地盤工学ジャーナル
Online ISSN : 1880-6341
ISSN-L : 1880-6341
13 巻 , 4 号
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論文
  • 加村 晃良, 風間 基樹, 河井 正, 金 鍾官, 熊田 哲規, 疋田 信晴, 小西 成治
    2018 年 13 巻 4 号 p. 249-267
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    斜面の法肩から縦方向に補強材を打設する縦打ち補強土工法は,狭あいな場所でも施工可能であるため,近接施工や既設構造物の保全工事において活用の機会が見込まれる。しかし,本工法のような補強は実務的に使われているが,その力学挙動は十分に解明されていない。そこで本研究では,実大の試験盛土に補強材の打設角度や打設間隔が異なる補強を施工し,想定すべり面に対応する背後荷重を作用させて,斜面前面の変位や補強材の断面力などを計測した。その結果,斜面側が斜杭のケースは,背面側が斜杭のケースよりも斜面の変位抑制効果が高いことが明らかとなった。補強材では軸圧縮力や変形に応じた曲げモーメントが計測された。全体的な挙動については,再現解析を実施して計測挙動の妥当性を確認し,補強効果を評価した。

  • 野並 賢, 戎 剛史, 片岡 沙都紀, 澁谷 啓, 谷 和夫, 千野 克浩
    2018 年 13 巻 4 号 p. 269-281
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    既設沢埋め盛土を対象に,経済的・簡易に盛土性状を把握し,安定性を評価して対策工法の概要と優先順位を設定するための調査フローを提案し,その適用性を検証した事例を通して課題を抽出した。提案した方法は物理探査とサウンディングを組合せ,具体的な判断項目を設けた調査フローとなっている。2箇所の盛土を対象とした事例では,詳細調査で得られた安全率よりも提案法による安全率は若干小さかったが,スクリーニング手法として適切であることを確認した。また,安定性評価の精度を向上させるためには,盛土材料の強度と盛土内水位の評価精度を向上させることが重要であることも指摘した。

  • 中島 誠, 日高 レイ
    2018 年 13 巻 4 号 p. 283-295
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    2017年4月に1,4-ジオキサンの土壌環境基準が新たに施行された。本研究では,1,4-ジオキサンについて,土壌における三相間での分配特性をバッチ試験により把握するとともに,不飽和土壌における揮発特性および浸透特性,飽和土壌への吸着特性を3種類の土壌カラム試験を行うことにより把握した。これらの試験の結果から,汚染土壌から揮発する1,4-ジオキサンの量は少なく,揮発した1,4-ジオキサンの多くが土壌中を移動・拡散する途中で間隙水中に溶解すること,不飽和土壌中の1,4-ジオキサンは降雨浸透があれば速やかに下方に移動するが,降雨浸透がなければ分布範囲を広げた状態で汚染土壌が存在し続けること,および1,4-ジオキサンによる汚染地下水が流動し続けた場合に下流側で土壌汚染を生じさせる可能性があることが把握された。

  • 小早川 博亮, 栗山 雅之, 久野 春彦
    2018 年 13 巻 4 号 p. 297-308
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    送電用鉄塔周辺斜面の地震時の斜面崩壊危険箇所を机上検討によって抽出することを目的として,地震時の斜面崩壊危険箇所抽出フローを構築した。抽出フローは崩壊や地すべりといった崩壊形態の分類毎に,地形図・地質図などによる検討を基本とする広域の段階と,数値標高データに基づく検討の中域の段階に分けて実施するものとし,過去の内陸地殻内地震発生時の斜面崩壊の事例分析によりフローに含まれる要因と閾値を定めた。構築したフローを2004年新潟県中越地震による斜面崩壊事例に適用し,フローにより危険箇所として抽出される箇所と崩壊箇所はよく一致することを確認した。

  • 河井 正, 高木 聖人, 金 鍾官, 風間 基樹
    2018 年 13 巻 4 号 p. 309-318
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    近年,管渠破損部からの土粒子流出に起因した地盤陥没が多発している。管渠の破損は,老朽化や地震時外力によって発生するが,線状構造物の特徴上,対象が広範囲にわたり調査に多額の費用を要するため,地盤の材料特性により調査や対策の対象範囲の限定・優先順位付けが出来ることが望ましい。土粒子流出現象については,模型実験によるメカニズム把握,空洞調査手法などの研究が精力的になされてきたが,未だ地盤物性に着目した基礎的な研究が十分になされているとは言い難い。本研究では,細粒分を含む締め固めた砂質土地盤内に管渠破損部を模擬した流出口を設け,細粒分含有率,細粒分の種類(塑性の有無),地盤の締固め条件などが流出現象に及ぼす影響について検討した。その結果,流出抵抗には,細粒分含有率のみならず,その細粒分の塑性指数も関係することを確認した。さらに,今回検討した範囲では,塑性指数が大きな細粒分を含む土は,最適含水比よりやや湿潤側に締固めることで土粒子の団粒化を抑制し透水係数が相対的に小さくなるため,より流出に抵抗できることを把握した。

