日本緑化工学会誌
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18 巻, 2 号
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  • 韓 海栄, 橋詰 隼人
    1992 年 18 巻 2 号 p. 83-94
    発行日: 1992/10/30
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    コナラの前生稚樹の生育形は, 主軸伸長型, 側枝伸長型, 萌芽再生型の三つに大別され, さらに九つに細分された.閉鎖林冠下では主軸伸長型と側枝伸長型が, 林冠欠所下では萌芽再生型が多くみられた.前生稚樹の平均年齢は, 閉鎖林冠下では4.1年, 林冠欠所下では14.5年であったO前生稚樹の定着様式には主軸がそのまま伸長して定着するタイプと, 主軸が伸長せず萌芽更新によって定着するタイプの二つが認められた.後者は高齢稚樹で多くみられた.林内の稚樹は成長が悪く, 林縁稚樹に比べて葉面積比およびT/R率が大きかった.前生稚樹の成長は上木の伐採によって著しく促進された.皆伐地の稚樹は皆伐後3年目で乾重量が閉鎖林冠下の稚樹の38倍に増加した.
    皆伐地における前生稚樹の定着と成長促進には, 除草剤の散布, 施肥, 刈払いの三つの処理の併用が有効であった.ササの枯殺にはフレノック50kg/haの散布が適当であった.ササ密生地への施肥は, かえってササの繁茂を促進し, 稚樹の定着を阻害した.フレノック・施肥・刈払区では, 上木伐採から3年後に優勢稚樹がha当り5-9万本生存し, 樹高約1mに成長した.この結果からフレノックと施肥併用がコナラの更新に有効であることがわかった.
  • リターフォール量の年変動と季節変化
    西村 尚之, 山本 進一, 千葉 喬三
    1992 年 18 巻 2 号 p. 95-103
    発行日: 1992/10/30
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    岡山市内の約40年生のコナラ林において, リターフォール量の調査を約4年間定期的に行った。調査林分の胸高直径5cm以上の樹木の胸高断面積合計は18.1m2・ha-1で, コナラはその71.5%を占めていた.年間の全リターフォール量は5.94-8.07ton・ha-1・yr-1であった.また, その64.7-76.6%を落葉が占めていた。年落葉量は4.55-5.22ton・ha-1・yr-1で, その年変動は小さかった。コナラの年落葉量は全落葉量の約60%を占めており, 2.59-3.08ton・ha-1・yr-1であった。落枝量の年変動は落葉量に比べて大きく, この原因は台風の襲来によるものであった.生殖器官の年落下量の約80%はコナラの雄花と果実であった。コナラの果実の年落下量は189-744kg・ha-1・yr-1で, その年変動は大きかった。落葉量の季節変化は, 11-12月に落葉の最盛期があり, 4月下旬-6月上旬にも落葉量がやや増加するパターンを示した。また, コナラは他樹種に比べて落葉期がやや遅く, 短期間に落葉する傾向があった.落枝量は, 落葉量のような明らかな季節変化を示さず, 台風などの強風の影響によって激増した。
  • 養父 志乃夫, 中島 敦司, 河村 止
    1992 年 18 巻 2 号 p. 104-111
    発行日: 1992/10/30
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    チャボリュウノヒゲ, ツルマンネングサ, マルバマンネングサ, メキシコマンネングサの4種を供試材料とし, 自然光の届かない人工環境下におけるこれらの種の植栽の可能性を検討するため, インキュベーター内の白色蛍光灯だけを光源とする人工日照条件下で栽培実験を行うことにより生育反応を調査した。
    チャボリュウノヒゲは, 2400Lx.の15時間照射区と20時間照射区におき, パーライトと液肥の希釈液だけの施用条件下で5ヵ月にわたりほぼ正常に生育し, 植付け後5ヵ月目の生存率は, 100%, 乾物重量と葉数は, 植付け後, ほぼ一定の値を維持した。一方, ツルマンネングサ, マルバマンネングサ, メキシコマンネングサの白色蛍光灯500-2000Lx.での生存率は, 6ヵ月にわたり100%であり, 1000-2000Lx.では, 3種ともほぼ健全に成長した。この内, 最も成長が旺盛な種は, メキシコマンネングサであった。また, 500Lx.程度の低い照度条件において衰退速度が最も遅かった種は, マルバマンネングサであった。さらに, 実験期間中に展開したツルマンネングサの葉は, 自然光下に比べ葉身長に対し葉幅の大きい丸味のある形状に変化することを観察した。
  • 特に雑草防除を効果的に行うための基盤整備と維持管理のあり方について
    鈴木 貢次郎
    1992 年 18 巻 2 号 p. 112-123
    発行日: 1992/10/30
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    本研究は複数種の草花の種子を混播する緑化手法について, 特に雑草制御手法に主眼をおき, 草花を混播する際に最低限必要な植栽基盤整備や維持管理手法を明らかにするための実験を行った。その結果, 以下の知見が得られた。
    (1) 草花を導入する基盤土壌には雑草の埋土種子量が少ない土壌 (関東火山灰心土等) を用いると草花が雑草に被圧されにくくなることが認められた。
    (2) 心土においては元肥および, 追肥 (N: P2O5: K2O=1:1:1の配合比で純窒素分5g/m2) の施用が不可欠となること, さらに元肥とあわせて無機質・有機質の土壌改良資材を原土に対して20%ずつ混入すると, さらに着花数が増えたり, 観賞期間が長くなったりして効果的であることが認められた。
    (3) 表土では元肥の施用効果は顕著に認められなかったが, 表土を鋤取って元肥とあわせて土壌改良資材を混入してもとに戻した場合, 雑草の発生量が少なくなり草花の生育開花が2年目でもある程度保たれた。また, 表土を基盤土壌に用いる場合には, 播種した当年の7月上旬に一度手抜き除草を行わないと2年目は草花の生育, 着花がほとんどみられなくなることが明らかになった。
  • 樋口 裕美, 小野寺 弘道
    1992 年 18 巻 2 号 p. 124-128
    発行日: 1992/10/30
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
    多雪, 豪雪地帯における人工斜面の積雪移動を, 木本植物の植栽により緩和するため, 基礎資料をうることを目的に, 耐雪性の高いブナを多雪地帯の土壌の薄い人工斜面に植栽し, 16年間の生存率と成長経過を斜面の方位別に調査した。16年後の生存率は, 南, 東, 北斜面でそれぞれ植栽当初の75, 45, 59%となっており, 特に南斜面において生存率が高かった。これは南斜面は日射量が多いため, ザラメユキ化の進行が早く, 雪圧が他の斜面に比べて小さくなり, 雪圧害によって枯死する個体が少なかったためと考察された。東斜面の生存率が低くなったのは, 穿孔性昆虫により, 幹が食害されて強度が低下し, 雪圧害によって枯死する個体が多かったためである。しかし, 16年後にはいずれの斜面の生存率の推移も安定し, 残存個体の成長も順調であることから, 土壌の薄い多雪人工斜面においても, ブナの植林は可能であることが明らかとなった。
  • 新村 義昭
    1992 年 18 巻 2 号 p. 129-133
    発行日: 1992/10/30
    公開日: 2011/02/09
    ジャーナル フリー
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