目的 : ほめられた経験が看護学生の学習動機づけに及ぼす影響を検討する.
方法 : 先行研究を参考にほめられた経験を測定する尺度を作成し, 看護学生を対象に質問紙調査を行った.
結果 : 因子分析の結果, 「個人へのほめ」 (α=.93) と「行動へのほめ」 (α=.89) の2因子が抽出された. 学習動機づけへの影響を検討した結果, 行動に対してほめられた経験が多い群はより内発的な動機づけが高く, 外的動機づけは低い傾向にあることが示された.
考察 : ほめられた経験は看護学生の学習動機づけに有用であり, より内発的な動機づけを高めるには学生の行動に焦点を当てて評価する必要性があることが示唆された.
「人を対象とする医学系研究」と「医学教育研究」の共通点及び相違点を明確にした上で, 医学教育研究に特化した研究倫理の問題をどのように改善していくかについて, 以下の具体的な例 : 1) 授業評価データを後付けで研究にするとき ; 2) 立場の弱い学生を対象にするとき ; 3) 多施設共同研究 (複数の大学でアンケートを取る場合など) について考察を行った. 今後は適切な手続きや十分な配慮が必要であることを意識した議論を呼びかけたい.
本学会は日本医学会の分科会の中では特に「教育現場」に密接に関連している. ここでは今後の検討材料とするために, 以下の具体的な事例 : 1) 学生・研修医を巻き込んだセミナー・昼食会・企業名入り教材 ; 2) 学術大会のランチョンセミナー ; 3) CME関連の講演会等 ; 4) シミュレータ ; 5) 自著の教材使用, を提示し, 短い考察を加えてみた. 将来ある学習者を指導する立場としての認識をどうもつか, 現場に見過ごされている問題がないか今後の議論を期待したい.
本誌でのプロフェッショナリズム特集において, 武士道が日本人医師のプロフェッショナリズムのモデルとなり得るか否かの論文が掲載され, その後, 岩田論文でこの問題が検討された. 私見では, 日本人医師のプロフェッショナリズムは錦織論文が推奨する武士道そのものではなく, 武士道の基礎となる儒学, 特に孔子の教えにあると考える. 一方, 野村論文にて商人道として紹介された三方よしは, 家族利益主義を基本とするものであり, "利" を追及しない日本人医師のプロフェッショナリズムとは相異なる. "医は仁術" の "仁" について論語を用いて学ぶ事が, 本邦におけるプロフェッショナリズム教育の基盤となると思われる.
第63回日本心臓病学会学術集会特別企画「General Cardiology Hangout」において, 東京医科大学のラーニングポータルサイトである「e自主自学」e-Portfolioを用いて, Personal response system (PRS) と自由コメントを収集することで自由度の高い双方向のセッションを経験した. PRSと自由コメント型の意見収集により, 学術集会での双方向セッションを効率的に行うためには, 意見・情報を有機的かつ適切に抽象化・統合化することができる能力をもったファシリテーターの養成と, より自由度・安全性の高いツールの活用が必要である.