  • 欅 健典, 湯浅 友輝, 内藤 直人, 渡邉 諭
    2018 年 13 巻 4 号 p. 319-327
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    橋脚基礎地盤の洗掘に対する健全性を評価する指標として橋脚の固有振動数が用いられている。橋脚の固有振動数を求めるにあたって,微動を用いた場合は衝撃振動試験と比べるとフーリエ振幅スペクトルのピークが明瞭に現れないケースが多いため,固有振動数を求めるのが難しいことがある。また,これまで提案されてきた微動による手法は,衝撃振動試験による直近の固有振動数が既知である必要があることなどから実用化には至っていない。しかし微動による評価手法が実用化できればコスト面で有利であり,常時モニタリングにも適している。そこで,著者らは,直近の衝撃振動試験結果を必要とせず,微動計測結果のみから固有振動数をほぼ自動的に同定できる手法を提案した。鉄道橋りょうにおいて実際に計測を行った結果をもとに,提案手法により微動計測結果から固有振動数を同定できることを示した。

  • 日下 寛彦, 藤岡 一頼, 中村 洋丈, 高橋 章浩
    2018 年 13 巻 4 号 p. 329-340
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    道路盛土の盛土内水位が持続的に高い箇所を特定することは地震時等の大規模被害を防ぐ上で重要である。本研究では盛土内水位と排水層となる基盤条件との関係について,浸透流解析による傾向分析を行うとともに,円筒型の模型実験による検証を行った。また,模型実験により降雨継続時間の影響も検証した。解析及び実験から,基盤の厚さが薄い場合や基盤の透水係数が低い場合,水位上昇速度や収束水位は上昇し,水位低下速度は遅くなるという結果が得られた。また,盛土内水位に対する基盤の厚さと透水係数の影響を同時に評価する手法を示した。加えて,実験により降雨の継続時間が短いと水位の上昇量や上昇速度は連続降雨に比べ低下することを示した。

  • 保坂 吉則
    2018 年 13 巻 4 号 p. 341-357
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    ボーリングデータベースを利用し,新潟市域の深度50mまでの土質分布とN値,各種工学的物性を定量分析した結果,次の知見が得られた。砂丘列が連なる北部は,浅層をN値が低い砂と高含水比の細粒土や有機質土が覆い,深度10〜40mは粗粒土層が主体で平均N値が30を超える。20m以浅の粗粒土層は細粒分含有率が10 %以下の砂が主体で,深部は細粒分が増加傾向となる。後背低地の広がる南部は細粒土層の割合と粗粒土層中の細粒分含有率が北部より高く,N値は低い傾向にある。細粒土の液性限界は70%前後が多く,大半が塑性図のA線付近に分布する。細粒土層のN値と一軸圧縮強さは深度に応じて増加し,一軸圧縮強さは深部で100〜200kN/m2の範囲に収束する。浅層部では圧密降伏応力が深度に応じて急増して過圧密傾向を示すが,30m以深は正規圧密条件に近くなる。

  • 岸 裕和, 小林 薫, 角江 俊昭
    2018 年 13 巻 4 号 p. 359-378
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    グラウト注入のモデルは,合理的な施工の追究のため検討が重ねられている。筆者らは,情報化施工への利用を視野に入れ,幾何学的パラメータを限定した平行平板間放射流モデルを提案する。グラウト流動形態には乱流および層流があり,本モデルには両者が考慮される。このため,岩盤内浸透場における乱流と層流の遷移条件である限界レイノルズ数の把握が重要であり,本研究では単一割れ目による室内試験に加え,高粘性流体を使用した原位置試験による評価を行った。これらの結果を踏まえ,懸濁液型グラウトが有する非ニュートン流体の粘性特性を反映し,乱流と層流を取り扱う平行平板間放射流モデルの理論式を新たに構築した。さらに,グラウト到達半径を制御する狙いから,合理的なグラウト注入条件に関する予察的解析により,透水性および限界レイノルズ数に応じたグラウト注入仕様に関し新たな知見を示した。

