医学教育
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32 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 安田 晃, 柳樂 真佐実, 孫 暁光, 津本 周作, 山本 和子
    2001 年 32 巻 2 号 p. 69-75
    発行日: 2001/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    テュートリアル教育の効果を学生の学習に対する自己評価によってどこまで把握できるか明らかにするために, 1998年度医療情報学実習受講学生 (医学科2年生) を対象に, 実習日ごとに19項目の質問を記述したテユートリアル評価シートの記入を学生に求め, 項目間の類似性に着目し多次元尺度構成法およびクラスター分析で解析した. その結果, 実習期間を通してテユートリアル評価シートの項目は思索・行動軸と協調軸に分割でき, 項目間の類似性を求めることができた. 実習期間の初期, 中期では与えられた課題に対し学生の意識は分散している様子が数量化できた. さらに実習終了時には学習すべきテーマの重要性を認識していることが数量化でき, 終了時の学習意識に変化が見られた.
  • フェターズ マイケル, ザモルスキー マーク, 佐野 潔, シュウェンク トーマス, 伴 信太郎
    2001 年 32 巻 2 号 p. 77-81
    発行日: 2001/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    臨床実習におけるクリニカル・クラークシップの有用性が注目され, 文部省も積極的に推進している. 本論文は名古屋大学医学部で開かれた, 米国と日本の学生の臨床実習についてのシンポジウムをもとに, クラークシップの本来の姿を示すために, 米国の医学教育および臨床実習の概要, 米国の学生として経験したクラークシップ, 日米両国の学生の観察に基づいた評価, 米国のクラークシップの問題点などについて述べるとともに, 米国のクラークシップに参加した日本の医学部6年生の感想についても紹介した.クラークシップの本格的導入までにはいろいろな隆路が予想されるが, クリニカル・クラークシップの導入は日本の医学教育の質を大いに向上させると思われる.
  • 看護学生と一般学生を対象とした倫理演習
    村岡 潔
    2001 年 32 巻 2 号 p. 83-86
    発行日: 2001/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    近年,「脳死・臓器移植」などの先端医療の登場によって医療上の倫理的決定は複雑・多様化しており, 有効な応用医療倫理学の教育方法が望まれている. こうした背景から筆者は, 看護学生と一般大学生の集団に,「脳死」状態のケーススタディを用いた医療倫理演習プログラムを試みた. そして, 症例の具体的情況 (患者の人工呼吸器をはずすべきか否か) と一般論的な設問 (脳死は人の死か?) を対比することによって, 理念的定義 (タテマエ) と現実的選択 (ホンネ) との間にある判断の違いが検出された. この結果は, 学生の意思決定の基盤にある論理の検証に有用であり, こうした具体性をもつケーススタディは倫理教育の導入に適していると思われた.
  • 藤野 敏則, 永田 行博
    2001 年 32 巻 2 号 p. 87-93
    発行日: 2001/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    医療費財源の不足が大きな社会問題となってきている. 産婦人科医における保険診療に関する考え方の実態を知る目的で, 日本産婦人科学会鹿児島地方部会会員 (鹿児島大学医学部および附属病院勤務産婦人科医, 国公立病院勤務産婦人科医, 開業産婦人科医あるいは私立病院に勤務する産婦人科医) を対象に, それらの事項につき, 1999年8月にアンケート調査を行った. 鹿児島大学医学部および附属病院勤務産婦人科医 (大学および附属病院勤務) 17名, 国公立病院勤務産婦人科医 (公立勤務) 25名, 開業産婦人科医あるいは私立病院に勤務する産婦人科医 (開業) 56名からそれぞれ有効回答が得られ, 回収率は全体で63%であった. 大学および附属病院勤務, 公立勤務, 開業の3者とも多くのものは保険診療のルールを考えながら診療しており, またそうすべきであると考えていた. しかし, 大学および附属病院勤務と公立勤務では保険診療についての知識の程度が低く, また職場で上司の医師から保険診療につき教えてもらっているものは少なかった. 開業では, 大学医学部および附属病院での研修期間中に保険診療のルールにつき教えてもらったものはわずかであった. 大学および附属病院勤務, 公立勤務, 開業の3者のほとんどが大学医学部および附属病院での教育の中に保険診療の項目を組み込むべきであると考えていた.
