日本化學會誌
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61 巻, 12 号
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  • 基本反應の速度垣數
    岡部 建藏
    1940 年 61 巻 12 号 p. 1235-1238
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    過酸化水素の沃素イオンに對する酸化反應に於いて,同時に一定量のチオ硫酸イオンを共存せしめ,之が全部四チオン酸イオンに變化するに要する時間を測定し,其の値より原反應の速度恒數を算出せり.
  • 吉田 幸人
    1940 年 61 巻 12 号 p. 1239-1242
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    セレン,テルル,銀,水銀,鉛,蒼鉛,銅,カドミウム,砒素,アンチモン,錫,モリブデン,ロヂウム,パラヂウム,白金,金,マンガン,鐵,コバルト,ニッケル,亞鉛或はタリウムの微量(2γ~1mg)が大なる容積(約80cc)の液中に存在する場合に之を濃縮すること無く,直ちに沈澱劑を加へ,かくして生じたる膠状沈澱をエーテルと振盪し,容最分析フラスコの細頸部に集めて檢出又は定量する方法を述べ之に浮朧分斯の名を與へたり.
  • H2とHDの混合氣體に於ける熱分離効果の測定
    北川 公
    1940 年 61 巻 12 号 p. 1243-1248
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 珪酸亞鉛・ベリリウム(ZnO-BeO-SiO2/Mn)螢光體の螢光スペクトルに就て
    上原 康夫, 菊地 信司
    1940 年 61 巻 12 号 p. 1249-1255
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    各種の組成を有する珪酸亞鉛・ベリリウム(Mn)螢光體の陰極線刺戟に依る螢光スペクトルを-185°C及び25°Cに於て寫眞分光測光法に依つて測定した.珪酸亞鉛螢光體の格子點に在るZnは1100°CにてBeにて約25%迄置換することが出來る.又珪酸ベリリウム螢光體のBeはZnに依つて約40%迄置換することが出來る.珪酸ベリリウム及び珪酸亞鉛・ベリリウム螢光體の吸收スペクトル,刺戟スペクトル或は螢光スペクトルの機構は,珪酸亞鉛或は珪酸カドミウム螢光體の場合と全く同様であることを示した.
  • 酒石酸-銅-アルカリ系錯鹽溶液の吸收帶
    久保田 正雄
    1940 年 61 巻 12 号 p. 1256-1260
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    種々組成の酒石酸-銅-アルカリ系錯鹽熔液について系統的に吸收帶を測定した結果一般に
    1) 苛性曹達の量が酒石酸及硫酸銅の合量に對して當量に達する迄は苛性曹達の添加量の増加と共に第二吸收帶は振動數大なる方へ特殊吸收帶は振動數小なる方へずれ前述の當量の時に曲線は最も尖鋭となる.
    2) 當量より小過剰の苛性曹達が加はつても,第二吸收帶の位置はあまり変化なく,場合によつては逆に振動數小なる方へずれることもある.一方特殊吸收帶は今度は振動數大なる方へずれて行く.
    3) 苛性曹達の濃度が大となると第二吸收帶も特殊吸收帶も著しく振動數大なる方へずれ,錯鹽は安定化する.
  • 酒石酸-銅-アルカリ系錯鹽溶液の旋光性と錯基の構造
    久保田 正雄
    1940 年 61 巻 12 号 p. 1261-1268
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    d-酒石酸-硫酸銅-苛性曹達系錯鹽溶液の組成を色々に變へ,酒石酸と硫酸銅のモル比を1:2, 1:1, 2:1, 3:1, 5:1等の各々の場合に苛性曹達の量逐次増して旋光度を測定した結果,極大,極小,再び極大の3點を有する曲線を得た.而もd-酒石酸と硫酸銅のモル比が1:2,及1:1の場合には,極小値は大きな左旋性の値となる.
    l-酒石酸の場合はd-酒石酸の場合と全く對稱的な結果を得た.
    此の如く溶液の旋光性が異常的に變化する原因は,構造上特定の旋光性を有する錯基が不齊的に生成せられ,爲に錯基の不齊構造に基因する旋光性が生ずるものと説明した.
    此の場合錯基の旋光性は配位する酒石酸がdの場合はlでありl-酒石酸の場合はdである.而して錯基の不齊構造に基因する旋光性は一般の旋光性分子の旋光性に比較して著しく大きい.
    最後に酒石酸-銅-アルカリ系錯鹽溶液の吸收帶及び旋光度測定結果より,溶液中の錯基の構造を推定した.
  • 瀬邊 惠鎧
    1940 年 61 巻 12 号 p. 1269-1274
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    (1) セスキゴヨールは萬融點を有するセスキテルペン系第三アルコールにして鹽化水素臭化水素により夫々ヂネン二水鹽化物及臭化物を與ふ.
    (2) セスキゴヨ一ルより得らるるカヂネン二水鹽化物は左旋カヂネンより誘導せるものと同一物質なり.
    (3) 脱水酸素によリセスキゴヨールはカダリンの他にC14H16なる炭化水素を生じ1-メチル-4-イソプロピル-ナフタリンなる可き事を知れり.
    (4) セスキゴヨールの研究に當り再び所謂ミクラネンが不旋性カヂネンなる事を信ぜしめられたり.
    (5) セスキゴヨールはγ-カヂノールなる可き事を推定せり.
