戦後, 国家主義的思想としての武士道は絶えたが, 新渡戸武士道は再び脚光を浴びている. しかし, 新渡戸武士道は本来, 切腹や敵討ちといった武士の行為を西欧人に説明することを主たる目的に英語で書かれた書物である.

     武士道に関する著述は, 武士という戦士階級に求められた職業道徳として, 明治時代に多くが記された. その中の一つである新渡戸武士道は, ヒトのもつ道徳的直観の中で, 保護, 公平, 忠誠, 権威の道徳性を重視する. 一方, 現代の医師の職業道徳では, 保護, 公平, 自由の道徳性が求められる. この違いは極めて大きく, 医師の職業道徳に武士道を持ち込むことは, 重大な倫理違反を引き起こす可能性がある.

  • ―千葉大学のプロフェッショナリズム教育―
    朝比奈 真由美
    2015 年 46 巻 2 号 p. 142-147
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー

     千葉大学医学部では多年次にわたるプロフェッショナリズム教育カリキュラムを実施している. カリキュラムは医学部単学部教育と専門職連携教育が組み合わされたものである. 学生は, 低学年ではプロフェッショナリズムの定義と倫理を講義や患者が参加するワークショップで, 臨床前には医師のシャドウイングを行うことで専門職としての態度と行動を学ぶ. 臨床実習では2回のワークショップで自らの態度と行動をプロフェッショナリズムの視点から振り返る. 専門職連携教育プログラムでは看護学部と薬学部の学生と共に, 学年に合わせた専門職連携のスキルを毎年学んでいく. 学生たちは, 他の専門職との対比を通じて医学教育の最も大切なゴールである専門職としてのアイデンティティーを修得する. 単一学部のプログラムと専門職連携教育プログラムの両方を毎年繰り返し行うことが, 学生の専門職としてのアイデンティティー修得に重要である.

  • ―慶應義塾大学の例―
    門川 俊明
    2015 年 46 巻 2 号 p. 148-151
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー
  • 野村 英樹
    2015 年 46 巻 2 号 p. 152-157
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー

     第18期倫理・プロフェッショナリズム委員会は2014年度より, 医師のプロフェッショナリズムの最終到達像を言語化する作業を開始した. 委員会主催のワークショップで発表された7グループのプロダクト, 委員会で従来検討してきたプロフェッショナリズムのあり方に関する知見, ならびに, 女性医師キャリア教育検討委員会によるキャリア形成能力の最終到達像を統合した原案を作成. これをインターネット上で公開してコメントを募集, さらに, コンセンサス会議を開催して委員会案を作成した. 委員会案では, 医師のプロフェッショナリズムの最終到達像を, 以下の7つのサブドメインに分類している.

     1. 患者や生活者との関係における医師

     2. 社会的使命への貢献

     3. 医師に求められる道徳性

     4. 多様な価値観の受容と公正性への配慮

     5. 組織やチームのリーダー/メンバーとしての役割

     6. 卓越性の追求と生涯学習

     7. 自己管理とキャリア形成

    今後, この委員会案をたたき台として, 学会での議論を通じてブラッシュアップを行っていく予定である.

  • 教育方略
    朝比奈 真由美, 宮田 靖志
    2015 年 46 巻 2 号 p. 158-159
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー

     ワークショップ「プロフェッショナリズム教育のコンセンサスを形成しよう」における2つ目のセッションである「教育方略 : 事例提示&SGD+全体討論」について報告する. 参加者は, プロフェッショナリズム・コンピテンスの以下の各段階におけるマイルスストーンをまず設定し, それに対応する教育方略を提示し, ディスカッションを行った. 1.入学時, 2.医学部低学年, 3.臨床前教育, 4.クリニカル・クラークシップ, 5.多年次 (6年間) 継続, 6.臨床研修, 7.生涯教育.

教育実践研究
  • 武田 香陽子, 石突 諭, 大野 裕昭, 島森 美光
    2015 年 46 巻 2 号 p. 161-170
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー

    目的 : 卒業基準を満たさなかった学生の学習状況の実態を把握し学習支援の在り方を検討する.

    方法 : 学習状況のアンケート調査を行い, その内容を成績別で比較した. さらに支援期間中の成績変化を解析した.

    結果 : 成績下位者は授業が理解できないため自習を希望していた. また, 卒業延期決定後から次年度授業開始までの顕著な成績低下が認められた.

    考察 : 授業が理解できず自習を希望する成績下位者に対しては授業前後の個別指導が必要と考えられた. また, 短期間で成績低下しないような分野 (領域) 横断型の勉強法の指導が有効と考えられた.

招待論文
  • 石川 和信, 鈴木 利哉, 奈良 信雄
    2015 年 46 巻 2 号 p. 171-177
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー

     平成26年10月にカナダ医学評議会を訪問し, Large Scale OSCEとして実施されている医師国家試験Part II を視察した. 2段階で実施されるカナダの医師国家試験のうち, 臨床研修後に実施される国家試験OSCEは, 指導医下ではなく単独で診療する能力を評価し認可する目的で実施される. 受験者は, 2日間に16ステーションをローテートし, 模擬患者との医療面接, 身体診察を行い, 画像診断, 検査データの解釈, 鑑別診断, 治療計画などの課題に取り組む. 長い実績を重ねているカナダの国家試験OSCEの実施体制や試験運用は, 本邦の医師国家試験におけるhigh-stakes試験導入を考察する上で参考にすべき点が多い.

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