医学教育
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35 巻, 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 2つのイベント前後におけるアンケート調査の解析
    永島 幸枝
    2004 年 35 巻 5 号 p. 291-301
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    脳死, 臓器移植に関する医学部1年生および4年生の知識, 態度, 行動について, 臓器移植法の施行および初の臓器移植による影響をアンケート調査により検討した. 脳死判定法を含めた知識は法施行後に有意に増加した. 脳死および臓器移植への態度は法施行後に4年生で肯定的となったが1年生では異なった. 移植後に4年生ではほとんど変化しなかったが1年生では否定的となった. 自己ないし家族の臓器提供の行動は, 法施行後に4年生で増加したが1年生では不変だった. 移植後は4年生では両者ともに著しく減少した. 医学生の反応は単純でなく学年差も見られ, 知識の増加・態度の変化は行動の肯定的変化を引き起こさなかった.
  • 上野 隆登, 吉田 一郎, 犬塚 裕樹, 堀田 まり子, 鳥村 拓司, 安陪 等思, 香野 修介, 林 明宏, 渡邊 誠之, 赤木 禎治, ...
    2004 年 35 巻 5 号 p. 303-308
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    医学部4年生の基本的臨床技能実習時に実施するOSCEと筆記試験, 5年生の臨床実習終了時に実施するOSCEと筆記試験, 6年生に実施する卒業試験を各1年ごとすべて受験した96名の医学部学生を対象に各学年次の成績に関する解析を行い, 卒業できた6年生と留年した学生間, および医師国家試験合格者と不合格者間の各年次における試験の合計点の平均値の比較検討, 卒業と国家試験への各学年試験成績の関連性の検討も行った. 各学年次試験成績は各学年間で有意な正の相関を示した. 卒業できた6年生と卒業できなかった学生間の各学年次試験成績の平均値は卒業生の方が卒業できなかった学生群に比較して有意に高い点数であった. また, 国家試験合格者群と不合格者群との各学年次試験成績の比較では, 各年次共に国家試験合格者群の方が高い点数であり, 6年次成績では有意差が見られた. これらの結果より, 医学部4年生に実施する基本的臨床技能実習と5年生の臨床実習が6年生の卒業試験成績に繋がり, ひいてはその成績が医師国家試験の結果に影響を及ぼすことが示唆された.
  • 大塚 洋久, 灰田 宗孝, 長村 義之
    2004 年 35 巻 5 号 p. 309-313
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    多肢選択試験 (MC-test) の項目には, 採点に含めないことで試験全体としての品質が低下する有益項目と逆に改善する妨害項目があると考え, 情報関数を応用してその区別を行う方法を開発して, MC-testの品質管理に役立てることを検討した. 1993年度東海大学6年次MC-testにおいて, 全316項目中, 妨害92, 有益224 (70. 9%) であった. 有益項目と妨害項目では通過率, 識別係数に差があること, 有益項目の比率は識別係数平均値より形式間の差を鋭敏に検出することが示唆された.
  • 卒後臨床研修必修化後のモデル・プログラムを目指して
    松岡 角英, 酒井 玲子, 佐藤 隆史, 石川 広己
    2004 年 35 巻 5 号 p. 321-326
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    近年わが国では, 子供の養育者の育児不安が増大し受療ニーズが増加していること, および小児科医数の減少により, 小児科救急医療体制の不備が深刻な問題となっている. その解決策の1つとして, 卒後臨床研修の必修化を機に「プライマリ・ケア小児科研修」の充実を図ることで, 小児科を専門科としない医師の小児科一次診療能力を向上させることが挙げられる. 卒後臨床研修にふさわしい小児科研修とは「育児支援の視点を持ちながら小児科一次診療に対応できる能力を育成する研修」にほかならない. 将来どの診療科に進む医師でも適切に小児科一次診療に対応できるよう, 卒後臨床研修プログラムが整備されていくことを切に訴えたい.
