日本化學會誌
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60 巻, 8 号
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  • 輸率及び電氣傅導度の實驗
    宮本 貞一
    1939 年 60 巻 8 号 p. 647-660
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    1) Casein, dephosphorized casein, aspartic acid及glutamic acidの鹽類溶液に就いてtransference number及conductivityを測定した.
    2) Casein, dephosphorized casein, aspartic acid及glutamic acidのナトリウム鹽溶液及aspartic acid及glutamic acidのカルシウム鹽溶液は何れも實驗誤差範園に於いて錯イオンを生じない.然しcasein及dephosphorized caseinのカルシウム鹽溶液は共に錯イオンを生ずる.
    3) Calcium dephosphorized caseinate溶液に於ける錯イオンはcalcium caseinateに於けるよりも10%少いのをカゼイン分子中の燐酸がCa caseinateの錯イオン生成に約10%關與することを表はすものとした.
    4) Calcium proteinate溶液に於ける錯イオン生成をstep dissociationにより説明した.
    5) Onsagerの方法でaspartic acid, glutamic acid, casein及dephosphorized caseinの鹽類溶液の傅導度の測定結果を圖示した.而して之等化合物はその性質に於いて強電解質と實質的に異らない.
  • 透析及び限外濾過の實驗
    宮本 貞一
    1939 年 60 巻 8 号 p. 661-667
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    1) Casein, dephosphorized casein, gelatin, fibroin, glycinin及egg albuminのカルシウム鹽溶液に就いて透析及前二者に就いて限外濾過の實験を夫々行つた.
    2) Protein solution及dialysate或はultrafiltrateに於ける鹽素イオンの分布状態は蛋白個有のものでなく殆んど同一比例をなす.
    3) Casein, dephosphorized casein, gelatin, fibroin, glyeinin及egg albumiuのカルシウム鹽溶液は何れも結合カルシウムを存する.而して結合カルシウムは蛋白質濃度に正比例する.
    4) Ca dephosphorized caseinate溶液に於ける結合カルシウムはCa caseinateに於けるよりも約10m mols(蛋白100gに對し)少なしのをカゼインに於ける結合カルシウムの一部が燐酸によるものとした.
    5) 結合カルシウムは蛋白質の遊離カルボキシル基に實質的に比例するのを以て結合カルシウムがカルボキシル基に依るものとした.
    6) 結合カルシウムがフェノール性水酸基によるといふAbelsの説を批判した.
  • 原井 健三
    1939 年 60 巻 8 号 p. 668-674
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    (1) 硝子中の硼酸の定量分光分析が可能なりや否やを試みた.
    (2) 五種類の硝子につき試験の結果含有硼酸量の珪酸に對する比の對數log([B2O3]/[SiO2])とスペクトル線の強度比の對數Log(IB2O3/ISiO2)とがほぼ直線關係にある事を認めた.
    (3) 同一試料につきこの方法が可成りの程度までlog(IB2O3/ISiO2)についてreprodncibleなる事を認めた.
  • 硫化亞鉛-銅結晶螢光體の螢光スペクトルに就て
    上原 康夫
    1939 年 60 巻 8 号 p. 675-684
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    1) 硫化亞鉛-銅螢光體の螢光スペクトルの測定を-185°C, 20°C及び150°Cにて行つた.
    2) 活性體及び融劑を全く含まない純粹の硫化亞鉛螢光體の螢光スペクトルに於て4680Å, 4840Å, 5〓40Å及び5455Å附近に極大點を持つ4個の螢光帶を見出した.
    3) 活性體として銅を含む螢光體の螢光スペクトルに於ては,著者の理論に依る, CU+3D21S0及び3D31S0に起因するところの夫々4450Å及び5250Å附近に極大點を持つβ及びα螢光帶の存在することを確め,従来の諸説の誤れることを指摘した.
    4) 活性體としての銅の量が増加するとともに,α螢光帶に比してβ螢光帶が次第に強くなることを見出し,其原因は銅の量が増加するとともにCu+3D23D3遷移が減少し,従つて3D21S0の遷移の増加することに基づくことを示した.
    5) 温度の上昇と共に,格子振動が激しくなり3D23D3の遷移が増加するため,高温になる程α螢光帶に比してβ螢光帶が弱くなるといふ著者の理論的豫想を,實験に依つて確めた.
  • 1939 年 60 巻 8 号 p. 684
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 北海道登別温泉(其二)
    奥野 久輝
    1939 年 60 巻 8 号 p. 685-691
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    最近に於ける登別温泉地獄谷の概況を述べた.特に今囘研究の對象に撰んだ5ケの温泉に就いては採取試料の解説とともに稍詳細に觀察結果を報告した,採取試料に就いて蒸發殘滓,若干の主要成分及微量成分を定量した.
    分析結果によれば地獄谷の温泉は凡て硫黄泉若しくは酸性の“温泉”と稱すべきものであるが,尚仔細にその内容を檢討すれば夫々特徴ある個性を示してゐる.泉温と氣温其他との關係に就いても若干述べる所があつた.
    温泉町内の湧泉2ケに關しても分析結果を報告した.その中一は鐵泉なる名稱に不拘,實は食鹽泉に屬すべきものである.
    微量成分の中,銅,亞鉛,鉛をヂチゾン法により定量した外に,分光的にチタン及ストロンチウムを檢出した.ラドンの含有量は登別の温泉では餘り多くはない.