  • 佐々木 朋子, 佐藤 剛司, Chuang ZHAO, 古関 潤一
    2018 年 13 巻 4 号 p. 379-392
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    供試体作製条件が三軸液状化特性に与える影響を把握するために,締固め法で作製した砂供試体を用いて液状化試験と画像解析を行い,供試体作製時の締固め層厚や初期含水比の違いによる検討を行った。その結果,締固め層厚を薄くすると液状化強度曲線はわずかながら上方にシフトする傾向を示した。また,初期含水比の違いでは,豊浦砂の場合,その差が1.5%であっても2割程度の強度変化がみられた。画像解析による軸方向ひずみの分布は層厚によって異なる傾向を示し,特に,本研究で設定した中で最も厚層であった4層の供試体は,供試体作製時に形成される密度勾配に起因すると想定される影響が現れた。

  • 余川 弘至, 野々山 栄人, 八嶋 厚, Misko CUBRINOVSKI, 吉原 孝保, 杉井 俊夫
    2018 年 13 巻 4 号 p. 393-401
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    大地震が発生するたびに,地盤の液状化による住宅の沈下や傾斜の被害が報告されている。これらの液状化による被害を防止するための対策工法も提案されており,その効果も明らかになっている。しかし,既に住宅を建築済みの場合や,液状化による住宅への被害を低減・抑制する工法については,効果の検証が不十分であると考えられる。そこで本研究では,既設宅地を対象とした人工ドレーン材の液状化被害抑制効果の確認およびその設計法を確立するために,重力場模型振動台実験およびSPH法を用いた簡易数値解析を行った。その結果,模型実験から人工ドレーン材の被害抑制効果を確認することができ,数値解析では液状化対策の相対的な住宅の沈下抑制効果を再現することができた。

  • 松木 宏彰, 鈴木 素之, 楮原 京子, 阪口 和之, 小笠原 洋, 片岡 知
    2018 年 13 巻 4 号 p. 403-421
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    2014年8月20日に広島市安佐南区ならびに安佐北区周辺で,大規模な土石流が発生した。本研究では,土石流の発生した複数の渓流で現地調査を行い,沖積錐の端部付近で堆積物の中に含まれる炭化物を採取し,その14C年代測定を行った。また,下流域付近では,ジオスライサーを用いて堆積物の連続採取を行い,地層の構成物とその堆積状況を観察した。調査は,広島市安佐北区から安佐南区にかけての4地区で実施し,土石流堆積物の地層構成と過去の土石流発生の時期の解明を進めた。その結果,過去7回の土石流が識別され,その発生間隔はおおよそ150年〜400年と推定できた。

ノート
  • 柳浦 良行, 千葉 久志, 武政 学, 野村 英雄, 赤坂 幸洋, 久賀 真一
    2018 年 13 巻 4 号 p. 423-430
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    本論文は,地盤中の接地抵抗の変化を利用した地下水位の測定方法に関する研究開発である。地盤中の接地抵抗は,地下水位以浅と地下水位以深で比較すると測定値が2〜40倍程度変化した。この特性を利用して,金属棒等の電導体を地盤中に挿入し深度方向の連続的な接地抵抗の変化を測定することにより,地盤の透水性の影響を受けず地下水位を測定できる方法を考案した。従来の地下水位測定法と比較した本方法の特徴は,地下水位観測孔の設置を必要としないこと,粘性土でも放置期間を要せず地下水位を測定できること,地盤調査と併用あるいは単独で地下水位測定が可能であることであり,砂質土・礫質土〜粘性土地盤までの地下水位測定を安価かつ短時間で行うことが可能である。

報告
  • 松方 健治, 前田 良刀, 坂東 誉浩, 白井 康夫, 高野 公作, 土田 孝
    2018 年 13 巻 4 号 p. 431-446
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    長大橋の杭基礎の設計において,想定した支持層の下に堆積する更新統粘土層の沈下予測のため,原位置載荷試験を実施した。ボーリング孔を利用してGL-70m付近に堆積する更新統粘土層にφ250mmの載荷板を設置し,ジャッキにより段階的に荷重を載せ,沈下の状況を約9ヶ月間観測した。室内圧密試験と現場載荷試験の沈下量をひずみ量で比較した結果,両者は同様の結果となった。時間-沈下曲線は潮位と連動した周期変動があり,沈下は時間とともに進行して観測期間内では収束する傾向が見られなかった。圧密降伏応力と二次圧密係数の検討を行い,更新統粘土にカムクレイモデルを適用した数値解析によって原位置載荷試験の沈下特性をほぼ説明することができた。

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