CICH
2・CH
2Clの如き分子に對してKohlrauschはシス及びトランスなる唯二つの立體異性體の存在を主張する.筆者等はその所論に誤のある事を指摘し,かかる分子に於てはトランスを最も安定なる状態とする連續的な分子内廻轉状態の存する事を述べた.最近Kohlrauschはその誤を訂正した後尚シス,トランス異性體のみの存在の可能性を説くが,その推論の過程は前回同様不完全なるものである.而して筆者等がCICH
2・CH
2Brに對して行つた研究の結果はKohlranschの今回の結論にも誤りある事を實驗的に指示するものである.
抄録全体を表示