石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
最新号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 大島 義人, 稲葉 晃一, 幸田 清一郎
    2001 年 44 巻 6 号 p. 343-350
    発行日: 2001/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    有害排水の新規な処理方法として, 固体触媒を用いた超臨界水酸化反応が注目されている。本研究では, MnO2を触媒とするコークス炉ガス洗浄排水の超臨界水酸化反応について, 反応器設計の基礎的データの収集と, 共存物質の存在による反応速度への影響に関する情報を得ることを目的とし, 速度論的な解析を行った。コークス炉ガス洗浄排水の主成分はアンモニアであるため, まずアンモニア溶液について反応を行い, MnO2がアンモニアの完全分解に有効に働く触媒であることを確認した。続いて, 実排水のモデル溶液として, アンモニアとフェノールの混合溶液について実験を行った。アンモニアの分解速度は, アンモニア溶液に比べてモデル溶液の方が小さくなった。アンモニアの存在はフェノールの分解に影響を与えないが, 全有機炭素 (TOC) の分解を強く抑制することがわかった。このように相互に反応を阻害する効果は, 全ての化学種が同一活性点に競争的に吸着することを仮定した Langmuir 型モデルによって説明できる。希薄な実排水を用いた実験でも, 特に0.5秒以下の短い接触時間では同様の阻害効果が確認された。しかし, 500°C, 2秒程度の条件において, 非常に高いアンモニア, TOC反応率が得られた。これらの実験結果より, 固体触媒を用いた超臨界水酸化反応は, コークス炉ガス洗浄排水の完全分解に有効な方法であることが示唆された。
  • 白金担持L型ゼオライト上でのヘキサン転化反応速度
    永松 茂樹, 猪俣 誠, 井村 晃三, 岸田 昌浩, 若林 勝彦
    2001 年 44 巻 6 号 p. 351-359
    発行日: 2001/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    Pt/KL触媒上でのヘキサンの芳香族化反応スキームについて, 芳香族化の中間体と考えられる各種炭化水素の反応試験を行い検討した。その結果, Pt/KL触媒上でのヘキサンの反応は白金の一元的な触媒作用により進行することが明らかとなった。反応試験結果に基づき, Pt/KL触媒上での一般化反応モデルを提案し, 速度式の決定を行った。決定した反応速度式を用いて, 異なる反応物, 反応条件 (温度, 圧力) 下で良好に生成物分布をシミュレートすることができた。
  • パイロット装置によるPt/KL触媒のヘキサンの芳香族化反応性能評価
    永松 茂樹, 猪俣 誠, 井村 晃三, 岸田 昌浩, 若林 勝彦
    2001 年 44 巻 6 号 p. 360-370
    発行日: 2001/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    Pt/KL触媒による軽質ナフサの芳香族化に使用する反応器型式の検討を行った。断熱反応器, 外部加熱型チューブラー反応器を用いて, 実装置条件下でn-ヘキサンを主成分とする軽質ナフサの芳香族化反応試験を行い, 実測値とシミュレーション結果を比較検討した。その結果, いずれの反応器においても生成物分布および触媒層の温度分布を良好にシミュレートすることができた。
    本反応は二元触媒上での反応と比べて, より大きな吸熱を伴う。反応に必要な熱の供給を効率的に行うとともに, メタンなどの分解ガスの生成を抑制するのに適した反応器型式および反応条件について検討した。その結果, 外部熱交換型チューブラー反応器が従来の断熱型反応器に比べて操作圧力, 水素/炭化水素比, 反応温度の面で有利であり, かつ分解反応も低減できることからより適した反応器であることが示された。
  • 伊藤 貢悦, 田川 智彦, 後藤 繁雄
    2001 年 44 巻 6 号 p. 371-377
    発行日: 2001/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    溶融炭酸塩型燃料電池 (MCFC) システムをメタンの選択的変換反応による合成ガスおよびC2化合物 (エタン•エチレン) の製造に応用した。従来のMCFC反応器の欠点である安定性の不足や前処理に必要な時間を改善するため, コンパクトなセル型のMCFC反応器を設計した。反応器を構成する各プレートはドクターブレード法を用いて作製した。このような反応では, 燃料極触媒の設計が重要な要素である。MCFC反応器に合わせて2種類の触媒を調製した。合成ガスの製造のためにはLi-Ni/Al2O3触媒を用い, C2化合物の製造のためにはLa2O3触媒を用いた。これらの燃料電極を使用することにより, 所期の生成物を選択的に得るとともに, 相当する電力を得ることができた。
  • Saman C. BUDDHADASA, Sebastian BARONE, Stephen W. BIGGER, John D. ORBE ...
