石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
37 巻, 6 号
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  • 脇田 光明, 柳沢 和博, 松永 充史
    1994 年 37 巻 6 号 p. 561-568
    発行日: 1994/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    軽油の深度脱硫処理により生成する蛍光物質の分析を試みた。深度脱硫軽油をアルミナカラムクロマトグラフィーにより飽和成分と蛍光発色成分 (芳香族濃縮成分) に分離し, シリカゲルカートリッジカラムで極性化合物を除去した。残りの成分から蛍光物質を薄層クロマトグラフィー (TLC) で分画した後, アルミナカートリッジカラムを用いて4成分に分画した。各成分をHPLC, 励起•蛍光スペクトル, 1H-NMR, FD-MSを用いて解析した。その結果, アルキルピレン, アルキルクリセン, アルキルジベンゾフェナントレン, タイプの異なったアルキルベンゾペリレンなどが検出された。その中で, アルキルジベンゾフェナントレン, アルキルベンゾペリレンが蛍光発色の主要な原因物質であることが推定された。
  • 山崎 忠男, 抜田 亮人, 荻野 圭三, 村田 澄彦, 占部 滋之, 阿部 正彦
    1994 年 37 巻 6 号 p. 569-575
    発行日: 1994/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    アルキル硫酸塩/1-ヘキサノール/n-アルカン/塩水系マイクロエマルションの相挙動が塩濃度変化により検討され, さらにミドル相マイクロエマルションを生成するときの親水性相互作用と親油性相互作用の大きさやバランスを解明するため, 熱量測定がアルキル硫酸塩やn-アルカンのアルキル鎖長変化により行われた。
    ミドル相マイクロエマルションを生成するための最適塩濃度は, n-アルカンのアルキル鎖長 (ACN) の増加に伴い増加したが, アルキル硫酸塩のアルキル鎖長 (SCN) の増加に伴い減少した。また, 混合エンタルピーの変化が14.11×10-2cal/g n-Alkane より小さいとき, ミドル相マイクロエマルションが生成しないことが分かった。ミドル相マイクロエマルションを生成するための親水性相互作用と親油性相互作用のバランスを意味するR値はSCNの増加に伴い減少した。さらに, SCNがACNより小さいときR値は0.9から1.1の範囲となったが, SCNがACNより大きいときR値は0.7から1.4の範囲となった。これらのことから, ミドル相マイクロエマルションが生成するときのR値は必ずしも1.0である必要はなく, 言い換えれば親水性相互作用と親油性相互作用の大きさは同じである必要がないことが分かった。
  • 横山 千昭, 仁志 和彦, 高橋 信次
    1994 年 37 巻 6 号 p. 576-583
    発行日: 1994/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    エチレングリコールおよびジエチレングリコール中におけるリグニンの熱分解反応について研究した。反応温度573Kと623Kにおいて3時間反応を行った。ジエチレングリコール中, 反応温度573Kでの反応以外では, 生成物は2液相に分離した。下相はグリコールが主成分で, その他に水溶性の生成物が含まれており, 上相は黒色のオイル状の液体であった。元素分析値, 1H-NMRおよび13C-NMR測定により水素および炭素の分布を定量し, 官能基濃度解析法により生成物中に含まれていると推定される13種類の官能基の濃度を決定した。解析に際して2種類の解析法について検討した: 方法1は解析データとして元素分析値と1H-NMRデータを用いる方法であり, 方法2では元素分析値, 1H-NMRデータのほかに13C-NMRデータも用いる。二つの方法の結果を比較したところ, フラン環, グルコース単位の2級アルコール基, グルコース単位のヘミアセタール基の三つの含酸素官能基の濃度が大きく異なることが分かった。これより, リグニン分解油に特徴的なこれら含酸素官能基の濃度を正確に評価するためには1H-NMRと13C-NMRの両方のデータが必要であることが分かった。したがって, リグニン分解油や木材液化油などの酸素含有量が大きな混合物の官能基濃度解析には方法2の方が優れていると考えられる。
  • 山村 正美, 岡戸 秀夫, 続木 直英, 大塚 潔
    1994 年 37 巻 6 号 p. 584-593
