医学教育
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34 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 高屋敷 明由美, 岡山 雅信, 三瀬 順一, 大滝 純司, 中村 好一, 梶井 英治
    2003 年 34 巻 4 号 p. 215-222
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    わが国のプライマリ・ケア (PC) に関する卒前医学教育カリキュラムの現状を把握することを目的として・全国の大学医学部・医科大学における1) PCカリキュラムの現状に対する認識, 2) PCカリキュラムの導入状況について自記式調査を行った. 70校 (有効回答率88%) から回答を得た. PC教育はさまざまな科で担当されており, PC医の役割を教える講義は42%, 地域医療実習は65%, 保健福祉実習は80%で導入されていた. PC講義・実習とも10年間で実施大学数が3倍以上に増加したが, 医学部長・医科大学学長の6割以上が現行のPC教育を不十分と認識していた. それに関連する要因の解析では, 必修の診療所実習の有無との関連性が観察された.
  • 池崎 澄江
    2003 年 34 巻 4 号 p. 223-228
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    慢性疾患の増加と患者の消費者としての主張により, 最近は相互参加型医療 (mutual participation model) が唱えられるようになってきた. これまでのパターナリスティックな医師と患者の関係から, 両者が相互に情報を共有し, 患者も治療に主体的に取り組む関係に転換しつつある. 相互参加のためには医師と患者の視点の違いをコミュニケーションによって緩和し, さらに患者の参加を促進するような情報提供を行う必要がある. コミュニケーションがもたらす影響を医師と患者の両者を対象にした実証研究で明らかにし, コミュニケーションスキルの医学教育に役立てていくべきである.
  • 今道 英秋, 鈴川 正之
    2003 年 34 巻 4 号 p. 229-235
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    へき地に勤務する医師の研修カリキュラムは確立していない. 研修施設や指導医に求められる条件も含め, へき地医療に従事する医師ばかりでなくすべての臨床医に必要な基本的素養も示した研修カリキュラムを作成した. このカリキュラムについて, 大学病院 (20名) と第一線医療機関 (4名) に勤務する医師に対し調査を行った. 大学の医師は, より長い研修期間が必要であり, 研修項目が多すぎると回答するものが多く, 第一線医療機関の医師はへき地医療を目指す医学生・研修医にとって有用であると回答した. へき地に勤務する医師のための研修カリキュラムを策定することで, 研修の改善を図ることが必要である.
  • 米国家庭医療レジデンシーから学ぶもの
    ビッグズ ウェンディ, 北村 和也, フェターズ マイク, 伴 信太郎
    2003 年 34 巻 4 号 p. 239-244
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    学生や研修医に幅広い臨床能力を身に付けさせるためには, 系統的トレーニングを提供する必要がある. 総合診療研修のモデルとなり得るのが米国の家庭医療レジデンシーである. 家庭医療の価値観とは初期診療, 継続性, 包括性, 協調性, 地域医療, 人としてのケアの重視である. プリセプティングはレジデント教育の柱であり, 3年間で一人前の家庭医を育て上げている. 地域の家庭医療センターでは大学スタッフとレジデントが診療を行い, 米国では質の高いプライマリ・ケアの提供に必要な価値観やスキルを教える臨床教室としてその価値が証明されている. このシステムは日本で外来診療を中心としたトレーニングを行うために十分参考になるであろう.
  • 武田 裕子, 大滝 純司, 松村 真司, 田坂 佳千, 中村 俊夫, 岩崎 榮, 福井 次矢
    2003 年 34 巻 4 号 p. 245-249
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    プライマリ・ケアに属する健康上の諸問題の多くは外来診療で扱われるため, 外来教育の充実が必須である. わが国の医学教育において, プライマリ・ケア領域の内科外来診療教育がどのように行われているか, 全国の大学医学部・医科大学80校並びに臨床研修指定病院389施設を対象に調査研究を行った. 調査は平成13年2月に郵送法による記名自記式の質問紙により実施された. 卒前教育では, 回答のあった65大学の78.5%にあたる51大学が外来教育を行っていたが, 外来教育を受ける学年や講義・実習の時間数は大学間で大きな開きがあった. 卒後臨床研修で外来教育を行っているという回答が得られたのは, 一部実施も含めて104施設 (26.7%) にすぎなかった.
