背景 : 近年, 大学における教員業績評価が求められている. 文部科学省が実施している大規模調査の解析では, 教育関連の項目が増え, 利用では待遇や雇用への反映が拡がっている.
方法 : 文部科学省調査ならびに自大学運用例を解析した.
結果 : 既に多くの大学で導入され, 待遇に反映するため教育のみならず研究, 診療も評価を行い, 賞与加算も行われていた.
考察 : 教員業績評価は必須であり, 既に多くの大学で導入されているが, 医学部の業務は多岐に渡り, すべてを数値化して評価することは難しい. 今後は評価方法の確立と適正な利用方法の標準化が求められる.
近年, 臨床医学教育における教員の役割は, 講義のみならず, 臨床現場での教育, 小グループでの教育, 教育上の管理運営が加わり, 増大かつ多様化している. このような状況の中で, 臨床系教員は, 臨床医学の教育業務を複数の教員で組織的に分担して実施することで, 研究業務や診療業務との両立をはかっている. 教育業績の評価方法は, このような臨床医学教育における教員の多様な業務や複雑な実施体制に対応する必要がある. さらに, 研究や診療の業績と同様に, 量的かつ質的に教育業績を評価する新しい方法の確立が必要である.
目的 : 札幌医科大学「地域包括型診療参加臨床実習」指導医に対する教育評価やインセンティブの実態の把握
方法 : 本実習の指導医に対する教育評価およびインセンティブ付与に関する実態および意識調査を地域基幹病院長および学生の指導医を対象に行った.
結果 : 臨床実習および初期臨床研修の指導に対して教育評価やインセンティブ付与が行われている病院は少数であった. インセンティブに関する意識調査では, 不要と回答した指導医は54.2%であった. 指導医個人よりも実習病院へのインセンティブ付与を求める意見が多かった.
結語 : 学外での臨床実習に際して実習病院に対するインセンティブの要否を検討する必要性が示唆された.
背景 : 臨床や研究と比較し, 医学部教員の教育における貢献や業績を適切に評価する尺度がない. 今回, 日本医学教育学会業績評価委員会の医学教育業績評価シートを用いて, 教員の教育業績を調査し, 職位や専門領域による差異を検討した.
方法 : 全国医学部の教員が評価シートの20項目について5段階で自己評価したものを集計, 解析した.
結果と考察 : 教育ユニット以外の部署に所属する教員は講義や実習といった現場教育に比較して, 試験や教育制度の運用管理には, あまり貢献していない傾向が見られた. また, 職位が高いほど, 教育への貢献が大きい傾向が見られた.
結語 : 本評価シートは医学教育業績を評価する標準的尺度として活用できる.
2008年12月に出された中央教育審議会の答申「学士課程教育の構築に向けて」において, 教員の教育業績を多面的に評価するという観点からティーチング・ポートフォリオが取り上げられた. それ以降, 日本でもティーチング・ポートフォリオを作成する教員は年々増えており, 教育活動を可視化するツールとして, その有用性は認められている. しかしながら, 今のところティーチング・ポートフォリオは主に教育改善にのみ活用され, ティーチング・ポートフォリオによる教育業績評価についてはあまり議論されていない. そこで, 本稿ではティーチング・ポートフォリオを紹介するとともに, これを用いた教育業績評価方法について述べる.
医学教育の質を保証し, 有能な医師を育成して国民の健康を守るための医学教育分野別評価が世界各国で進められている. 教育の中心をなす教員については, 教育, 研究, 臨床等における業績をバランス良く評価し, 採用, 昇進, 昇給などに反映することが重要で, 分野別評価基準にも明記されている国が多い.
背景 : 本研究では, 新人教育を行った経験が先輩看護師の意識に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.
方法 : 先行研究を参考に尺度を作成し, 先輩看護師を対象に調査を行った.
結果・考察 : 因子分析の結果, 先輩看護師が新人教育において抱く意識には「新人肯定意識」「新人嫌悪意識」「新人教育肯定意識」の3因子が抽出された. 新人教育の経験との関連を検討した結果, 新人教育担当者の経験や研修の受講経験は先輩看護師の新人看護師や新人教育に対する肯定的な意識を高める一方で, 新人看護師に対する嫌悪的な意識も高めてしまうということが明らかになった. 今後は, 現行の新人教育における具体的な問題点を探る必要性がある.
目的 : 女性医師のライフイベントとキャリアについて調査し支援に必要な要素を検討する.
方法 : 岡山大学卒業・入局の女性医師1,374名にライフイベント, 就労, 満足度等についての質問票を送付した.
結果 : 臨床医360名の解析を行った. 結婚, 出産時期は多くが適切としたが (82.1%, 65.2%), 若年層で遅くなる傾向があった. 子どもがいる医師 (70.2%) では臨床の満足度は変わらなかったが, 研究, 教育の満足度が低かった. 常勤の原職復帰者 (32.2%) は非常勤者と比べ満足度が高かった. 復職時に上司の理解, 家族のサポート等が必要とされた.
考察 : 理解の促進を含む環境整備とキャリア教育・支援が望まれる.
Cooperative, active learning such as Problem-Based Learning, or PBL, and Team-Based Learning, or TBL, is gaining popularity in medical education in Asian countries. Cambodia has been exposed to few, if any, such educational methodologies. Here, the author conducted a week of Hybrid Educational Activities between TBL And PBL Program (HEAT APP) with Cambodian medical students and postgraduate trainees. Further practices and studies will clarify the real value in this specific setting.
背景 : 本学では国際化を促進する目的で2007年度に医学科国際交流センターを設置し, 09年度から留学生受入プログラムを開始した.
方法 : 2008年度から13年度までの学生派遣・受入状況及び協定締結とその成果について評価を行った.
結果 : 学生派遣数は2008年度の0名から13年度の12名, 受入数は0名から14名, 協定校は0校から3校と増加し, 組織的な学生交流を開始できた. 海外渡航奨学金申請件数も2件から22件と増加した.
考察 : 受入制度による国際化に対応した大学としてのアピール, 内なる国際化, 受入の公式化, そして国際交流に特化したセンターの設置による情報の一元化と連絡の円滑化が学生相互交流増進に寄与した.