W
VIがマラカイトグリーンTi
IIIの間の反應に接觸作用を有することを利用してWの2~20γの定量を行つた.
1) W
VIの接觸作用を受け微酸性に於けるマラカイトグリーンの濃青緑色はTi(SO
4)
2を亞鉛アマルガムで還元して得たTi
IIIで無色に還元される.其の褪色の速度をプルフリッヒの光度計で測定してWの量と其の時間との關係を求あると時間の逆數と直線的な關係を有することを見出した.そこで種々なる量のWについて褪色の速度を測定しWの量と褪色反應の速度との關係を表す直線を決定した.その直線を用ひ圖表から或はその直線を表す式の計算から. Wの微量定量が反應速度を測定することによつて可能であることを示した.
2) 此の定量は8ccの液量に對してHCl(3
N) 0.1cc添加で行ふのが最も適當であつた.硫酸,硝酸は出來る限り避け燐酸は全然含まぬやうにすることが必要である.
3) 温度は20°で行ふのが最も適當であつた. Ca, Mg, Mn, Na, K及びNH
4は數mg存在するも影響なく, Fe
IIIの存在ではTi
IIIを過剩に用ふれば定量可能であつた. Cu, Ni及ぴCoは著しく妨害となつた.
1) 硫酸第二セリウム滴定分析をアマルガム法に再び
1)應用せり.
2) 亞鉛アマルガムと燐酸及び少量の硫酸を用ひ,且つ既知量の鐵を添加,タングステンを3價まで室温にて還元し,ヂフェニルアミンを内部指示藥として硫酸第二セリウムにより滴定定量し得たり.添加すべき鐵の量はタングステンの約2倍が適當なり.
3) 燐酸も硫酸と同様亞鉛アマルガムを用ひて容易に金屬を低級原子價のものに還元し得る一例を示せり.
4) ヴァナヂンをフェロイン(Ferroin)を内部指示藥として硫酸第二セリウムにより滴定定量し得たり.
タングステンの沈澱の灼熱温度範圍を明かにせんと試みたり.
1) 無水タングステン酸に於ては535~833°,タンニンに依る定量に於ては630~835°,シンコニンに依る定量に於ては655~840°,タンニン,シンコニン併用に依る定量に於ては63〓~838°,及びウォルシンに依る定量に於ては605~835°に灼熱し夫々WO
3として秤量すべし.
2) 珪タングステン酸に於ては7〓0~840°,及び珪タングステン酸に依るメチレンブルーの定量に於ては583~840°に灼熱し夫々SiO
2・12WO
3として秤量すべし.
3) WO
3の高温灼熱による減量はガスバーナーに依る加熱の場合より電氣爐に依る加熱の揚合に於て比較的少量にして約0.6%以下なる結果を得たり.故にタングステンの定量に於ては特に電氣爐の使用が適當なることを知れり.
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