  • 澤田 芳枝, 佐藤 哲郎, 王 娜仁, 劉 暁, 佐藤 邦雄, 矢野 新太郎, 酒巻 哲夫
    2003 年 34 巻 4 号 p. 251-256
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    近年, 医師が患者の立場を理解することの重要性が問われている.研修医にアンケートを行ったところ, 卒前教育として医療制度・経済や医の倫理について履修すべきとの回答を多く得たので, 2000年から, 医学科5年生を初診外来患者に終日同行させ, 医療の問題点を認識し, その解決法を討論する臨床実習を実施した.学生は, 会計終了後, 診療報酬明細書を出力し, 担当した患者の各種診療行為とその保険点数を確認した.実習後, 患者の気持や立場が理解できた, 待ち時間が長い, 保険点数が高いなどの感想をレポートした.これは, 医療人に対して, 患者に接する際の基本的素養を育てる実習であると考える.
  • 谷田 憲俊, 磯部 孝彦, 石原 通雄, 小田 進幸, 土井 正明, 楢崎 正名, 橘高 通康, 鈴木 敬一郎, 関 眞, 垣下 榮三, 新 ...
    2003 年 34 巻 4 号 p. 261-269
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    第1学年次「医の倫理」教育について, 2年間にわたる学生からの評価をまとめた.科目は症例のグループ討論を主とし, 主要な倫理課題については講義した. 両年度で異なる点は, 2年目グループ討論のテユートリアル方式採用である. 学生は, 講義はわかりやすく, 倫理課題に関する症例検討も理解し可能だったと評価した. 科目全体に対する評価も多くは肯定的だった. 両年度の比較では, 半数を超える項目で後年度の方が学生の評価は高かった.両年度評価の違いより, グループ定員を少なくしたこととテユートリアル方式導入で討論が活発だったことが後年度の高い評価につながったと考えられる. これらの結果は, 学生側も「医の倫理」教育を肯定的に評価したことを示すと考えられる.
  • 相補代替医療の国際会議におけるワークショップ
    鶴岡 浩樹, 鶴岡 優子
    2003 年 34 巻 4 号 p. 271-275
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    相補代替医療 (Complementary and Alternative Medicine: CAM) の医学教育導入の重要性が認識されているが, 何をどう教育するのか, これまで一定の見解がない. 本稿は相補・代替・統合医療国際研究会議で行われた医学教育ワークショップの報告である. NIHのプログラムとして卒前教育を行う4大学のカリキュラムが紹介され, 教育導入の方法やEBMに焦点をあてた討論がなされた. カリキュラムは多分野の専門家を組入れた学際的なものが望ましい. 教育内容についてはEBMを導入しCAMを適切に評価する能力を養うこと, CAMの知識を身につけ, 受け入れる態度を養うことなどが強調された.
  • 仲野 堅太郎, 白壁 聖亜
    2003 年 34 巻 4 号 p. 277-279
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    われわれは医学部2年次の夏休みの間, Pennsylvania州のPhiladelphia市にあるThomas Jefferson Universityにおいて, 2週間米国の医療や医学教育を学ぶ機会に恵まれた. 夏休みという特殊な時期のため, Jefferson Medical Collegeの授業は, 3年次の精神科の講義を数時間受講するにとどまり, 主にThomas Jefferson University Hospitalにおいて, 医師や学生について, いくつかの科を回らせていただいた. それらすべての経験を通して, 日米の医療の違いを肌で感じ, さらに今後自分たちが目指していく医師像というものを考えるきっかけを得た.
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