医学教育
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29 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 藤崎 和彦, 津田 司, 伴 信太郎, 畑尾 正彦, 中村 千賀子, 大滝 純司
    1998 年 29 巻 2 号 p. 69-72
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    基本的臨床技能教育, とくに医療面接・身体診察の教育法とその評価法の普及を目的としてteacher trainingのためのワークショップを開催した.28大学28名の参加者があり, 2泊3日にわたって, 臨床技能教育の目標・教育方略・評価, 医療面接の教育法, 身体診察の教育法, SPの育て方, OSCEの仕事などについてワークショップを行った.ワークショップに対する参加者の評価は非常に高く, 定期的開催を望む声が多くあげられた.
  • 福井 次矢, 山本 和利, 吉村 健清, 大生 定義, 久繁 哲徳, 福原 俊一, Joseph GREEN
    1998 年 29 巻 2 号 p. 73-77
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    約5年前から提唱され, 急速に全世界な広がりをみせているevidence-based medicine (証拠に基づいた医療) の理解と実践に不可欠な臨床疫学は, いまや臨床医学の基礎科学として認識されるに至った.しかしながらわが国では, 現在までのところ, 臨床疫学の正式なカリキュラムを作成し教授している医科大学はない.
    今般, 日本医学教育学会臨床疫学教育ワーキンググループで, 15回のセッション (1回90分) からなる臨床疫学カリキュラム案を作成した.研究デザイン, バイアス, 交絡因子などの基本コンセプトの学習に続いて, 症例に基づいた検討, MEDLINE検索の学習などを行うものである.本カリキュラム案を参考にして臨床疫学の教育が多くの医科大学で開始されることが望まれる.そして, 先進的医科大学での経験を踏まえて, 今後, 本カリキュラム案が改善されることが期待される.
  • 宇都宮 俊徳, 諸岡 俊文, 木道 圭子, 小川 敏弘, 大坪 義彦, 龍 俊宏, 吉田 和代, 辻 信介, 徳島 卓, 松尾 修三
    1998 年 29 巻 2 号 p. 79-85
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    われわれは, 学生が循環器学のどの分野に対し, 理解が十分, または不十分と自覚しているのかを検討するため, 1年間にわたりアンケート調査を行って分析した.
    対象は1995年度に佐賀医科大学医学部5年生で, 系統講義および病棟実習を終了した96人である.アンケートでは, 各分野について,「十分理解できた」「大体理解できた」「もう少しで理解できそう」「理解できなかった」で自己評価させ, それぞれを3, 2, 1, 0点に点数化して統計分析を行った.
    理解度自己評価点数は, 心筋梗塞, 狭心症, 心電図判読で高く, 救急処置, 血管病, 心外膜疾患で低かった.自己評価点数は, 3年次の授業時間数とは有意の相関を認めなかったが, 分野ごとの講義後試験成績とはR=0.43の正相関を, 年間入院患者数割合とはR=0.93の強い正相関を認めた.個人の理解度自己評価点数は, 0.50~2.20点に分布し, 平均1.30点, つまり「もう少しで理解できる」であった.
    心筋梗塞や狭心症は, 講義時間は少ないものの, 病室実習で経験することが多いのに反し, 救急処置は経験する機会が少ないために, 理解度の自己評価点数に差を認めたと考えられた.学生には実例を体験させ動機づけすることが, 理解度を高めるよい方法と思われた.
  • 鮴谷 桂和, 安田 幸雄, 菅井 進, 瓦井 康之, 大谷 信夫
    1998 年 29 巻 2 号 p. 87-92
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    年次診断学の内科診察の実習と評価に, 本学独自のspeciality based physical examination (SBPE) 方式を導入し, 導入前後での内科診察実技能力の成績を比較検討した. われわれの考案したSBPE方式は各専門内科の医師がその専門分野の診察の指導と評価を行うもので, 1人の指導医が全身の診察を指導, 評価するのに比較して, 簡便で各教員への負担も少なく, なおかつ, その評価は正確であるという利点があった. しかし, 模擬患者の確保が困難なため医療面接の試験による客観評価は行わず, もっぱら身体診察のみによる臨床実技試験であり, いわゆるOSCEとは異なる. SBPE方式導入前の成績に比し, 導入後の成績では判定「不可」が著減し, 反対に判定「良」が著明に増加した. これはSBPE方式によって, 1) 専門医による正確な評価が行われた, 2) 本法導入が学生に対して積極的な動機づけを発揮したためと考えられ, 本法の有用性が実証されたとともに, その利点と簡便性のゆえに今後の普及が期待される.
