(1) オキシン法によるタングステン,ヴァナヂウム及びモリブデン,クロル・オキシン法によるチタン,鐵及び鋼竝にプロム・オキシン法によるチタン,鐵及び銅の諸金屬重量分析に於て各金屬錯鹽の乾燥に關し應用すべき適當なる温度範圍を研究せり.
(2) 既發表の結果と熱天秤によるもそれとを對照するに次表の如し.
(3) 上記三方法による各金屬錯鹽に無水蓚酸を混じ加熱分解し成分金屬をして共酸化物に變じ秤量する場合に就き下表の如く應用すべき適當なる温度範圍を定め,之れを利用せる實際分析の結果重量分析として本法適用の可能なるを確めたり.
(4) ブロム・オキシン法によるチタンの定量に於て加熱乾燥による處理法は應用温度の範圍狹小にして一般的意味より重量分析への本法適用は好適ならず.寧ろ無水蓚酸處理によりTiO
2に變じ秤量するを得策とすべきを述べたり.
(5) 題示三分析法何れの場合を問はず無水蓚酸處理による重量分析に於て應用温度の安全範圍は相當なる低温に初まる關係上,斯る處理には硝子濾過器を使用し濾過次で加熱分解へと連續的に實驗を進め得る便あり.
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