北海道中央部古第三系泥岩を掘削し, 転圧が加えられた岩屑地において, 森林の造成法を検討した。岩屑地の表土に生育する草本を地はぎして除去し, 植栽用のトレンチを機械掘削後埋め戻し, 樹木を植栽した。植栽樹種はケヤマハンノキ, ミズナラ, ダケカンバ, ハリギリ, ヤマグワ, シナノキ, イタヤカエデなど広葉樹7種, 針葉樹はグイマツ, グイマツ雑種F1, トドマツ, およびカラマツの4種で, 9年間の成長と生残を調査した。この結果, 広葉樹はケヤマハンノキを除いては成長が極めて悪く, 植栽時の樹高を下回るものが多かった。また針葉樹は, グイマツとトドマツが消失したが, グイマツF1, カラマツが成長, 生残率ともに卓越して大きかった。植栽木の生残率はトレンチ掘削をすることで高まり, 成長量は地表面に莚, ビニールシートで被覆することからも増加した。さらに針葉樹2種と肥料木 (ケヤマハンノキ, ミヤマハンノキ, アキグミ) との混植を行ったところ, 生残率は有意に高まり, グイマッF1では成長量も有意に増加し, 肥料木との混植の効果が大きいことが実証された。以上の結果から, 締め固められた岩屑地での森林造成を行うためには, 地盤をトレンチ掘削により根張り空間を確保し, 単一樹種の植栽でなく肥料木との植栽を行うことがきわめて有効と考えられた。
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