石油学会誌
Print ISSN : 0582-4664
21 巻, 6 号
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  • 空筒反応器における反応
    冨田 忠義, 菊地 克俊, 坂本 隆幸, 柳沼 賢一
    1978 年 21 巻 6 号 p. 365-371
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    平均炭素数19.8のn-パラフィン, C7H16及びC6H6と水蒸気との反応について, 反応過程の速度論的取扱いを試みるために, 流通式の空筒反応装置を用い実験を行つた。温度900~1,000°C, 原料炭化水素の流量0.02~0.2g/min, 水蒸気/炭素2.9~3.4mol/g-atomの範囲で反応を行い, 各反応条件における生成物の収率を求め, 反応過程を考察した。平均炭素数19.8のn-パラフィンと水蒸気との反応について, 初期反応を経た後の反応過程を, 生成物相互の反応を仮定することにより速度式で表した。又炭化水素の種類によって生成物分布が影響される事が明らかとなった。
  • コバルトーモリブデン触媒による減圧残油の連続水素化分解
    小島 芳元, 清水 吉一, 近藤 輝男, 請川 孝治, 松村 明光, 坂部 孜, 八木 武郎, 山田 徹, 浜田 修司
    1978 年 21 巻 6 号 p. 372-379
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    原料油処理量10l/hrの粉末触媒懸濁床式重質油水素化分解試験装置により, 触媒としてCo-Mo-活性炭, Mo-活性炭またはCo-Mo-アルミナを用い, 反応圧力200kg/cm2, 反応温度440°Cおよび450°Cの条件で, ガッチサラン減圧残油の水素化分解を行い, 軽質油を好収率で得た。装置の連続運転が可能な反応圧力の下限は, Co-Mo-アルミナ触媒の場合, 反応温度440°Cで50kg/cm2, 反応温度450°Cで70kg/cm2であった。反応圧力の影響は, 圧力が低いほど脱金属率が低下し炭素質析出量が増加するが, 脱硫率は僅か低下するだけで生成油の軽質化はかえって促進されることが分かった。水素消費量は150~200Nl/kg•原料油であった。
  • 活性炭活性汚泥同時使用によるフェノール類含有廃水の処理
    寺田 清, 工藤 一至, 三戸岡 憑之, 横川 晃
    1978 年 21 巻 6 号 p. 380-386
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    廃水処理においては, 取扱いの容易さ, 再生•再使用の容易さなどのために粒状の活性炭が好まれるようになってきた。粒状活性炭は高度処理としての廃水処理に使用されることが多いが, その際活性汚泥による処理の後に使用されるのが通例である。最近, 活性汚泥に粉末活性炭を添加して実施する廃水処理に関する研究が行われ, その優れた処理効果が発表されるようになった3)
    活性炭と活性汚泥とを同時に使用する廃水処理においては, 活性炭として粒状のものを使用しても類似の効果が得られると考えられるが, この場合使用済活性炭を活性炭と活性汚泥との混合系から分離•回収することが困難である。
    著者らは, 赤泥を混和したアスファルトから製造した磁石に磁着する粒状活性炭 (感磁性活性炭) を活性汚泥に添加した混合系を使用して, フェノール類含有廃水処理を検討した。感磁性活性炭は磁石を用いることによって活性汚泥との混合系から容易に分離•回収された。
    まず, 活性炭の添加量および活性汚泥の使用量を種々変化させて, それらの最適使用条件を探索した。その結果, 活性炭添加量としては1,000mg/l, 活性汚泥使用量としては全水溶液に対して50%が適当であることがわかった。
    活性炭と活性汚泥とを同時に使用する方法〔(AC+AS)法〕は, 活性汚泥単独処理法〔(AS法)〕および通常の高度処理法である活性汚泥処理後活性炭処理法〔(AC after AS)法〕のいずれよりも優れた処理方法であることが確認された (Fig. 5)。
    使用済活性炭は, 活性汚泥中でかくはん•ばっ気することによって再生されることが明らかになった (Fig. 7)。
    同一の活性炭を繰り返し使用した場合, (AC+AS) 法の処理能力は2回目の処理においては低下した。しかし, それ以降においては処理能力の低下はほとんど認められなかった (Fig. 9)。
  • 森田 弥左衛門, 小暮 幸全, 野村 明
    1978 年 21 巻 6 号 p. 387-390
