環境科学会誌
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23 巻, 6 号
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一般論文
  • 三木 暁子, 中谷 隼, 平尾 雅彦
    原稿種別: 一般論文
    2010 年23 巻6 号 p. 447-458
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/12/14
    ジャーナル フリー
    消費者の環境配慮行動の指針となる情報を提供するために,消費者にとって身近であり,なおかつ,利用形態によって環境負荷物質排出量が変化しうるものとして飲料水をとりあげ,ライフサイクル評価を用いたシナリオ分析を行った。まず,利用する飲料水は水道水かペットボトル飲料水か,ペットボトル飲料水を消費した後に空になったペットボトル容器をどのように処分するのか,などといった消費者が実行しうる飲料水の利用形態によって異なる要素を列挙した。併存しない要素同士を,「飲料水の生産・流通」「水質改善処理/飲料水の販売」「飲料水の保存」「飲用容器の使用」「ペットボトルの処分」という5つのステージに分類した。各ステージから1つずつ要素を選択し,モジュールとして組み合わせることにより,飲料水の利用形態を消費者視点の「飲料水利用シナリオ」として可視化した。次に,飲料水利用シナリオにて利用される5種類の飲料水(水道水,国産500mLペットボトル飲料水,輸入500mLペットボトル飲料水,国産2000mLペットボトル飲料水,輸入1500mLペットボトル飲料水)および3種類の飲用容器(ガラスコップ,水筒,ペットボトル)を対象として,ライフサイクル評価を行った。評価項目は二酸化炭素(CO2),メタン(CH4),および亜酸化窒素(N2O)の3種類の温室効果ガスとした。機能単位を任意の体積の飲料水の消費とし,積み上げ法を用いてモジュールごとに温室効果ガス排出量を算出することにより,各モジュールの温室効果ガス排出量を飲料水の体積の関数として表し,さまざまなシナリオにおける任意の体積の飲料水利用に伴う温室効果ガス排出量の評価を可能とした。さらに,この評価結果を用いて,特定の状況や嗜好を持った消費者へ提供する情報とするため,それらに合致したシナリオを抽出し,温室効果ガス排出量を比較した。
  • 杜 平, 下ヶ橋 雅樹, 寺田 昭彦, 細見 正明
    原稿種別: 一般論文
    2010 年23 巻6 号 p. 459-466
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/12/14
    ジャーナル フリー
    土壌中でのベンゼンの拡散と吸着は,その土壌中挙動を決定する主たる因子である。したがって,土壌中のベンゼン輸送を表現する数理モデルにおいては,この拡散プロセスと吸着プロセスを十分に考慮する必要がある。本研究では,まず,土壌中気相,および液相の拡散とともに,液固吸着を考慮した黒ボク土と砂中でのベンゼン移動を表現する数理モデルを,上部に空間を有するフラックスチャンバー実験装置を用いた実験結果をもとに作成した。ここでの黒ボク土,および砂に対するベンゼンの液固吸着係数は吸着実験により決定した。その結果,作成した数理モデルは湿潤状態の黒ボク土,および砂中のベンゼン挙動を十分に予測できた。さらに,乾燥状態下で液固吸着を考慮することの妥当性を,水分含量の低い砂(含水率=0.4%)を用いた実験をもとに検討した。その結果,このような含水量の低い砂でのベンゼン輸送の数理モデルにおいては,ベンゼンの気固吸着の考慮が有効であることがわかった。
短報
  • 杜 平, 下ヶ橋 雅樹, 寺田 昭彦, 細見 正明
    原稿種別: 短報
    2010 年23 巻6 号 p. 467-475
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/12/14
    ジャーナル フリー
    本研究では,異なる物理学的性質を有する2種類の土壌(ここでは砂と黒ボク土を対象として取り上げた)から大気へのベンゼン放散の特性を,土壌汚染サイトを模倣するフラックスチャンバー(30.0×17.5×39 cm)を用いて実験的に調査した。実験では,チャンバー中に上記の土壌を充填し,空気をそのヘッドスペースに流通した。様々な条件下でヘッドスペースのベンゼン濃度を測定することにより,ベンゼンの土壌から大気への放散速度を評価し,その特性解析を行った。結果として,砂および黒ボク土ともに水分の増加に伴うベンゼン放散速度の低下が確認された。一方,ベンゼンの放散は土壌中のベンゼン含有量によって影響を受けたが,その速度は砂あるいは黒ボク土にかかわらず,水を用いたベンゼン溶出試験を行うことにより測定される溶出ベンゼン量によって説明することができた。さらに砂に関しては,換気回数3.8 から11.4 hr-1の範囲で空気流量を変動させた実験を実施し,換気回数の増加に伴う放散速度の上昇を確認した。また黒ボク土に関しては,20から40℃の範囲で温度を変化させた実験を実施し,温度変化に伴うベンゼン放散速度の上昇を確認した。
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