日本化學會誌
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61 巻, 5 号
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  • 佐々木 申二, 平木 洋三郎
    1940 年 61 巻 5 号 p. 419-431
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    10-3mmHg以下の極低壓の酸素中にて白金線を450°C~900°Cに熱して,酸素の之に對する擧動をPirani壓力計を用ひて研究を行つた.
    從來白金表面の氣體に封する收着能は之を常に同じ状態に再生することが仲々困難とされて居るが,吾々は次に述べる様な方法に依り,隨時一定の規準状態を得事が出來た.この規準状態を破壞するものは,活栓用グリースからの有機蒸氣が白金表面に凝縮する爲である事が判明したから,規準状態を再生する爲には,眞空中で800°C附近に熱して有機物質を分解し,更に酸素中で800°Cに熱する.この時二次的に氣體を發生するが,之は一酸化炭素と推定されるのである.而してこの二次氣體が發生しなくなる迄酸素中の加熱を繰り返す時は白金の規準状態に到達する.この規準状態を保持する爲には實驗中常に,白金線の存在する管は液態酸素のトラツプで保護されねばならない.斯様な規準状態の白金線を用ひて研究した結果次の如き事を知り得た.
    1. 酸素は450°~900°Cの温度範圍では白金に對して活性化收着をする.而して收着速度の温度變化より收着に要する活性化ヱネルギーは40 Kcalなる値を得た.
    2. 白金は,見かけ表面の白金原子數の數百倍に相當する酸素を收着して,尚收着力は殆んど變らない.
    3. 收着の速度は10-5mmHg附近の極低壓に至る迄酸素壓に無關係に一定である.
    4. 收着せる酸素は眞空中にて, 1000°Cに熱するも離脱されないが,酸素と反應し得る物質が白金表面に存在する時は700°C乃至800°C程度の温度でも離脱する.
    吾々は以上の實驗結果と從來の研究結果とを比較し之を検討した.
  • 淺間火山山頂及び其附近に於ける噴出瓦斯並に湧出水の研究(第五報)
    野口 喜三雄
    1940 年 61 巻 5 号 p. 432-446
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    淺間火山の主として長野縣側に於ける約130個の觀測點に於て湧水及び河水の水温並にpHを測定した結果
    1)水温
    湧泉並に噴氣孔の温度分布を一括すれば噴氣孔では車坂噴氣孔の67.0°が最も高温で,前掛山噴氣孔45.0°が之に次ぐ,湧泉では小瀬温泉の40.0°が最も高く,星野温泉37.7°が之に次いで温度が高い.温度分布を見るに車坂噴氣孔,前掛山噴氣孔は淺間山,小淺間山,車坂山,高峰山を結ぶ直線上に位し,淺間山麓に於ては星野温泉,干ケ瀧温泉,小瀬温泉等の地方及び湯の瀬,大笹鑛泉の附近が温度が高い.蛇掘川,濁川流域の湧水は悉く低温である.最も低温なるは杉瓜,鳥居原の井戸で7.5°である.又之等諸種湧水の温度變化を檢するに地獄谷湧水を除いては其變化は多くて1~2°程度であつた.
    2)湧水のpH
    地獄谷噴氣孔溜水側湧水III(pH1.2)は最も酸性強く,最もアルカリ性の湧水は三笠温泉(pH8.2)である.一般に湧水は山頂に近いものほど酸性度高く,夫より海面上高が低下するに從ひ酸性度低下し谷底に於ては中性又は弱アルカリ性となる.又淺間山附近諸種湧水のpH變化を檢するに地獄谷湧水を除いては其變化は極めて少く多くて0.1~0.3程度であつた.
    3)河水のpH
    萬座川の水はpH 4.3で最も酸性高く,其他の河水は何れも中性又は弱アルカリ性である.河水のpHは一般に水源地に於ては酸性度高く流下するに從ひ酸性度低下し中性又は弱アルカリ性となる.
  • 淺間山麓三岡村火山灰の浸出水のpH
    野口 喜三雄, 川口 正雄
    1940 年 61 巻 5 号 p. 447-454
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    1) 三岡村火山灰に就て表面より深さ0.1, 0.3, 0.5, 1.1, 2.0, 4.0, 5.0mに於て火山灰を採取し,其浸出水のpHを檢したるに,淺い處は可溶性物質の量極めて少く,從つて其浸出水のpHは蒸溜水のpHに近いが,深所になるに從ひ火山灰から溶解するアルカリ性物質の量は増加し,浸出水のpH値が著しく増大する.其浸出水のpHの最大値は6.6であつた.
    2) 三岡村火山灰に就て,耕作土壤と非耕作土壤とを夫々地表面下深さ7~10cmに於て試料を採取し,其浸出水のpHを比較したるに,兩者何れも可溶性物質の量極めて少く,耕作者の施す肥料の影響も浸出水のpHには殆ど現れて居ない.