    発行日: 1994/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    アルカリ金属 (1族金属: Li, Na, K) と周期律表5族金属 (V, Nb, Ta) を組み合わせた複合酸化物触媒 (1族/5族原子比1:1および1:0.3) を用いてメタン酸化カップリング反応を行い, それらの触媒性能と物理化学的性質について検討した。触媒活性およびC2以上の高級炭化水素 (C2+) への選択性は2種の金属の組み合わせ, 原子比によって変化した。アルカリ金属はLi>Na>K, 5族金属はTa>Nb>Vの順に, また1族/5族原子比は1:1より1:0.3の方がそれぞれ活性, 選択性が高い傾向を示した。
    X線回折の結果, 1族, 5族金属をそれぞれA, Bで表すと, 原子比1:1で調製した触媒の結晶構造はすべてABO3で表される複合酸化物 (メタ5族金属酸塩) であるのに対し, 5族金属の量を減らした原子比1:0.3の触媒の結晶構造は, 主にA3BO4で表される複合酸化物 (オルト5族金属酸塩) であった。ただし, カリウムと5族金属の組み合わせではオルト5族金属酸塩の生成は認められなかった。反応結果との比較から, A3BO4構造はABO3構造よりも特にC2+選択性の点で優れているといえる。空気中に長時間放置した触媒の熱分析結果から, A3BO4構造の触媒には炭酸ガスを吸着し, かつそれを700K以上の温度で脱離する塩基点の存在が推察された。しかし, ABO3構造の触媒にはそのような塩基点は認められなかったことから, A3BO4構造の触媒が高選択性を示すのは, この塩基点の存在によるものと推察される。
  • 松林 信行, 玉山 昌顕, 島田 広道, 佐藤 利夫, 葭村 雄二, 森 雄介, 河俣 裕幸, 阿部 正彦, 荻野 圭三, 西嶋 昭生
    1994 年 37 巻 6 号 p. 594-602
    発行日: 1994/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    水素化精製触媒の酸化再生方法最適化についての知見を得るため, 使用済みNi-W/Al2O3触媒を試料として, 再生条件の違いによる触媒活性回復挙動および再生過程における触媒構造の変化について検討した。その結果, 低酸素濃度下での多段階焼成法によって再生触媒の活性はほぼ元の活性に回復し, 大気中の一段酸化再生と比べて著しく高い活性回復が可能であることがわかった。大気中の酸化焼成は触媒上の析出炭素質除去の点では優れていたが, 急激な発熱反応が起こるためニッケル酸化物, タングステン酸化物の凝集を引き起こし, 次工程の硫化中に高活性点である"ニッケル-タングステン-硫黄"構造を生成しにくくしていることが明らかになった。以上, 本触媒の再生では酸化焼成段階の触媒成分の再分散が再生過程における最も重要な因子であると考察された。
  • 前処理触媒の活性劣化に伴う接触分解率の低下
    深瀬 聡, 丸山 文夫
    1994 年 37 巻 6 号 p. 603-610
    発行日: 1994/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    二つの異なる水素化条件, 水素化精製モード (HT) とマイルドハイドロクラッキングモード (MHC) にてVGOの前処理を行い, 長期運転における生成油の接触分解特性の変化を調べた。ベンチスケールの水素化精製装置にてNi-Mo/Al2O3触媒を用いて水素化実験を行い, 得られた生成油から灯軽油留分を除いた後, FCC原料油であるVGO留分の接触分解特性をMATにて調べた。水素化精製の過酷度は, 脱硫, 脱窒素, 分解および接触分解特性の向上という四つの機能の長期的な劣化に大きく影響を及ぼした。MHCモードはHTモードに比べ脱硫, 脱窒素, 分解および接触分解特性の向上のいずれにおいても, より速く劣化した。また, 接触分解特性向上の機能は, 脱硫や脱窒素に比べ, より速く劣化しやすかった。この原因は, MHCモードでは生成油のVGO中の窒素と多環芳香族の増加速度が, HTモードに比べ著しいからである。水素化精製とFCCを組み合わせた長期に渡る運転を考慮すると, HTモードはガソリンの増産に向いている。一方, MHCモードは初期にはHTモードに比べて中間留分が大きく増えるが, その差は次第に減少していく。
  • VGOの性状とその接触分解特性
    深瀬 聡, 丸山 文夫
    1994 年 37 巻 6 号 p. 611-619
