医学教育
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42 巻, 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著ー探索的研究
  • 中川 和昌, 山田 圭子, 浅川 康吉, 吉田 亨, 牛久保 美津子, 佐藤 由美
    2011 年 42 巻 6 号 p. 337-345
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2013/03/25
    ジャーナル フリー
     国内の保健学教育において地域基盤型の教育システムの取り組みはまだまだ少なく,その学びの内容が明らかになっていない.本研究は群馬大学医学部保健学科で実施されている「地域交流教育」の一つ,オフキャンパス授業への参加が学生にどのような影響をもたらすのかを探索し,その有用性を考察することを目的とした.
    1)学生が提出した自由記載の感想文から,学生が抱いた感想,意見等を一つの意味をなす文単位で分解し,全ての文をKJ法にて統合し,得られた結果から学生にもたらした効果について探索した.
    2)得られた972の文から,「地域に出る楽しみ」,「得られた経験による活気向上」,「なりたい自分と足りない能力への気づき」の3つの大表札,その下に5つの中表札,20の小表札が得られた.
    3)参加学生はオフキャンパス授業を通じて活気向上,学内の授業への相乗効果といった良い反応を示していた.
    4)保健学教育における授業の一環として,オフキャンパス授業は有用な教育方法になる可能性が期待された.
報告
  • 小林 和馬, 田村 雄一, 林 啓太, 瀬上 和貴, 太田 裕一朗, 川﨑 健太, 安井 清孝, 山崎 元靖, 平形 道人, 天野 隆弘, ...
    2011 年 42 巻 6 号 p. 347-350
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2013/03/25
    ジャーナル フリー
    1)慶應義塾大学の学生団体Keio ACLS Popularizing and Promoting Association (KAPPA)は二次救命処置の普及を目的に活動している.
    2)KAPPAは8年間で学生を対象にACLS講習会を計29回主催(内20回は日本救急医学会認定)し,ICLS認定プロバイダー314人,ICLS認定インストラクター61名を輩出した.
    3)KAPPAの活動を支えた要因として,屋根瓦方式の教えあいといった工夫により講習会のクオリティコントロールを行ってきたことが挙げられる.
  • -スクリプトを用いた疾患想起トレーニングの試み-
    北 啓一朗, 小浦 友行, 江尻 浩子, 黒岩 麻衣子, 小林 直子, 山城 清二
    2011 年 42 巻 6 号 p. 351-356
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2013/03/25
    ジャーナル フリー
     臨床推論は重要な基本的診療技能であるが,卒前段階で十分に習得されているとは言い難い.我々はアクションリサーチの手法を用いて教材「症候足し算」を開発し,質的研究法により評価した.
    1)本学5年生に対し,当科実習中の2週間に約300疾患の足し算を修得することを目標に自習させ,毎日確認と質疑応答を行った.アンケートと半構造化面接,参与観察によりプログラムを評価した.
    2)学生は妥当性の高い鑑別疾患を挙げるようになった.本プログラムが学習態度を変容させたことが示唆された.
    3)指導医が病態生理や臨床経験などを交えて語り直すことが学生の理解を深めたと思われた.
    4)大量の疾患スクリプトを修得させることは卒前の臨床推論教育に有効な方法と考えられた.
  • 安井 浩樹, 安田 あゆ子, 青松 棟吉, 阿部 恵子, 平川 仁尚, 植村 和正
    2011 年 42 巻 6 号 p. 357-365
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2013/03/25
    ジャーナル フリー
    2004年以来,初期臨床研修に地域医療研修が導入されているが,その内容や成果は充分検討されているとはいえない.今回東海北陸6県の研修医,プログラム責任者,臨床研修協力施設を対象に,厚生労働省の省令における臨床研修の到達目標項目との関連性,研修期間,カリキュラム作成等についてのアンケート調査を行った.
    1)東海北陸6県の基幹型研修病院を通じてアンケートを行い,研修医または研修修了者230名,プログラム責任者82名,地域医療研修協力施設101施設より回答を得た.
    2)アンケートは,調査1(研修医対象),調査2(プログラム責任者対象),調査3(協力施設対象)の3つからなり,厚生労働省の研修目標との整合性や地域医療研修の満足度について質問した.
    3)研修期間,人数については,約70%の研修医,プログラム責任者,協力施設が適切であると回答し,多くの施設で地域医療研修プログラムの運営に適した設定となっていた.
    4)地域医療研修自体の有用性について研修医の69.1%,プログラム責任者の65.5%,協力施設の85.2%がとても有用,やや有用であると回答し,臨床研修制度の一部として定着していた.
    5)今後研修目標のうち「へき地・離島医療について理解し,実践する.」に適した研修プログラムの充実や,地域医療研修に対するプログラム責任者の積極的な関わりが必要と考えられた.
  • 筒井 美穂, 奈良 正之, 金村 政輝, 本郷 道夫
    2011 年 42 巻 6 号 p. 367-370
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2013/03/25
    ジャーナル フリー
    1)3年間にわたり東北大学病院総合診療部に臨床実習ローテートした医学部5年生を対象にアンケート調査を行い,理想の医師像とそのために必要なことを問うた.
    2)多くの学生が,「理想の医師像」として,患者に対して全人的で,誠実,気遣いと思いやりのある医師像を考える一方で,自らがロールモデルとなるべき医師でありたいとの考えも伺えた.
    3)必要なこととしては「理想となる医師を見て学ぶ」が最も多く,ロールモデルの重要性が伺えたが,少数ながら「悪い医師の影響を受けない」との回答もあり,潜在カリキュラムの影響力も示唆された.すべきこととして,①自らの内面的な成長を図る経験と②実践的なスキルを研く経験の大きく2つのことを考えていることが明らかになった.これらはいずれも大切なことであり,教員もこの2つのことを念頭にカリキュラムの作成や実習を行う必要があると考えられた.
  • ~総合診療/プライマリ・ケアをコアとする地域基盤型の卒前医学教育~
    若林 英樹, 鈴木 康之
    2011 年 42 巻 6 号 p. 371-374
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2013/03/25
    ジャーナル フリー
    1)英国の医学部卒前教育では,大学総合診療部門が中心となり基本的臨床能力の教育および,プライマリ・ケアの専門教育の両者を担っている.
    2)プライマリ・ケアの臨床実習は,内科,外科,小児科,産婦人科,精神科と並び5週間の必須科目であり,地域の診療所において行われている.
    3)指導医の養成が定着しており,地域で診療している多く総合診療医(General Practitioner)が指導医として医学教育に参加している.
委員会報告
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