カラム試験の解釈と適用に関する知見が限られていることを踏まえ,海成堆積物を対象とした上向流カラム試験を実施し,濃度破過曲線を通水量/間隙体積比(Pore volumes of flow, PVF)で整理して溶出特性の評価を試みた。破過曲線が単調減少で PVF≒0 のとき最大濃度を示し,PVF≦1 で濃度が最大濃度の半分になる物質を,溶出が速やかに完了する「易溶性物質」と定義した。As や F の溶出濃度は一旦増加した後に減少したことから易溶性物質には分類されなかった。一方で Se は,SO4のような移行性の高い物質と同様に易溶性物質と判定された。易溶性物質は通水初期に最大濃度を示すため,カラム試験から最大濃度を取得して流入濃度条件を設定することで,より実際に近いリスク評価を行いうることが示唆された。そのため少なくとも 2 PVF まではカラム試験を実施し,易溶性物質を判別することが重要である。
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