医学教育
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46 巻, 5 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
教育実践研究
  • 〜救急外来研修中の重症高齢患者診療についての質的研究〜
    入江 仁, 加藤 陽一, 安 炳文, 山畑 佳篤, 太田 凡, 山脇 正永
    2015 年 46 巻 5 号 p. 401-408
    発行日: 2015/10/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー

    背景 : わが国では心肺停止状態を含む重症の高齢患者が救急外来に来院した場合, 来院後まもなく人工呼吸器装着などの積極的治療の適否を決めざるをえないことがある. この問題を初期研修医がどう認識しているかを探索的に調査し, より効果的な研修方法を提案する.

    方法 : 初期研修修了時の研修医に対し半構造化インタビューを行い, 質的解析を行った.

    結果 : 研修医は患者家族に指導医が行う面談をもとに<医師が決める面談>または<中立的な面談>のいずれかを好むようになる傾向がみられ, 面談の見学が与える影響が大きいことが示唆された.

    考察 : 指導医は研修医が救急外来で治療方針に関する面談を見学する機会を積極的に設けるべきである.

  • Fundamental Simulation Instructional Method (FunSim) 受講者サーベイより
    赤嶺 陽子, Benjamin W. Berg, Mari Nowicki, 大内 元, 阿部 幸恵
    2015 年 46 巻 5 号 p. 409-418
    発行日: 2015/10/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー

    目的 : SimTikiシミュレーションセンターの日本人対象国際的シミュレーション指導者養成コース (Fundamental Simulation Instructional Method : FunSim) のアウトカムと日本人参加者にとってのシミュレーション教育導入の障壁を明らかにする.

    方法 : 73項目から構成されるウェブベースのアンケート調査. 教育効果の評価にはKirkpatrickモデルを用いた. レベル1 (反応) とレベル2 (コンピテンシー, 学習) の質問では7段階Likert scaleを用い, レベル3 (行動変容) の質問では4つの「はい」または「いいえ」で答える質問を用いた. 障壁については, 12項目を5段階Likert scaleで評価した.

    結果 : 283人中, 178人 (63%) が回答. 受講言語は英語47.8%, 日本語57.3%であり, 「言語障壁があった」と回答した人数に両群間で有意差は認めなった. レベル1 (コースへの反応) では, 「内容は役に立ったか」を問う質問に対して88%が7段階中5以上と回答し, レベル2 (自信とコンピテンシー) を問う質問では, 「受講直後」よりも「現在 (アンケート調査時) 」において有意に低下した (P<0.05) . レベル3 (行動変容) を問う質問では, 受講前後のシミュレーション教育活動を行っている人数は68人から112人へ有意に増加した (P<0.001) . シミュレーション教育導入の障壁は「施設・専用の部屋」に比較して, 「シミュレーションスペシャリストの確保」, 「指導, 指導者育成のための時間確保」, 「十分な指導教育を受けた指導者数」, 「施設内での指導者育成」, 「自分自身の指導技術」において有意にスコアが高かった.

    考察 : FunSim受講者のコースに対する反応は概ね良好であった. 受講時の言語障壁は明らかではなかった. 受講者の施設でのシミュレーション教育導入の障壁に関して, 多くの受講者は人的要因が問題であると回答した. 仕事量軽減や適切な人材確保など, 組織全体を巻き込んだシステム構築が今後の課題である.

短報
  • 大口 明日海, 北村 悠, 長瀬 大, 水野 敬悟, 恒川 幸司, 今福 輪太郎, 村上 啓雄, 西城 卓也
    2015 年 46 巻 5 号 p. 419-424
    発行日: 2015/10/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー

     地域医療への志向性や診療科選択について地域枠学生と一般枠学生の比較をした意識調査は少ない. 本研究は岐阜大学医学部医学科の1〜5年生を対象に, 将来働きたい勤務地や医療機関, 希望する診療科, 地域医療のイメージに関する質問紙調査を行った. 欠損値のない回答者335名 (地域枠 : 一般枠=81 : 254) を分析対象にした. 一般枠学生に比べて地域枠学生は, 都市部より地方の中核・小規模病院での勤務を希望し, 小児科のようなプライマリ・ケアの要素が強い診療科を希望した. また, 学年を通して地域医療にポジティブなイメージを抱いていた. 今後は, 卒後, 地域枠学生が実際にどのように地域医療に従事していくのか追跡する必要がある.

  • ―現状と今後の課題―
    原田 芳巳, 平山 陽示, 和久田 佳奈, 大滝 純司
    2015 年 46 巻 5 号 p. 425-428
    発行日: 2015/10/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー

     プライマリ・ケアの基本的な診療能力を修得するには外来研修を行うことが必要と考えられる. しかし外来研修の実態は明らかにされていない. 全国大学病院の初期研修医の総合診療の外来研修に関する調査を行った.

     全国の大学医学部付属病院 (本院) 80施設を対象に, 初期研修医の外来研修について質問紙調査を行い, 39施設から回答を得た. 初期研修医の外来研修を行っている病院は34施設あり, そのうち, 診療時間内の外来研修を行っているのは26施設であった. 関連病院との "たすき掛け" で外来研修を補完している施設もみられた. 問題点として頻度の高い疾患の患者が少ないことを, 今後の課題に地域との連携を挙げる施設が多く見られた.

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