  • 伊賀 幹二, 石丸 裕康, 八田 和大, 西村 理, 今中 孝信, 楠川 禮造
    1998 年 29 巻 2 号 p. 97-100
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    96年度に本院で採用された初期臨床研修医11名に対し, 卒業直後である本院採用直後より6か月間の心電図実習を行い, その成果について採用直後の心電図判読テスト結果と比較・検討した.研修医は, 採用直後では1か所のみ異常がみられた典型的な心電図を時間をかけて判読するときわめて高い正解率を示したが, 1枚の心電図に複数の異常をもつ例や, 正常例を混在させ短時間で判読させると, 採用直後に正解だったものまで間違うことが多かった.6か月後の心電図実習自己および指導医の評価では, 順序立てて判読する習慣をつけること, 基本的な心電図を判読することは可能となったが, 心電図から基礎心疾患を論じるにはまだ不十分であった.
  • 学生の医学研究への興味と動機づけの試み
    根本 則道, 桜井 勇, 熊坂 一成, 堀江 孝至, 竹洞 勝
    1998 年 29 巻 2 号 p. 101-105
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本学では平成8年度から, 学部学生を対象とした「医学研究最前線シンポジウム」(以下シンポ) を6年次の授業の一環として取りあげた.その目的は, 医学研究は良質な教育ならびに医療を支える上で必須であること, また, 既成の教育カリキュラムでは体験できない研究の面白さを感受してもらうことである.さらに, 学生が将来研究者を指向する可能性も考慮し, 研究に対する好奇心の萌芽を刺激する意図も含んでいる.このような学習法に対する評価には時間を要するが, 参加者のポストアンケートからは, 医学生の潜在的な知的好奇心を刺激し, 医学・医療における将来の選択の幅を広げる上で有効であると考えられた.今日, 医学教育の内容は多様化してきており, また, 医学・医療に対する社会的要請も従来とは様相を異にしてきている.このような要請に応えるためにも, 知識伝達型にとらわれない教育カリキュラムの構築が必要と考えられる.
  • 松田 隆子, 石原 陽子, 福井 由理子, 肥塚 直美, 尾崎 真, 山浦 常, 渡辺 伸一郎, 神田 尚俊, 大澤 真木子, 成松 明子, ...
    1998 年 29 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    テュートリアル教育を円滑かつ有効に行うためには, 役目を理解し, 技能や態度を修得したテュータを事前に養成することが必要である.本学では, テュータは基礎系および臨床系教職員が担当するが、その養成状況と今後の課題を検討した.1988~1997年にテュータ養成を受けた教職員1,077人のうち, 現在在職の養成済み教職員は935人 (基礎系115人, 臨床系820人) である.養成は1989年以前は本学内で1990年より白河セミナーハウスにて2日間の養成プログラムに基づいて行われている.年度あたり担当テュータ数は192人で基礎系対臨床系は3: 7の割合である.テュータ担当の経験回数は基礎系では, 4回以上が約半数を占めるが, 臨床系では1回経験が過半数であり, テュータ未経験者も多い.養成プログラム受講後のアンケート調査では, テュートリアル教育の理念や, 具体的なテュータの役割が理解でき, 学外でのトレーニングは日常の仕事から隔離され集中できたという意見が大多数であった.今後, さらにテュートリアル数育を推進していくためには, この教育に対する関係者の理解や相互協力に加えて, 技能や態度を十分に備えたテュータの育成を行う上級プログラムの提供が必要であることが示唆された.
  • 新田 陽子
    1998 年 29 巻 2 号 p. 113-115
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    か所のホスピスを見学したところ, 理念, ケアの形態, 宗教などで, 3者3様の個性がみられる一方,「ホスピスの中心, 主役は患者だ」という点は共通してみられた.音楽療法はじめ, 薬物によらない除痛法が大変興味深い.今後の問題点としては, ホスピスへの理解, 学生教育があげられる.ホスピスに対する偏見を取り除き, 正しい理解を深めていくことは, ケアを充実させるためにも, 必要不可欠な課題である.
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