    2001 年 44 巻 6 号 p. 378-383
    発行日: 2001/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    石油系炭化水素による土壌汚染は深刻な環境問題である。オーストラリアではそれら炭化水素の分析に適用される方法は多数あり, それぞれ広く用いられている。本研究では, 石油系炭化水素総量 (Total Petroleum Hydrocarbon, TPH) の分析のため, 特に超音波法とソックスレー抽出法を用いて中程度の揮発性を有するC10~C36の炭化水素成分の抽出を行った。炭化水素の抽出はガソリンスタンドから採取された50%以上粘土質を含む土壌84試料を用いて行った。土壌中の水分含量は6.9~32.7%であった。これらの土壌試料は超音波法, ソックスレー抽出法でそれぞれ抽出を行った。抽出物はFID検出器付きガスクロマトグラフで分析した。統計上の検定解析を行い, 粘土質土壌試料のTPH分析ではソックスレー抽出法の方が超音波法に比べ高い抽出率が得られた。TPH分析は超音波を用いた抽出法が頻繁に行われていることからこの差異は考慮を要する重要な知見である。
  • 草間 仁, 岡部 清美, 荒川 裕則
    2001 年 44 巻 6 号 p. 384-391
    発行日: 2001/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    Rh/SiO2触媒を用いたCO2の接触水素化反応に対するCe添加物の影響を検討した。Ce添加によって, CO2転化率が著しく上昇した。Rh単味触媒では主生成物はCOであったが, Ce添加触媒ではメタンであった。その上, Ce添加物の添加はエタノール生成能を向上させた。このようなCeの添加効果の要因を探るために, XRD, TEM, EDX, およびFT-IRによる触媒のキャラクタリゼーションを行った。XRDおよびTEM観測から求めたRh-Ce/SiO2触媒の平均金属粒子径は, Rh/SiO2やCe/SiO2触媒のそれよりも小さかった。反応条件下やCO2吸着の in-situ FT-IRスペクトル観測の結果, Rh単味触媒においてはCO吸着での結果と同様にCO2分子はCO種として吸着したことが分かった。しかしながら, Ceを添加した触媒では, 反応条件下やCO2吸着実験で1570cm-1付近にカルボキシレート種に帰属される新たなピークが現れた。この結果はCe添加物が触媒のCO2吸着能を高め, CO2転化活性を増大させたことを示している。その上, CO2接触水素化反応やCO吸着実験において, 金属の高分散化に起因する炭素と酸素原子の両方が結合しているCO分子の新たなピークが1700cm-1付近に見られた。このようなIRの結果から, Ce添加物はCO吸着種の解離やCO挿入を促進し, メタンやエタノールの選択性を上昇させたものと考察された。
  • 長田 秀夫, 田代 靜香, 岸田 昌浩, 若林 勝彦
    2001 年 44 巻 6 号 p. 392-396
    発行日: 2001/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    イソペンタンの気相酸化反応を無触媒条件下で行った。その結果, いずれの反応温度においても主生成物は含酸素化合物 (3-メチルテトラヒドロフラン, 2-プロピルオキシラン, 2-エチル-2-メチルオキシラン, 2,2,3-トリメチルオキシラン, アセトンおよびアセトアルデヒド) およびイソペンテン類 (2-メチル-1-ブテン, 2-メチル-2-ブテンおよび3-メチル-1-ブテン) であった。生成物選択率の反応ガス滞留時間依存性を調べたところ, イソペンタンの気相酸化反応による含酸素化合物の生成は, イソペンタンから生成したイソペンテン類への酸素の付加反応によると考えた。さらに, イソペンテン類の気相酸化反応の結果から, 3-メチルテトラヒドロフランおよび2-プロピルオキシランは3-メチル-1-ブテンを経由し, 2,2,3-トリメチルオキシランおよびアセトンは2-メチル-2-ブテンを経由し, 2-エチル-2-メチルオキシランは2-メチル-1-ブテンを経由して生成すると考えた。
  • 部分酸化と水性ガスシフト反応の影響
    Prapan KUCHONTHARA, 松村 幸彦
    2001 年 44 巻 6 号 p. 397-400