  • ヒドロキノン-チフェニルエーテル及びその誘導體の双極子能率に就て
    小寺 明, 呉 祐吉
    1940 年 61 巻 5 号 p. 455-462
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    ヒドロキノン-ヂフエルニエーテル及びその誘導體の双極子能率をベンゾール溶液中で, 10°C, 25°C, 40°Cで測定,その値は何れも温度に關して變化を認め得なかつた.この結果からかゝる化合物は中央の-O・C6H4・O-軸に關して自由廻轉分子より成るか,或はシス,トランスの兩異性體の等量混合物かの何れかであらうと考へられる.なほこれ等の實測値から酸素の原子價角を計算して120~127°の値を得た.又誘導體について置換基に關する能率のInkrementを計算した.
  • ヒドロキノン-ヂフェニルエーテル及びその誘導體のラマン・スペクトルに就て
    小寺 明, 森野 米三, 呉 祐吉
    1940 年 61 巻 5 号 p. 463-469
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    (1) ヒドロキノン-ヂフェニルエーテル及びその誘導體のラマン・スペクトルを結晶状熊にて撮つた.其の結果は化學反應より歸納せられた化學構造と矛盾しない.
    (2) ヒドロキノン-ヂフェニルエーテルの液熊及びベンゼン溶液のラマン・スペクトルを撮り,双極子能率の結果を併せ用ひて立體的分子構造を考究した.即ち液熊又は溶液にてはC-O軸の周りに殆んど完全な自由廻轉を行つてゐるものと考へて充分であり,固熊に於てはトランス形に固定してゐるものと考へて矛盾なく結果が説明される.
    (3) 分子内ボテンシアルを考へてヒドロキノン-ヂフェニルエーテルと,ヒドロキノン-ヂメチルエーテルとの相違を説明し,ヒドロキノン-ヂフェニルエーテルの殆ど完全な自由廻轉たり得る所以を推測した.
  • 赤松 秀雄
    1940 年 61 巻 5 号 p. 470-474
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • ナイロンの分解及び合成
    星野 孝平
    1940 年 61 巻 5 号 p. 475-481
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    ナイロンを鹽酸で加水分解して之がハキサメチレン・ヂアミンとアディビン酸とからつくつたポリアミドであることを確認し,次にこのポリアミドを合成して紡絲しナイロンと同様の性質を示す合成織維を試作した.
  • 2-フェニル-クマロン誘導體の合成竝にそのエゴノール反應に就て
    川合 眞一, 中村 隆雄, 吉田 三義
    1940 年 61 巻 5 号 p. 482-486
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    前報告に引續いて更に4種の新しい2-フェニル-クマロン誘導體を合成し是等の化合物を驅使してエゴノール反應の有無を檢し後續第十一報の結論を得せしめる資料とした.
  • 1940 年 61 巻 5 号 p. 486
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • エゴノール分子中の炭素原子に結合せる活性水素原子に就て
    川合 眞一, 杉山 登, 中村 隆雄, 小松 和
    1940 年 61 巻 5 号 p. 487-494
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    アセチルーエゴノール(Ia)は單にその極限式を表して居るに過ぎないものであつて本系列化合物に於てはA1, A2, B1, B2, B3,等のMesomerieを考へなくてはならぬ. 7位メトキシル型酸素及びフラン環酸素中の遊離價電子對の“+M”効果によつて3, 4, 6位の3炭素原子は何れもその電子密度を増大するから3, 4, 6位の水素原子は強弱の差こそあれ何れも活性を帯びて居る.アセチルーエゴノール臭素化の際は4位水素原子の活性最大であり,ニトロ化の際には3位水素の活性が最大であるZerewitinoff微量法により活性水素を測定すると6-メトキシ-2-フェニルークマロンが最小値(零),アセチル-エゴノール(7-メトキシ-2-フェニル-クマロン誘導體)が最大の値を與へたからアセチル-エゴノールに沃化メチルーマグネシウムを作用せしめた時1モル近くのメタンを發生せしめた活性水素原子(第六報參照)は4位の炭素に結合した水素ならんと推定する.換言すれば此場合Mesomerie状態A1を經過すると考へる. 4-プロムー及び4-ニトローアセチル-エゴノールの構造決定には主として第十報の實驗を參酌して“エゴノール反應の陰性”なる點に立脚した.アセチルーエゴノールのニトロ化に際して反應主生成物3-ニトローアセチルーエゴノールを得た傍ら4-ニトロ-及び6-ニトロー異性體をも單離し得た事實はB1←→B2←→B3なるMesomerieの存立を多分に暗示し他面既往實驗(本文の終り參照)を囘顧してIa←→A1なるMesomerieの存立を證明し得たと思ふ.