    発行日: 1994/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    ベンチスケールの水素化精製装置を用いて, フレッシュおよび実機使用済みのNi-Mo/Al2O3触媒を使用し, 種々の条件下でFCC原料油であるVGOの前処理を行った後, 得られた生成油中のVGO留分についてMATを用いた接触分解試験を実施した。水素化精製の過酷度は, FCC原料油の組成とその接触分解特性に大きく影響を及ぼした。圧力3.9MPa, 温度400°C以上では熱分解の寄与が大きく, 水素化脱窒素がより起こりやすい条件である7.8MPaで水素化精製した時に比べ, VGO留分にはより多くの窒素と多環芳香族が含まれた。このため水素化分解率が高い3.9MPaでの水素化精製の場合には, 生成したVGOの接触分解率は大きく低下した。そして窒素, 多環芳香族, レジン等の原料油の性状とMAT分解率とを関連付ける式を提案した。
  • 軽油の深度脱硫における化学水素消費量推算法の検討
    森村 恭郎, 井上 慎一, 和田 幸隆, 牛田 利子, 中田 真一, 高塚 透
    1994 年 37 巻 6 号 p. 620-623
    発行日: 1994/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    軽油の深度脱硫プロセスにおける水素消費量は, プロセス設計およびプロセスの経済性評価の上で重要な要素となっている。通常, 直留軽油を原料とした場合の化学水素消費量は数十Nm3/kl程度と非常に少なく, 高精度での測定が難しいとされている。本報では, 実際のマイクロリアクターおよびコマーシャルプラントでの軽油の深度脱硫試験の結果に基づく, 化学水素消費量の算出方法を提案した。H/Cの分析精度を向上させ, 流量の変動因子を除いたこの算出方法 (改良法) によれば, 算出精度が±3Nm3/klの誤差範囲内であり, 従来の方法に比べ高い精度を有することがわかった。
  • 徳光 克也, 森吉 昭博, 中島 隆, 藤原 正浩
    1994 年 37 巻 6 号 p. 624-627
    発行日: 1994/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    本研究は種々のアスファルトを用い, アスファルトとそのアスファルトを用いたアフスァルト混合物について低温領域において2種の曲げ試験を実施し, これを引張の破壊状態に換算し, 破壊包絡線の形状や位置およびそれらの関係について検討した。
    実験の結果, 各種アスファルトの低温領域における破壊包絡線の形状は大きく三つのタイプに分類され, アスファルト混合物の破壊包絡線の形状は使用したアスファルトのそれとほぼ同一であり, 針入度には依存しないこと, またアスファルトに添加剤が混合された場合やセミブローンアスファルトに対しても同様の結果が得られることを明らかにした。
  • 柳沢 和博, 菊崎 浩
    1994 年 37 巻 6 号 p. 628-631
    発行日: 1994/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    ガソリン中のベンゼンの超臨界流体クロマトグラフィー (SFC) による分析法を研究した。SFCによる分離にはシリカゲルカラムと移動相に二酸化炭素を用い, 移動相の温度と圧力による影響を調べた。検出にはフレームイオン化検出器 (FID), または紫外吸収 (UV) 検出器を用いた。UV検出の場合には, ガソリン中のベンゼンの検出にオレフィン分の妨害がほとんど見られない260nmの波長を採用した。また, ベンゼンと1-メチルシクロペンテンの溶出の重なりは本SFC法ではなかった。ガソリンの分析結果は, JIS K 25361993石油製品-炭化水素タイプ試験方法に従ったガスクロマトグラフィーによる分析値と比較したところ良く一致していた。SFCによる分析所要時間は約30分であった。
  • 志方 佐和美, 奥原 敏夫, 御園生 誠
    1994 年 37 巻 6 号 p. 632-635
    発行日: 1994/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    Dawson-type heteropolyacid (H6P2W18O62) was found to be much more active for gas-phase synthesis of methyl tert-butyl ether (MTBE) from 2-methylpropene and methanol than Keggin-type heteropolyacids as well as SO42-/ZrO2, SiO2-Al2O3 and H-ZSM-5. By supporting H6P2W18O62 on SiO2, the yield of MTBE increased greatly and became comparable to that for Amberlyst 15.
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