水素および窒素雰囲気中で, 一連のZSM-5触媒を用いて,
n-ペンタンから
i-ペンタンへの骨格異性化反応を検討した。典型的な二元機能触媒であるPt/H-ZSM-5触媒では, 反応温度270°Cで平衡転化率に近い高
i-ペンタン収率が得られた。H-ZSM-5とPt/SiO
2は単独では極めて低い異性化活性, 選択性を示したが, H-ZSM-5とPt/SiO
2あるいはPt/Al
2O
3を物理混合したいわゆるハイブリッド触媒はPt/H-ZSM-5に匹敵する高い反応活性, 異性化選択性を示すことを見い出した。イオン交換法により調製したPd/H-ZSM-5はPt/H-ZSM-5と比較して, 顕著に活性が低いが, Pdを含むハイブリッド触媒も Pt-hybrid 触媒と同じように高い異性化活性を示した。ハイブリッド触媒において, H-ZSM-5とPt/SiO
2の混合状態は反応活性, 異性化選択性に大きな影響を与え, 両触媒が緊密に接触している状態においてはじめて高い異性化物収率が得られることが分かった。また, 水素雰囲気において高い異性化収率を与える触媒でも窒素雰囲気では,
n-ペンタンの転化率は著しく低下し, 重合および重合物の分解が支配的となった。Pt/SiO
2とUSYあるいはモルデナイトよりなるハイブリッド触媒においても優れた異性化活性が認められた。これらの結果はスピルオーバー水素が酸点の再生, 反応物の活性化, および高い異性体収率を与えるための反応中間体の安定化などの面において重要な役割を果たしていることを示唆する。
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