α,α-ヂフェニルエタンを鹽素にて鹽化すると低温(10°附近)にてはモノクロロ-α,α-ヂフェニルエタン(C
6H
5)
2C
2H
2Clを生じ, 60°迄はα,β,β-トリクロロ-α,α-ヂフェニルエタン(C
6H
5)
2・CCl・CHCl
2を生じ, 160~180°にてはα,β,β,β-テトラクロロ-α,α-ヂフェニルエタンを生ずる.常温及び200°にて最大増量迄鹽化をするとベンゼン核の鹽化も起つて夫々α,β,β-トリクロロ-α-フェニル-α(X-クロロフェニル)-エタンClC
6H
4(C
6H
5)CCl-CHCl
2及びβ,β-ヂクロロ-α-フェニル-α(X-クロロフェニル)-エチレンClC
6H
4(C
6H
5)C=CCl
2を生ずる. 200°以上にては重合が起つて樹脂状物質になる.
α,β,β-トリクロロ-α,α-ヂフェニルエタンは酒精加里を煮沸し,又は200°に加熱する事により容易に脱鹽化水素してβ,β-ヂクロロ-α,α-ヂフェニルエチレンになる.又硝酸銅と煮沸すれば,α-オキシ-β,β-ヂクロロ-α,α-ヂフェニルエタン(C
6H
5)
2C(OH)CHCl
2を生ずる.α,β,β,β-テトラクロロ-α,α-ヂフェニルエタンは亞鉛末と稀アルコールにて煮沸する事により脱鹽素してβ,β-ヂクロロ-α,α-ヂフェニルエチレンになる.
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