日本緑化工学会誌
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15 巻, 4 号
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  • 村井 宏, Mahmoud A. ALAFIFI, 吉崎 真司, Suhayl A. ITANI, 湖東 昭
    1989 年 15 巻 4 号 p. 1-11
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    アラブ首長国連邦大学附属農業研究教育センター内に構築したモデル砂丘において, 砂丘面に合成樹脂系侵食防止剤を全面散布し, 飛砂量と地形の変動量を測定した。丘頂部の飛砂は, 散布前は優勢風向面脚部の6.7倍, 風背面脚部の7.1倍であったが, 散布後は各々0.17倍, 0.16倍となり抑制された。散布前の地形は, 丘頂部付近で半年間に最大46cmの変動を示したが, 散布後半年間ではわずか0.9cmであった。散布20か月後においても地形変動量はごくわずかで, 劣化等による破壊も認められなかった。侵食防止剤散布直前に5種類の現地産防砂樹種 (現地名: Samar, Ghaf, Markh, Arta, Rims) を約2000本/haの密度で植栽した。砂丘上に6個の方形区を設定し, 方形区内の植栽木について樹高及び樹冠面積を測定した。植栽20か月後には丘頂部を超える樹高成長を示し, 樹冠が接し始めるほどの生育が見られた。20か月後の平均樹高は, Samar154.8cm, Ghaf187.5cm, Markh279.1cm, Arta271.3cm, Rims100.4cmで, 被覆率は約39.8%であった。侵食防止剤を用いた複層の樹林帯の造成法は, アラブ首長国連邦における砂丘の安定化のための実用的な技術であると考えられる。
  • 湖東 朗, 大沼 洋康, 角張 嘉孝, Suhail A. ITANI, Imad HAFFAR
    1989 年 15 巻 4 号 p. 12-19
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    アラブ首長国連邦 (UAE) は極乾燥地に属し, 年平均雨量は100mm以下でしかも年変動がかなり大きい。したがって, UAEの農業は井戸水などによる潅がいに依存しているが, 無計画な農業開発は貴重な水資源の枯渇を招くおそれもあり, 灌がい水の有効利用のためには圃場に於ける水収支の研究が非常に重要である。本研究は (1) 灌がい頻度がアルファルファの蒸散速度や葉温の日変化及び季節変化に及ぼす影響, (2) これらの因子がアルファルファの生長に及ぼす影響, 及び (3) 気象因子がアルファルファの蒸散速度に及ぼす影響などを検討するために行った。
    ポロメータを用いてアルファルファの蒸散速度及び葉温の日変化及び季節変化を1988年4月, 8月, 11月及び1989年1月に測定した。毎日灌水する高頻度潅がい (F) 区及び2日に1日灌水する対照 (N) 区の2つの区を設定した。灌水頻度が蒸散速度及び葉温に及ぼす影響は11月や1月の比較的寒い時期よりも, 4月や8月の暑い時期の方が大きかった。F区とN区の差は, N区の灌がいをしない日に大きく, 4月と8月におけるN区の蒸散速度はF区のそれよりも小さかった。葉温はN区よりもF区の方が低く, 両区の最大葉温差は4月及び8月にそれぞれ4℃及び6℃であった。アルファルファの草丈及び乾物収量は, 両区における蒸散速度や葉温の違いを反映してF区のほうがN区よりともに10%ずつ高かった。
    灌がいしない日におけるN区の推定蒸散量 (TRn) はF区のそれ (TRf) よりも少なく, TRnとTRfの比は4月, 8月, 11月及び1月についてそれぞれ77%, 72%, 70%及び92%であった。
    F区の測定データを用いて蒸散速度と光量子量 (QU), 飽差 (VPD), 相対湿度 (RH), 葉温 (LT), ポロメータチェンバー温度 (CT) との相関を調べた結果, QUとの相関が最も高いことがわかった。また, 光強度を変えて蒸散速度を測定した別の実験でも両因子問に高い相関関係がみられた。さらに, 重回帰分析により上記因子による蒸散速度の予測モデルを検討した。各月のデータについては, かなり高い相関が認められたが, それぞれの同帰係数については季節により違いがみられた。