  • 石川 雅彦, 前沢 政次
    2004 年 35 巻 5 号 p. 327-330
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    プライマリ・ケアの卒前実習は極めて重要な課題である. 今回, われわれは北海道大学医学部において2002年10月から2003年7月に行われた卒前プライマリ・ケア実習を検討した. とである. 学生のレポートから実習内容を分析・検討した. 結果は, 参加学生の30. 7%がプライマリ・ケアの必要性を指摘し, プライマリ・ケアの展開における診療技術や医療への取り組みの重要性が指摘され, 93. 6%が本実習の有用性があるとした. 課題としては, 実習期間が短い, 交通費の費用補助の点などが上げられたが, 今後, 適正評価の方法も含めて, 課題を解決していきたい.
  • 宮下 次廣, 清水 一雄, 足立 好司, 荒牧 琢己, 志村 俊郎, 檀 和夫
    2004 年 35 巻 5 号 p. 331-336
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    本医科大学第4学年綜合試験の総括評価としての有用性を評価するため, その直後に行われた共用試験の成績と比較した. 対象試験は2002年度に行われた2回 (9月500題, 1月350題) の第4学年綜合試験と共用試験CBT試行試験 (2月300題) である. いずれも第4学年93名全員が受験した. 統計学的検討には散布図とピアソンの相関係数を用いた. 9月綜合試験, 1月綜合試験, および2回の綜合成績と共用試験の成績との相関係数は, それぞれ0.45, 0.67, 有しており総合能力を評価するツールとして有用であると思われた.
  • コンピュータリテラシーから情報リテラシーへのシフト
    中川 肇, 林 隆一, 宮脇 利男, 寺澤 捷年
    2004 年 35 巻 5 号 p. 337-342
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    5年次学生を対象に医療情報クリニカル・クラークシップを開始した. 2つの目標を設定した. 1点目は病院情報システムの理解である. オーダ実習を体験するとともに, セキュリティポリシー, 患者プライバシー保護を学習させた. 2点目はプレゼンテーション能力の向上である. 医療情報関連のテーマを与えて, ネット上で文献を検索させ, 10分以内に発表させた. 実習終了後にアンケートを行った. この中で, ほぼ全員が熱心に取り組んだと評価していること, 自分で調べてきたことを相手にわかりやすく説明することの意義および実習が卒後に役立つであろうと70%の学生が認めていた. これは情報リテラシーの必要性を意味したものと推察された.
  • 吉井 千春, 山内 浩之, 金子 弘史, 矢寺 和博, 川尻 龍典, 城戸 優光
    2004 年 35 巻 5 号 p. 343-347
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    肺音聴診シミュレータ“Mr. Lung”の教育効果を, OSCEでの使用の有無で比較検討した. 対象は2001年度と2002年度の産業医科大学医学部5年生. 2001年度のOSCEは模擬患者を使って聴診手技を評価した. 2002年度はOSCEの前に1か月間学生が“Mr. Lung”で自習し, OSCEでは“Mr. Lung”を用いて聴診手技の評価に加え呼吸音の異常を解答させた. その後のポリクリで肺音聴診実習に先立ち, 学生に“Mr. Lung”で3症例の肺音の「異常の部位」と「異常の種類」を解答させる小テストを行った. 2001年度学生vs. 2002年度学生の小テスト正答率は, 「呼吸音の左右差」36.9% vs. 35.4%, 「coarse crackles」52.5% vs. 55.8%, 「fine crackles」34.1% vs. 58.3%(p<0.05), 「wheezes」69.2% vs. 70.8%, 「rhonchi」62.1% vs. 90.7%(p<0.01), 「stridor」22.2% vs. 32.6%と2002年度学生の正答率が上回る傾向を示した. OSCEで“Mr. Lung”を使用し, 自由に自習できる環境を整えることによって, 学生の肺音聴診能力が向上する傾向が認められた.
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