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    石油中の窒素含量をマクロケルダール法で測定する場合, 有害な水銀を使用しないで分解する諸条件について研究し次の結果を得た。
    1) セレン, 水銀, および銅の触媒効果は, 石油の場合でも従来から認められている傾向と同じである。
    2) 残存硫酸に対する触媒添加量の比, すなわち最終触媒比が測定値に大きな影響を与え, それが1~1.3の範囲にあれば有害な水銀を使用せず硫酸銅触媒でも良好な結果が得られる。
    3) 分解処理を2段階に分け, 1段目で硫酸と過酸化水素を併用して分解し, 2段目で硫酸カリウムを加えれば硫酸銅触媒も必要とせず, また大過剰の硫酸も使用する必要がない。
  • 森田 弥左衛門, 野村 明, 小暮 幸全
    1978 年 21 巻 6 号 p. 391-394
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    石油中の微量な含窒素化合物を濃縮する方法として, シリカゲル吸着法および硫酸抽出法における諸条件について検討し次の結果を得た。
    1) 吸着濃縮法に使用するシリカゲルの細孔直径は窒素分の回収率に大きな影響を与え, 軽質油から重質油の広範囲の試料油に対してはおよそ60Åの細孔直径をもつシリカゲルが適している。そしてこのシリカゲル1g当たりの試料保持量は, 試料油の性状に関係なく吸着性成分量として約0.1gである。
    2) 抽出法においては, 使用する硫酸の濃度がもっとも大きな影響を与え, 石油の全領域に対しては濃硫酸が適している。
  • 小暮 幸全, 森田 弥左衛門, 野村 明
    1978 年 21 巻 6 号 p. 395-398
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    石油製品中に存在するppmレベルの微量窒素含量を測定するため, シリカゲルによる吸着濃縮法と自動デュマ法の組合せについて検討し, 次の結果を得た。
    1) 吸着濃縮に使用するシリカゲルの平均細孔直径は空試験値に大きな影響を与えるが, 100Å以下の実用範囲のものでは大差がない。
    2) 吸着濃縮法を併用すると, 不完全燃焼ガスの生成の原因になる炭化水素類が除去されるため, 低窒素含量の石油留分でも良好な測定値が得られる。
    3) 吸着濃縮の条件さえ適していれば, 本法の繰返し精度は比較的良好で, とくに自動デュマ装置の条件を変更する必要はない。
  • 中村 悦郎, 小口 勝也, 若林 孟茂, 中山 哲男, 坂部 孜
    1978 年 21 巻 6 号 p. 399-404
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    カナダアサバスカ地区の露天掘りにより得られたオイルサンド重質油2試料, コールドレイク地区の油層内回収法の2試料およびベネズエラオリノコ川北岸のオイルベルト地区の2試料について, その性状を明らかにした。
    その結果, いずれの試料も重質で, 減圧残油分が50wt%あるいは60wt%以上を占め, N, S, V, Niの含有率は高く, とくにベネズエラの試料は重金属および残留炭素の含有率が高い。さらにいずれの試料の減圧残油のマルテン中の芳香族の構造はほぼ同一と考えられ, 平均構造として, 芳香族環3~4およびナフテン環2~4個からなる縮合環を形成し, その週辺に炭素数3~4個からなる側鎖が6~10個付加していることが推定できた。
  • 藤元 薫, 亀山 正隆, 功刀 泰碩
    1978 年 21 巻 6 号 p. 405-409
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    担持白金族金属触媒に吸着した一酸化炭素の水素化反応をIR及び昇温反応脱離法で観察し, 各金属間の水素化活性及び担体の効果さらには一酸化炭素の吸着状態の違いによる水素化反応性の違いを検討した。金属の活性序列はRu〓Rh<Pd<Pt<Irの順となり, 一酸化炭素と水素の反応に対する触媒活性序列と一致した。同一金属ではシリカを担体とした場合よりアルミナを担体とした場合の方が高活性であった。アルミナ担持Ru及びRh触媒上においてブリッジ型, リニアー型, ツイン型の一酸化炭素吸着種が認められブリッジ型の吸着種が速かに水素化された。二酸化炭素生成経路に低温でのシフト反応と高温の不均化反応の2種あることを確認した。
  • 石井 康敬, 的場 康浩, 伊藤 寛, 六車 明久, 小田 一彦, 小川 雅弥
    1978 年 21 巻 6 号 p. 410-414
