特殊教育学研究
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31 巻, 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 大井 学
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 3 号 p. 1-7
    発行日: 1993/11/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    慣習的な身ぶりや音声による意図的伝達がみられない重度精神遅滞児及び健常乳児それぞれ1名について、相互作用場面のビデオ記録に基づく大人からの伝達の帰属を検討した結果、重度精神遅滞児に対する帰属と健常乳児に対する帰属との差、及びそれぞれの帰属に及ぼす養育経験の影響が示唆された。この結果から、重度精神遅滞児に対する大人の応答性の低さを伝達の帰属の乏しさという観点から検討すること、及び帰属における大人の個人差を養育経験との関連から検討することが必要と考えられた。また重度精神遅滞児について、インリアルに準拠したターン毎のビデオ・テープ分析を大人に経験させると、帰属率が増加することが明らかとなった。ここから、大人の応答性を高め、重度精神遅滞児とのコミュニケーションを改善する上で、ターン毎のビデオ・テープ分析が有効であることが示唆された。
  • 大森 美代, 尾崎 久記, 鈴木 宏哉
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 3 号 p. 9-16
    発行日: 1993/11/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    精神遅滞児の注視過程について、強膜反射法を用いた眼球運動記録により検討した。被験児は、15歳6ヵ月〜17歳10ヵ月で、平均精神年齢が9歳9ヵ月の8人の精神遅滞児とし、生活年齢が遅滞児群と対応する15歳4ヵ月〜17歳8ヵ月の健常児8人と、生活年齢が遅滞児群の精神年齢に対応する8歳4ヵ月〜10歳8ヵ月の健常児8人についても検討した。被験児は、スクリーンの4隅に呈示される4つの選択図形からスクリーン中央に呈示される標準図形と同じ図形を見つけ出すように求められ(Cohen,1981)、3°、6°、12°の3つの異なる図形間距離条件で実験を行った。その結果、1)遅滞児群は健常児群に比べて、より頻繁に図形を注視する傾向があり、その平均注視時間も長かった。2)3°条件において、健常児群は試行の初期段階でターゲットを見る傾向にあったが、遅滞児群ではそのような傾向は認められなかった。3)遅滞児群は、標準図形をより頻繁に再注視していた。以上の結果から、遅滞児の有効視野は健常児よりもやや狭くなっていること、また遅滞児の短期記憶が脆弱であることが推察された。
  • 河内 清彦
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 3 号 p. 17-26
    発行日: 1993/11/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    視覚障害児を含む10タイプの児童に対し小学6年生が抱くイメージ相互の関係と、その意味構造を調査した。用いた25対の記述語尺度は、120名の小学生が10タイプの児童のイメージを表すのに用いた438の言葉に基づいて筆者が作製し、6年生120名に実施した。友達イメージの相互関係については、全盲、弱視、メガネをかけた児童の「障害因子」と、好悪に関する児童の「好悪因子」(これには自分自身が含まれる)とに二分されたが、両者は直交しており、視覚障害児が直接には嫌われていないものの、仲間扱いもされていないことが推測された。また、障害因子の内容から、視覚障害児は真面目で頭が良いという児童特有のイメージと共に、静かで暗いという大学生のイメージと共通するものも見いだされた。友達イメージの意味構造は「対人」「活力」「学力」の3次元構造をしていたが、対人関係がもっとも支配的で、統合教育においての友達関係の重要性を指摘した。
  • 渡部 匡隆, 上松 武, 小林 重雄
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 3 号 p. 27-35
    発行日: 1993/11/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    養護学校高等部と中学校特殊学級に在籍する2名の自閉症生徒に、バス乗車スキルの指導を行った。まず、現実場面のバス乗車スキルの課題分析を行った。そして、現実場面をシミュレートした場面を訓練室に構成し、バス乗車に必要な基本的な行動連鎖の形成を行った。現実場面では、訓練室場面での指導の効果を評価するとともに、バス乗車に必要な訓練を行った。2名の生徒はいずれも、(1)訓練室での基本的な行動連鎖の形成、(2)現実場面での直後プロンプト手続きによる訓練、(3)訓練室で目的の停留所をボタンを押して知らせるための自己記録手続きの訓練、並びに現実場面での自己記録の継続的使用によって、単独のバス乗車が可能になった。これらの結果から、訓練室場面と現実場面での指導を組み合わせて訓練することが効果的であるとともに、標的行動が適切な場面で生起するために自己記録法を用いることの有効性が示唆された。
  • 野田 裕子, 田中 道治
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 3 号 p. 37-43
    発行日: 1993/11/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、統合保育場面での介入者による場面設定、健常幼児をtutor精神遅滞幼児をtuteeとして関わらせる意図的介入が両者の相互作用にどのような影響を与えるか。又、その結果からどのような働きかけが望ましいかを検討するものである。被験児は、統合保育を行っている保育所に在籍する精神遅滞幼児と健常幼児のペア8組であり、前自由場面、設定場面、介入場面、後自由場面の4場面で実験を行った。以下の結果が得られた。(1)場面を設定し、意図的介入を行うと相互作用の総数は増加する。(2)相互作用の長さは場面設定、意図的介入によっても変化はみられない。(3)意図的介入により、両者の関係が対等に近づいた。(4)場面設定、意図的介入によって相互作用の内容は否定的なものから肯定的なものへ変化した。結果より、健常幼児をtutor精神遅滞幼児をtuteeとして関わらせる意図的介入は効果的であると示唆された。
  • 吉岡 伸, 松野 明子
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 3 号 p. 45-51
    発行日: 1993/11/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    1989年より4回にわたって、精神遅滞児におけるひらがな文字(71字)の読み能力と身近な名詞の音韻抽出及びいくつかの知覚課題の能力を測定した。対象児は精神薄弱養護学校に在籍する児童・生徒であり、1989年においては51名、1990年においては39名、1991年においては32名、1992年においては26名である。読み能力の成績はU字型の分布、すなわち「殆ど読めない」集団と「よく読める」集団に分かれた。読み能力に対してそのほかの三つの諸能力はそれぞれ有意な相関を示し、ひらがな読みの習得に一定の影響を持つことを示唆した。初年度(1989年)と最終年度(1992年)との各テストを比較すると、読み、音節分解、音韻抽出の各能力は3年間にわずかであるが伸びを示したが、知覚関連の成績はあまり変化しなかった。精神遅滞児における読みとその他の能力の関連のしかたについて考察した。
  • 四日市 章
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 3 号 p. 53-56
    発行日: 1993/11/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
  • 片桐 和雄
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 3 号 p. 57-62
    発行日: 1993/11/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
  • 浅倉 次男, 鈴木 亜紀, 中井 滋, 菅原 みつ子
    原稿種別: 本文
    1993 年 31 巻 3 号 p. 63-67
    発行日: 1993/11/30
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
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