    発行日: 2001/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    石狩草炭と廃タイヤをそれぞれ単独, および混合物の超臨界水液化することにより, 両者の共液化による相乗効果を明らかにした。加えて部分酸化と水性ガスシフト反応が超臨界水中の液化特性に及ぼす影響についても明らかにした。実験は回分式反応器を用い673K, 25MPaの条件で行った。ニッケル触媒存在下での生成ガスは, 無触媒の時と比較すると, H2の生成が増加, COの生成が減少したため, ニッケル触媒に水性ガスシフト反応の促進作用があることが確認できた。石炭とタイヤを共液化することにより, 特にニッケル触媒存在下で炭素転化率が向上することを確認した。
  • 柳沼 力夫, 森谷 信次, 佐藤 良和, 児玉 大輔, 田中 裕之, 加藤 昌弘
    2001 年 44 巻 6 号 p. 401-406
    発行日: 2001/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    メタノールと油からなる2成分系不均一溶液にエーテルを添加することで均相化できた。エーテルとしては, メチルターシャリーブチルエーテル (MTBE), エチルターシャリーブチルエーテル (ETBE), ターシャリーアミルメチルエーテル(TAME), テトラヒドロフラン (THF), テトラヒドロピラン(THP), および1,4-ジオキサンの6種を選び, エーテル/メタノール/軽油, エーテル/メタノール/大豆油, およびエーテル/メタノール/菜種油系混合物について298.15Kでの溶解度曲線を得た。さらに, エーテル/アルコール/軽油系混合物の着火温度挙動を観察した。ディーゼルエンジン用の代替燃料には, テトラヒドロフラン (THF) 混合物が最も優れた性能を示した。
  • 松村 幸彦, 李 大寅
    2001 年 44 巻 6 号 p. 407-410
    発行日: 2001/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    Ethanol production from sweet sorghum in China was investigated for three cases: 1. Conventional fermentation, 2. Fast fermentation, and 3. Fast fermentation with hydrothermal hydrolysis of horocellulose. Sweet sorghum production in the present corn field in Jilin province will produce 7.1 times as much energy as gasoline used in Shanghai. Fast fermentation is effective for reducing cost of ethanol production. Hydrothermal hydrolysis further reduces the cost by increasing the amount of ethanol production.
  • 太田 晴也, 橋本 公太郎, 新井 充, 田村 昌三
    2001 年 44 巻 6 号 p. 411-412
    発行日: 2001/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    The ignition qualities of LPG with liquid hydrocarbons and a cetane improver were investigated. As a result, the cetane improver improved the ignition qualities of LPG fuels with liquid hydrocarbons more effectively than that of LPG alone. Also, LPG with 30wt% of some liquid hydrocarbons and 1wt% of a cetane improver showed an equivalent ignition quality to that of commercial diesel fuel.
feedback
Top