  • 土壌水分不足時の蒸散特性についての数値計算モデルを用いた解析
    大手 信人, 鈴木 雅一, 小橋 澄治
    1989 年 15 巻 4 号 p. 20-30
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    中国, 毛鳥素沙地における緑化樹種, 旱柳 (Salix matsudana Koidz.) の生育形態に及ぼす土壌水分条件の影響を考察するため, 気象観測データから土壌水分条件と蒸散特性の経時変化を推定する数値計算モデルを考案した。本モデルは, (1) 沙地面蒸発-乾砂層消長モデルと, (2) 土壌水分・根系吸水分布モデルからなり, (1) により算定れる沙地表層以下への浸透水量を入力とし, (2) によって水分と根系の吸水特性の鉛直分布と蒸散量を算定する。1986年から日中合作による沙漠緑化研究の一環として現地観測されている, 微気象, 土壌水分, 沙地面蒸発, 旱柳の蒸散特性等のデータを基に, 本モデルによって地下水面位置の異なる2ケ所に生育し, 体制や葉面の組織が異なる旱柳の, 乾燥期における土壌水分消費特性の経時推定を試みた。両者の形態の相違は, 各々の立地における水分環境への適応の結果と考えられ, 地下水面から毛管上昇によって水分が根域に供給されるか否かで形態に大きな相違が現れると考えられた。また推定の結果, その適応戦略は両者とも乾燥期に吸水阻害を最小限に抑えうるものと考えられた。
  • 久津那 浩三, 横田 博実
    1989 年 15 巻 4 号 p. 31-35
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    保水剤の保水機能は塩類の共存下で低下することがよく知られている。塩水灌概, 塩類集積などの問題がある幹燥地の農業や緑化に対して保水剤の有効利用をはかることを目的として, 3種類の保水剤を砂質土壌に施用し, 共存塩類が土壌保水能に及ぼす影響を検討した。保水能は土壌の水分蒸発, 三相分布などにより調べたが, 共存塩類濃度が高くなるにっれて保水能は低下し, 保水剤問の保水能の差がみられなくなった。また, 各種陽イオンの保水剤の保水能に及ぼす影響力の順位はCa>Mg>K>Naであった。本試験に供試した保水剤の保水能は塩類共存下で著しく低下することから, 乾燥地での利用には問題があると考えられた。
  • 五十嵐 鉄朗, 鍛治 清
    1989 年 15 巻 4 号 p. 36-42
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
  • 小林 達明
    1989 年 15 巻 4 号 p. 43-57
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    中華人民共和国ムウス砂地の成因と自然的構造について主として既往の文献をもとに解説する。ムウス砂地は気候的には砂漠地域には属さないが, 人為的干渉の影響が強い砂漠化地域とされている。砂漠気候と草原気候の中間的な位置にあり, また第四紀地層に大量の砂質堆積物を蓄積しているため, 潜在的に砂漠化の危険性の大変高い地域である。こうした条件のもとで主として環境に不適応で無理な農耕の導入によって砂漠化が進行した。現在の土地は景観的には波状高平原・移動砂丘地・固定砂丘地・湿性草地に分類され, それぞれ基盤の条件・水分条件・風成作用などによって特徴づけられる。そしてそれぞれの条件に応じて特徴ある生態系が成立している。それらの類型は固定的なものではなく, 固定砂丘地・波状高平原は砂漠化によって移動砂丘地に移行する。とりわけ固定砂一丘地は不安定で開墾によって容易に砂漠化してきた。一方, 砂の移動量が少なくなった砂丘では土地の遷移が始まり固定砂丘に移行する。このように当地は全体に動的過程にあるといえ, そうした土地の特性と動態をふまえて利用計画が立てられ緑化が進められている。
  • 半乾燥地域現地調査記
    角張 嘉孝
    1989 年 15 巻 4 号 p. 58-62
    発行日: 1990/07/20
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
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