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    シクロペンタジエンとブタジエンの Diels-Alder 反応により得られる種々の二量体を, 金属酸化物を触媒に用い過酸化水素を酸化剤とするエポキシ化反応を試みた。その結果, 既に報告されている有機過酸や酸素を酸化剤とするエポキシ化法とは異なった選択性を示すことが明らかとなった。即ち, VCH, VNBではビニル基にエポキシ化反応は起こらず, THIでは五員環が六員環よりエポキシ化が優先的に起こった。DCPでは有機過酸での選択性と逆の結果を示し, 触媒を用いる過酸化水素酸化では二重結合に対する選択性が顕著に現われた。これらの選択性の違いは, 遷移状態でのエポキシ化剤と基質の立体的効果が有機過酸に比べ大きいためと考えられた。
  • 中井 成人, 岩瀬 省治, 石井 康敬, 小川 雅弥
    1978 年 21 巻 6 号 p. 415-419
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    シクロペンタジエンとブタジエンの Diels-Alder 反応により種々の二量体が生成する。これら二量体のビニル基, シクロペンテン環およびシクロヘキセン環へさらにジエンが付加して得られる三量体の立体構造とその13C-NMRについて検討した。ジエンの付加とその方向はいずれの場合においても, 二量体の二重結合の反応性と付加における立体因子により大きく影響された。ビニル基への付加は遷移状態において立体障害が少ないため付加方向の異なる2種の異性体を与えた。シクロヘキセン環への付加においても同様であった。一方シクロペンテン環への付加は, この環がシクロヘキセン環に比べて rigid な構造に固定されているため一方向からのみ起こった。
  • 三木 康朗, 山田谷 正子, 大場 昌明
    1978 年 21 巻 6 号 p. 420-424
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    12.5wt% MoO3-Al2O3, 3.5wt% CoO-12.5wt% MoO3-Al2O3および3.5wt% CoO-Al2O3触媒を用いてイソオクタンの水素化分解反応を行い, 反応の選択性および反応機構を調べた。反応は高圧流通式反応装置を用い, 水素圧50 atm, 温度350~400°Cで行った。触媒は反応に先立って水素で450°C, 12時間還元処理, あるいは還元後10% H2S-H2混合ガスで450°C, 1時間硫化処理した。還元した触媒を用いたときの生成物分布をTables 1および2に示した。モリブデナ-アルミナ触媒上では分解反応によるイソブタンの生成と, 脱メチル反応によるメタン, 2,2-ジメチルペンタンおよび2,4-ジメチルペンタンの生成が主として起こった。コバルトを含む触媒ではメタンおよび2,2-ジメチルペンタンの生成率が増大し, イソブタンおよび2,4-ジメチルペンタンの生成率は減少した。Tables 3および4には硫化した触媒を用いたときの生成物分布を示した。モリブデナ-アルミナ触媒とコバルト-モリブデナ-アルミナ触媒とでほぼ等しい転化率および生成物分布が得られた。この場合の主反応は分解反応で, そのほかに異性化反応および脱メチル反応が起こった。脱メチル反応では2,4-ジメチルペンタンが主として生成し, 2,2-ジメチルペンタンは少なかった。以上の結果および前に報告6)したモリブデナ-アルミナ触媒の表面酸性度の測定結果より, イソオクタンの水素化分解反応の機構を考察しFig. 2に示した。2,2-ジメチルペンタンはイソオクタンのラジカル的な脱メチル反応によって生成し, イソブタン, 2,4-ジメチルペンタンおよびオクタン異性体はイオン的な反応によって生成すると考えると, 実験結果がよく説明できた。
  • 石油学会製品部会試験分析分科会重油中の金属元素分析
    1978 年 21 巻 6 号 p. 425-432
    発行日: 1978/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    重油中のニッケルおよびバナジウム分試験のための標準試料を作製するため, その基礎となる試験法の検討を行った。小委員会で現行石油学会規格を含めて試料の炭化•灰化法, バナジウム標準試薬の検定, 溶媒希釈による直接原子吸光法等の検討を行い, これらの結果をもとに試験条件を定め, 照合試験を行った。その結果, 分析精度は現行石油学会規格法が最もよかった。また, ニッケルの灰化温度はバナジウムの場合と同じく525°C±25°Cに低下できることがわかった。原子吸光法によるバナジウムの分析は感度が低いこともあり, 精度が悪かった。53年度は標準試料の作製およびその標準値の決定のための照合試験を実施する予定である。
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