  • 細辻 伊八郎
    1940 年 61 巻 12 号 p. 1275-1278
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    古來京都の特産たる絹布の紅染に紅花の使用は合成染料の出現の爲め廢れたれど,その色染前の稲藁灰汁漬處理は依然必須不可缺のものとして今尚稻藁を燒きてその灰汁液を使用し居れり.本研究は藁灰汁漬の意義を明かにせんとし,絹布の處理の前後並に灰汁液の分析の結果稻藁灰に含有せらるるAluminiumのみを巧みに浸出せしむる樣液のpHを米醋にて調節し以てAluminiumを選擇的に布に吸收せしむるを知りたリ.
  • ドデシルスルフォン酸のエステル分解作用
    戸井 文一
    1940 年 61 巻 12 号 p. 1279-1282
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    親脂性長鎖状或は環状原子團を有するスルフォン酸はリパーゼ類似の作用を示す一つのエステラーゼ模型として酵素化學上の見地からも重要な意義を有するものと考へられる.之等スルフォン酸を純粹に合成し,基質として純粹なる水に不溶性の脂肪酸エステルを用ひ,界面の廣さ並に他の條件を一定として之等スルフォン酸の觸媒能を比較せんとした.
    先づドデシルスルフォン酸を合成し,そのラウリン酸メチルエステルに對する分解作用を試驗した.その結果ドデシルスルフォン酸加里の0.1~10.0ミリモル/lの濃度に於ける觸媒能は, 60°の場合5ミリモル/lの濃度に於て限界點に達し,又作用時間と分解度とは竝行關係にあることを認めた.
    この事實よリドデシルスルフォン酸の觸媒能は,一定の廣さの界面に對しては或る濃度に於て限界點に達し,この點に於てはスルフォン酸は界面に於ける單分子吸着層が飽和することに依つて觸媒能は最高値を示すものと考へられる.
  • 若干の單糖類と水との間の酸素原子の交換反應
    五嶋 孝吉
    1940 年 61 巻 12 号 p. 1283-1287
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    中性水溶液中に於ける葡萄糖,果糖,ガラクトーズ,キシローズ,及びアラビノーズ等と水との間の酸素原子の交換反應を研究した.其の結果によれば之等の單糖類は何れもその1個分子に就き1個の酸素原子を交換し得ることを知つた.尚ほ各々の反應の機作は次の如く考へられる.
    (1) 葡萄糠及びガラクトーズの場合には何れも水分子は第一の炭素に結合したる後に五の炭素に結合せるOHのHとから水を生成して脱水され而してピラン環を完成したる後に反應は更に前記の方向と逆の方向に進みて酸素原子の交換を行ふ.
    (2) 果糖の場合には水分子は第二の炭素と結合したる後に第六の炭素のOHのHとから水を生成して脱水されてピラン環を完成したる後に反應は更に前記の方向と逆の方向に進みて酸素原子の交換を行ふ.
    (3) キシローズ及びアラビノーズの場合には水分子は第一の炭素に結合したる後に第五の炭素のOHのHとから水を生成し脱水されてピラン環を完成したる後に反應は更に前記の方向と逆の方向に進みて酸素原子の交換を行ふ.
  • アンナンウルシの中果皮より得らるる〓及び種子油に就て
    畑 忠太, 國崎 辰喜
    1940 年 61 巻 12 号 p. 1288-1291
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    アンナンウルシ(Rhus succedanea L. var. Dumoutieri Kudo et Matsuura)の中果皮には7.54%の木〓類似の固體脂を含有し,融點54~55°,甚だ粘靱性に富む.主成分はパルミチン酸にして約82%を占め,他にオレイン酸8%,ステアリン酸4%,リグノセリン酸2%及び微量なれどテトラデセン,ヘクサデセン酸存在し,二鹽基性酸はヘネイコサンヂカルボン酸(C23H44O4)にしてその量は約2%なり.種子油は收量5.07%にして半乾性油に屬する液状油にしてオレイン,リノール,パルミチンの三成分酸よりなる.不鹸化物としては中果皮〓よりミリシールアルコール及びシトステロールを檢出し,種子油よりはシトステロールを檢出せり.
  • 臺灣産油鮫(猫江鱶)肝油に就て(其一)炭化水素
    畑 忠太, 國崎 辰喜
    1940 年 61 巻 12 号 p. 1292-1296
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    臺灣近海産油鮫の一種土名猫江鱶は高雄近くの深海に捷息する小型の鮫にして,その肝臓の肝油含量は85%に相當し,油の性質は比重低き所謂スクアレンを主成分とする相鮫系の肝油なり.その不鹸化物中炭化水素に就き精査せるに不鹸化物總量87.5%の中,炭化水素は95.7%を占め,その大部分はスクアレンにして他にプリスタン,ザメン存在し更に微量なれども低沸點部にヂエチレン系炭化水素と推定し得るものの存在を確めたり.
  • 煙草精油,樹脂成分に就て
    福島 好郎, 大池 國威
    1940 年 61 巻 12 号 p. 1297-1301
    発行日: 1940年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    文獻上煙草香氣成分として單離されたものは少い,在來種,黄色種煙草を試料とせる水蒸氣蒸溜,エーテル抽出,乾溜の3方法に據る精油,樹脂の採取方法,採取物の比較を爲し,又該採取物の若干の性質を試驗した.
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