医学教育
Online ISSN : 2185-0453
Print ISSN : 0386-9644
ISSN-L : 0386-9644
44 巻, 6 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
原著
  • ―2年次OSCE(医療面接)での学生の学びの分析を通して―
    平山 朋子, 松下 佳代, 西村 敦, 堀 寬史
    2013 年 44 巻 6 号 p. 387-396
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2015/07/06
    ジャーナル フリー
    背景 : 理学療法士養成版の客観的臨床能力試験(OSCE)を作成し,それに,映像によるグループリフレクションを組み込んだ「OSCEリフレクション法(OSCE–Reflection Method : OSCE-R)」を開発・実施した.本研究の目的は,このOSCE-R(2年次用)の概要を紹介し,それが学生の学びに与えた影響を検討することにある.
    方法 : 理学療法学科の2年生91名を対象に,グループリフレクション前後のOSCE得点比較,リフレクションシート分析,アンケート調査およびインタビュー調査を行った.
    結果と考察 : OSCE得点が有意に上昇し,リフレクションや患者理解の重要性を学んでいた.また臨床実習との組み合わせは,学校と現場(理論と実践)を往還しながら学ぶという学習の過程を作りだした.
  • 成瀬 均, 高橋 敬子, 鈴木 敬一郎
    2013 年 44 巻 6 号 p. 397-405
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2015/07/06
    ジャーナル フリー
    背景 : 本学では平成22年度より4学年次症候学にTBLを導入した.
    方法 : その効果と問題点を学生に対するアンケート調査とともに検討した.
    結果 : 最終成績は65点前後から90点前後まで幅広く分布し,評価としての識別が良い科目となった.アンケート結果では通常の講義型学習と較べて学習効果があったとする学生が多かったが,ピア評価はよくなかったと考える学生が圧倒的に多かった.重回帰解析ではこれらの回答結果と成績の間に関連はみられなかった.談合を行わなかった学生は他のグループより成績が良かった(p=0.048).
    考察 : TBL最終成績はCBTの成績と相関し,特に症例形式問題の成績向上に寄与している可能性がある.
  • 福島 啓, 落合 甲太
    2013 年 44 巻 6 号 p. 407-413
    発行日: 2013/12/26
    公開日: 2015/07/06
    ジャーナル フリー
    背景 : 日本では病院の規模によって初期研修の質に差があるかどうかは明らかになっていない.
    方法 : 地域中小病院での初期研修の特徴と課題を明らかにするために研修医に対するフォーカスグループとその質的分析を行った.
    結果 : 研修医が担当医ではあるが主治医機能を持って多職種で困難患者にかかわることが地域中小病院の初期研修の中心的な価値となっている.また,問題点として救急医療や専門科での研修の機会が不足しやすいことがあげられた.
    考察 : 地域中小病院で研修医は多職種で困難患者にかかわる生物心理社会モデルでの問題解決を学ぶ研修を行っていることが明らかになった.
短報
  • ―実習後の意識調査による検討―
    有働 幸紘, 久米 健, 渥美 里沙, 真崎 翔一, 新居 憲, 木村 直暁, 大原 義隆, 竹田 清
    2013 年 44 巻 6 号 p. 415-419
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2015/07/06
    ジャーナル フリー
    背景 : 近年,相補代替医療の教育を行っている医学部は多いが授業形態などは様々である.今回は病院実習中の医学生に鍼灸実習並びに鍼灸への意識調査を実施した.
    方法 : 病院実習中の医学部5回生(93名,1グループ2〜3名)を対象とした.約1時間の鍼灸実習後,鍼灸に関する基礎知識,興味の程度,技術の習得などについてアンケート調査を行った.
    結果 : 実習後,鍼灸への興味は有意に増加し,多くの学生が将来鍼灸の技術を身に付けたいと回答した.講義内容のうち,初めて聞いたとの回答が最も多かったのは療養費についてであった.
    結語 : 病院実習中に鍼灸の教育を行うことで,医学生の鍼灸治療に対する興味が増すと考えられた.
招待論文
  • 二至村 菁
    2013 年 44 巻 6 号 p. 421-428
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2015/07/06
    ジャーナル フリー
      《学士課程修了者のみを医学部に入学させる》という8年制医師養成教育計画は,1945年末に連合軍総司令部(GHQ)内の日本医科学審査委員会によって提案され,1946年からGHQ公衆衛生福祉局のクロフォード・F・サムス局長によって推進された.この計画は厚生省の医学教育審議会の賛成を得たが,文部省の教育刷新委員会の安倍能成座長が敗戦国日本の困窮を理由に強硬に反対し,GHQ民間教育情報局も協力せず,廃案となった.
      日野原重明氏は学士課程修了者を対象とする大学院医学校を計画しておられるが,もし実現すれば戦後先進国となった日本が初めて18歳ではなく22歳の成熟した学生を医師として養成するという興味深い試みとなろう.
総説
  • 錦織 宏, 西城 卓也
    2013 年 44 巻 6 号 p. 429-438
    発行日: 2013/12/06
    公開日: 2015/07/06
    ジャーナル フリー
      本稿では学習者の評価ツールについて概説する.
    ●周到に計画された適切な評価が,学習者の望ましい学びを形成し,また動機を促進する.
    ●評価の実施においては,教育的効果と学習への影響について最大限の配慮が必要である.
    ●「知っている」ことは「できる」ことを保証しないが,「できる」からといって「知っている」ことを保証するものでもない.
    ●アウトカム基盤型教育の効果を引き出すべく,豊富な情報をもたらす,継続的かつ包括的なプログラム化された評価のデザインと実践が求められる.
    ●教育機関全体で,その評価の重要性を十分に共有した上で,教育資源を配慮して,実現可能な評価を推進することが望ましい.
追悼特集
掲示板
  • 根路銘 安仁, 大脇 哲洋, 桑原 和代, 新村 英士, 嶽崎 俊郎
    2013 年 44 巻 6 号 p. 461-465
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2015/07/06
    ジャーナル フリー
      医学部入学定員は平成19年より急速に増加しており多くを地域枠学生が占めている.過去の調査で「医師不足地域での従事」において,専門医取得は大きな要素であった.鹿児島県の地域枠は全国よりも3年間早く開始され来年度から後期研修が開始される.彼らが専門医も取得可能なキャリア計画を提示することは喫緊の課題であり現在の制度情報を元に検討した結果,専門医の取得が困難であった.本問題は鹿児島県だけの問題でなく,数年後全国の医学部の卒業生の約2割が地域枠学生であることを考えると全国的な問題であり,彼らが専門医取得困難である現状は改善しなければならない.そのためには,各方面からの取り組みが必要である.
ニューズ
feedback
Top