  • 井上 仁, 飯塚 舜介
    2001 年 32 巻 2 号 p. 99-106
    発行日: 2001/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    今日では, 大学生のコンピュータ使用経験には大きな差が見られる. このような学生に対して, 各人のモチベーションを維持しながらコンピュータリテラシー実習を行う方法として, 動画像を用いたCAI (computer aided instruction) 方式の試みを行った. 動画像はMicrosoft WordとMicrosoft Excelの操作方法を説明するものである. 学生は, それらの画像が保存されているサーバーコンピュータにアクセスし, コンピュータに表示される動画像を見ながら操作方法を習得することができる. 基本的な操作方法の説明はコンピュータに任せることで, 教官は学生への個別対応に専念できた. 学生の反応も好意的であったが, 進行が遅い学生への配慮と, 動画像の作成については考慮すべき点があった. 今回の試みは, 少ない教官で多くの学生を相手にするコンピュータリテラシー実習の方法として有効だと考えられた.
  • 伊賀 幹二, 小松 弘幸, 石丸 裕康
    2001 年 32 巻 2 号 p. 107-111
    発行日: 2001/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1999年度に採用された11名の1年目研修医全員を対象として, 医師免許取得直後の5月とその3か月後に心臓病患者シミュレーター『イチロー』を用いた2回の診察実習を行った. それぞれの到達目標を, 1回目の実習では順序立てた身体診察法の習得と正常所見の理解, 2回目の実習では異常所見の検出とした. 1回目の実習1か月後の時点では,「内頸静脈拡張の有無」「頸動脈触診による収縮・拡張期の判定」「S2の呼吸性分裂の有無」「収縮期雑音の最強点および放散」については全員がルーチン診察のチェック項目としていた. 2回目の実習前後における心疾患に対する聴診能力では, ほとんどの研修医が上達したと自己評価した. 初期研修開始1年を経過した時点では, 内頸静脈と頸動脈拍動の分析はなお不十分としたが, 順序立てた診察法の習慣化, ギャロップ音と3/6度以上の心雑音の検出に関してはほぼ可能であるとし, 大動脈弁疾患および僧帽弁疾患の存在診断についても全員が可能であると自己評価した. 到達目標を明確に設定し, 短期間に繰り返し行った『イチロー』を用いた診察実習は, 研修医に順序立てた診察を習慣づけ, 異常心音・心雑音を注目する動機づけとなり, その診察能力を向上させた.
  • 堤 明純, 石竹 達也, 的場 恒孝
    2001 年 32 巻 2 号 p. 113-116
    発行日: 2001/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1991年度から1998年度に国内の社会医学系教室からわれわれの教室に送付された学生実習報告書153冊をレビューし, 医の倫理とそれに関連する課題がどのように取り上げられているのかを検討した. 医の倫理とそれに関連する課題を扱っている施設数を年度別に集計した. さらに1998年度の報告書をもとに, その実習方法について検討した. 本領域の課題を扱った施設はゆるやかな増加傾向を示していた. 実習は第3学年から第5学年を対象に行われており, 学習期間は3か月から12か月に及んでいた. すべての施設で小グループ学習が行われていた. 大部分が学外に出てほかから学ぶ能動私な実習を行っていた.
  • 上野 隆登, 吉田 一郎, 堀田 まり子, 安陪 等思, 鶴田 真, 香野 修介, 淡河 喜雄, 林 明宏, 江口 春彦, 宮島 一郎, 渡 ...
    2001 年 32 巻 2 号 p. 117-122
    発行日: 2001/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    卒前教育の一環として態度教育のために医学部4年生98名を対象に患者付き添い実習を実施し, 終了後に学生と患者へのアンケート調査を行い, この実習の有用性について検討した. 2週間で学生全員が実習できた.患者からのアンケートの回収率は70%であった. 実習生の身だしなみ, 挨拶, 言葉づかいは87%以上, また, 患者の安心度, プライバシー, コミュニケーションへの配慮は86%以上が良い印象であった. 患者の77%がこの実習に賛成で反対はいなかった. 学生へのアンケートの回収率は99%であった. その79%は実習に賛成であった. 反対は14%で, その理由の多くは学生自身が既に患者として受診体験があるためであった. 以上の結果から, 患者付き添い実習は患者・学生双方にとって有益な試みであり, 学生にとって患者側から見た医療を考える動機付けになることが示唆された.
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