  • 重糖類メチル誘導體の脱メチルに就て
    荒木 長次, 端 與之助
    1939 年 60 巻 8 号 p. 692-702
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    低温に於て高濃度臭化水素酸の作用により, Heptamethyl-methyl-maltoside及びHeptamethyl-methyl-cellobiosideは夫々d-Glucoseに, Heptamethyl-methyl-lactosideはd-Glucose及びd-Galactoseに分離せり.又Octamethyl-sucroseはd-Glucoseに分離せると共に多量のフーマス質を生成せり.斯くてAldoseのみよりなる重糖類のメチル誘導體は脱メチルと共に成分糖に分離し, Ketoseを一成分糖となせる重糖類のメチル誘導體はKetoseのフーマス質に變化せるためAldoseのみを生成せるを知りたリ.
  • 加藤 久次, 稲葉 達雄
    1939 年 60 巻 8 号 p. 703-704
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 五嶋 孝吉
    1939 年 60 巻 8 号 p. 705-706
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    本邦各地に於ける水道水を夫々充分に精製したる後,其の密度を同様の方法によりて精製したる大阪水道水と石英浮秤を用ひて比較した.試料採集地は次の9ケ所である.東京,大阪,室蘭,新潟,徳山,門司,鹿兒島,基隆,高雄.其の結果によれば此等各地の水道水の密度の間には實驗誤差±0.5γの範圍に於て何等差異をも發見しなかつた.よつて此等各地の水道水は何れも同位元素組成が同一であるものと考へられる.
  • 岡部 建藏, 五嶋 孝吉
    1939 年 60 巻 8 号 p. 707-709
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    世界各地に於ける水道水或は井水を夫々充分精製したる後其等の密度を之と全く同様なる文法に依つて精製した大阪水道水と石英浮秤を用ひて比較した.採集地は次の19ケ所である.但し特に記さざるものは皆水道水である.
    (1) 香港. (2) Cebu, Philippine. (3) Manila (4) 新嘉坡. (5) 盤谷. (6) 古倫母. (7) 孟買. (8) Mombasa, Africa. (9) 〓育. (10) Hopewell, Va., U.S.A. (11) Norfork, Va., U.S.A. (井水) (12) Jacksonville, Flor., U.S.A. (13) Corpus Christi, Tex., U.S.A. (14) Galveston, Tex., U.S.A. (15) Houston, Tex. U.S.A. (16) Panama運河の水. (17) Los Angeles, Calf., U.S.A. (18) San Pedro, Calf., U.S.A. (19) Tacoma, Wash., U.S.A.
    其の結果に依れば此等各地の水道水或は井水の密度の間には實驗誤差±0.5γの程度に於て殆ど差異を發見し得なかつた.依つて此等各地の水道水或は井水の同位元素組成は同一であるものと考へられる.
  • 都築 洋次郎
    1939 年 60 巻 8 号 p. 710-716
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    澱粉をグリセリン中で熱分解すると時間の經過に伴ひ生成物中のグリセリン含量が増す.然してこの含量は氷點法分子量と併行關係にある.この事實より考へれば結合せるグリセリン分子は澱粉分子の一の末端に位置するものと思はれる.是等のグリセリン澱粉に就て粘度を測定するにStandinger恒數Kmは一般に分子量大なるに從ひ次第に減少する傾向が見られる.また馬鈴薯澱粉と小麥澱粉とは少しく趣を異にする.是等の事實に基いてHaworth並にStaudingerの澱粉の構造に就ての見解を檢討した.
  • 1939 年 60 巻 8 号 p. 716
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
  • 漆原 義之
    1939 年 60 巻 8 号 p. 717-728
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    従來行つた研究を綜合し,又臭化アリルに臭化水素と酸素を作用させると水,臭素,有機過酸化物の生成すること及び還元ニッケルが四鹽化炭素溶液より臭化水素を吸着するときカテコールが存在すると多量の臭化水素が消費されること等から表題の化學變化の機構を酸素並に還元ニッケルと臭化水素とよりエチレン化合物の存在に於て生ずる臭素原子が先づ二重結合に附加して一時的に基を生ずることによつて始められる連鎖反應として説明する.
  • 藤田 愼三郎
    1939 年 60 巻 8 号 p. 729-731
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
    高水素壓下100°に於て,ニトロフェノールのアミノフェノールヘの還元ニツケルに依る接觸的還元を,無水酒精溶液にて行ひしに,各異性體の反應性はo>m>pの順序を示人,同じ反應條件に於て行へるニトロベンゼンの結果と比較するに, dp/dtの極大値は. o-(6.0); m-(4.6); p-(2.0)にして,何れもニトロベンゼンの値(7.0)より小なるを以つて,ニトロ基の還元は水酸基によりて影響を受くるものと考ふべきなり.而してm-異性體にありては,其の水素吸収曲線(第3圖)及び第2表に掲げし數値が概してニトロベンゼンの其等に酷似し, o-及びp-異性體に於ては各々獨特の反應進行の徑路を辿る事實よりせば,ニトロ基の性質に對する水酸基の影響が,其の位置によりて強さを異にし, m-異性體に比較的弱く, o-及びp-異性體に著るしきものとなすを得べく,斯る結果はベンゼンの分子構造を究むる上に,興味ある問題を提供するものなるべし.
  • 小松 茂
    1939 年 60 巻 8 号 p. 732-744
    発行日: 1939年
    公開日: 2009/12/22
    ジャーナル フリー
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