  • 田所 哲太郎, 高杉 直幹
    1940 年 61 巻 5 号 p. 495-498
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    著者等はNucleotidの構造とAscorbin酸オキシダーゼ作用との關係を吸收スペクトルによりて探究せリ.其結果はPyridin-nucleotid及びGuanyl酸は共に不安定燐酸基の脱離により酵素作用は微弱となり,同時にNucleotid特有の吸收スペクトル260mμの部分に變化を起し,吸收微弱となりて吸光係數を著しく變化することを確認せり.仍って斯の如き事實の存在を豆モヤシより得たる酵素試料及び酵素力を有する卵Vitellinに就きて確めたるに下の如き相一致する結果を得たり.
    (1) 豆モヤシより得たる酵素試料は明かに吸收スペクトルを260mμの部分に有し.然もParanuclein酸の調製處理によりて愈々吸收帯を顯著に確認せしむ.
    (2) Paranuclein酸調製處理によりて得たる豆モヤシ試料はNu_??_leotid反應とも考へらるるOr-cin及びBial兩反應を呈し,然も之より得たるParin鹽基に對しAdenin反應を次の如く證明することを得たれば豆モヤシAscorbin酸オキシダーゼはNu_??_leotidによると結論するを得.即ちAdenin反應としてi)醋酸煮沸液に對するCuSO4とNaHSO3によるもの, ii) Kossel反應, iii) Murexid反應及びAdeninpicratの檢出等に於て共に陽性なることを確めたり.
    (3) 豆モヤシ酵素試料より調製せるParanuelesin酸は原試料にも優れるAscorbin酸オキシダーゼ作用を有す.
    (4) 卵VitellinよりParanuclein酸を調製するとも蛋白質特有の吸收スペクトル280mμの部分は變化しNucleotidの260mμに多少近づく傾向を有するが如し.
    (5) 豆モヤシ酵素試料及び卵VitellinのParannclein酸調製處理により共に著しく燐含量を増加し.同時にAscorbin酸オキシダーゼ作用も亦増進するを認む.
  • 5-メチルチオバルビツル酸の第一銅鹽に就て
    西川 武一
    1940 年 61 巻 5 号 p. 499-502
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    4-イミノ-5-メチルチオバルビツル酸第一銅と苛性曹達との分子化合物は5-メチルチオバルビツル酸の鹽酸溶液と作用して美麗な黄色のC5H6ON3SCu-C5H6O2N2S-HCIを生ずる.
    4-イミノ-5-メチルチオバルビツル酸第一銅と苛性曹達との分子化合は鹽酸で加水分解すると5-メチルチオバルビツル酸第一銅の鹽化水素錯鹽C5H5O2N2SCu-HCIとなる.これは5-メチルチオバルビツル酸と酸化第一銅とからも得られる淡黄色の結晶である.
  • 3, 6-Anhydro-l-galactoseに就て
    荒木 長次, 新井 清
    1940 年 61 巻 5 号 p. 503-510
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 古武 彌四郎
    1940 年 61 巻 5 号 p. 511-512
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 石橋 雅義, 佐原 良太郎
    1940 年 61 巻 5 号 p. 513-517
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    1. 各ハロゲン化物の混合溶液に就きて硫酸々性状況に於て過酸化水素水及びクロム酸等の酸化劑を適當に用ふる分別酸化法によりてI及びBrを順次遊離せしめ,之をクロロフオルム中に抽出したる後比色定量し,殘液よりClを鹽化銀として定量して満足すべきハロゲンの分析法を得たり.
    2. 本法をワカメ,アオサ等の海藻及びクロモ,コーガイモ等の水藻の分析に適用して夫等に含有せらるるI, Br, Cl等を分離定量したり.
  • 川本 時雄
    1940 年 61 巻 5 号 p. 518-520
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    1) 硫黄及セレンを用ひイソ・ボルニール・アニリンの脱水素反應を行ひ,反應成績體たるカンファニールは,加水分解によりて生成する樟腦量にて兩觸媒を比較せり.
    2) セレンによる反應生成物は,硫黄の場合よりも重合物少く,樟腦の精製容易なり.
    3) 封管中,セレンはイソ・ボルニール・アニリンに作用し,カンファニールを生成し,自らはSeとして封管中に殘留す.
    4 セレンの囘收は硫黄に比して容易なり.
  • 川本 時雄
    1940 年 61 巻 5 号 p. 521-524
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    1) 從來,脱水素反應を促進すると思惟せらるゝ觸媒10種に就て,イソボルニール・アニリンに對する反應速度を比較せり.
    2) 觸媒の反應速度は,生成するカンファニールより加水分解により生ずる樟腦の量を以てせり.
    3) ニッケル・クロマイトは最も優秀なる脱水素觸媒なるを認め,且此觸媒の製造中,硝酸ニッケルとクロム鹽の溶液を作用せしむる條件により組成を異にするを認めたり.
  • 1940 年 61 巻 5 号 p. 525
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 1940 年 61 巻 5 号 p. 530
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
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