生物多様性を保全するための植栽ガイドラインの策定には,地域の在来種に関する植生情報の整理が有効であると考えられる。本研究では,石川県を事例に,生物多様性保全型の植栽ガイドライン策定に貢献するため,生物多様性に関連する各種行政計画を整理し,制度的ギャップ分析を実施するとともに,ガイドライン策定に有効と思われる既存の植生情報の書誌的検討を行った。在来種選定にともなう既存の植生情報活用の有効性と課題点を明らかにするとともに,自生樹種に関する植生情報と地域の植栽景観形成を接続するための制度的な指針づくりの必要性を提起した。
壮齢ヒノキ林に本数間伐率50%(材積間伐率35%)を実施した。また,間伐後の下層植生を評価するために外来牧草を播種し,植被率の変化を調査した。播種した範囲の相対照度は平均15.4%となり,間伐を実施する前と比較して,11.6%上昇した。播種した外来牧草の植被率は,播種1 ヶ月後には50%程度となったが,播種2 ヶ月後から衰退し始め,4 ヶ月後には10%未満となった。間伐を実施しない対象区の相対照度は平均4.1%であり,播種後3 ヶ月後にはほぼ枯死した。地表面侵食防止のための森林整備方法として,下層植生を早期に健全に生育させるためには,より強度の間伐を実施するか,耐陰性の高い草種の選定が必要である。