特殊教育学研究
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13 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 青山 ゆり子, 賀来 慶子, 多田 理子, 舘江 峡子
    原稿種別: 本文
    1975 年 13 巻 2 号 p. 1-11
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    この調査の目的は、1)外界認知能力を指標として重度精神薄弱者の能力を評価することが出来るかどうか、2)外界認知能力の変化量と他の2つの能力(身体能力、日常生活能力)の変化量との間に比例関係があるかどうかの2点を検討することであった。ここでいう外界認知能力とは、外界の刺激を認知し、それに対し積極的に働きかける能力と定義される。調査の結果、外界認知能力が重度精神薄弱者の能力を評価する指標となること、及び外界認知能力の変化量が大きいほど他の2つの能力の変化量も大きいことが明らかになった。このことは重度精神薄弱者の能力を把握する際に外界認知能力が重要な指標となることを示すものである。従って、いかにしてこの外界認知能力の発達を促すかという方法を検討することが今後の問題として残されたといえよう。
  • 池田 由紀江
    原稿種別: 本文
    1975 年 13 巻 2 号 p. 12-22
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    ダウン症候群を染色体核型によりトリソミー型、転座型、46/47モザイク型の三群に分類し、それぞれ100名、12名、10名計122名を対象として(1)精神発達検査、運動発達検査、(2)身体計測(身長、体重、頭囲)(3)発育歴の調査を行ない、その発達の特徴を比較した。1.精神発達指数ではトリソミー型平均、DQ52.3転座型58.5、モザイク型61.8であった。モザイク型はトリソミー型、転座型と比較して有意(5%水準)にすぐれていた。また運動発達指数においては、トリソミー型平均MQ55.1、転座型58.7、モザイク型87.2であり、モザイク型は有意にすぐれていた。2.ダウン症候群の身体発育は同年齢の普通標準値より著しくおくれており、-1SD以下に属する者の割合いは身長では、71.7%、体重では50.2%、頭囲80.5%で、特に身長と頭蓋の発育のおくれが著しかった。しかし体重は標準値に近い者が多く、相対的体格を表わすカウプ指数ではほとんどの者が正常以上の範囲にあった。また、染色体核型別での比較ではトリソミー型、転座型、モザイク型の差はほとんどみられなかった。3.こどもの発育歴を親より聴取し、いくつかの項目について比較した。モザイク型は他の二型に比して首のすわりの時期、始歩期、始語期にてより早い発達を示した。
  • 高橋 真由美, 須藤 貢明, 小川 仁, 谷 俊治
    原稿種別: 本文
    1975 年 13 巻 2 号 p. 23-34
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    言語の超分節的側面は言語認知にとって、重要な役割を果していると考えられる。この研究では、1.聞きやすさに対して心理的な尺度があるかどうか、2.心理的な尺度はどのような超分節的側面で客観的に表わされうるか、3.音韻が伝える意味の分節と、超分節的側面は対応するかどうかを求めることによって、聴覚、言語障害児に与える言語刺戟のなかに超分節的側面を含める必要があるかどうかを考察することを目的とした。読みのうまさの異なる8人の読み手の10分間の音読を、聞き手に聞きやすさについて一対比較で判断させ、音群、休止、基本周波数の分析、および句構造と休止の関係を測定した。その結果、心理的な聞きやすさと超分節的な側面との対応は高く(rs=.95)また、超分節的側面は意味の符号化を容易にしていると考えられた。よって、超分節的側面を考慮に入れた言語刺戟の与え方をする必要があると考え得た。
  • 遠藤 眞
    原稿種別: 本文
    1975 年 13 巻 2 号 p. 35-42
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    成人性吃音者の治療にDAFを応用した際に実施したDAF残効に関する検査を資料にDAF残効とDAFスピーチの特徴との関連を分析した。その結果、速度を遅くしさらに呼気もひきのばす話し方によって非流暢性を抑制したDAFスピーチはDAF除去直後のNAFにおける流暢性を改善するのに極めて有効であった。呼気のひきのばし経験後に呼気のひきのばしをやめまたは遅延時間を短縮してDAFスピーチを話しやすくした場合には、DAFスピーチはなめらかになったがDAF除去後の流暢性は改善されなかった。すなわちどもらない快的なスピーチ経験だけではDAF除去後の流暢性は改善されない。呼気をのばす遅い話し方のDAFスピーチが有効だったのは、(1)意図的にことばの表出を遅らせてどもらない経験なので時間の圧力に対する耐性を強化、(2)どもらないとは言え話しずらいスピーチなのでNAFへの転換時の解放感が大きく、これがこの過程で誘発されやすい不安を抑制したと考察。
  • 菅井 邦明
    原稿種別: 本文
    1975 年 13 巻 2 号 p. 43-48
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究においては、(1)重度心身障害児の言語行動の学習過程を観察し、(2)言語行動形成における動作的対応のもつ意味を検討した。その結果ある重度心身障害児の言語指導を通して言語行動の学習過程を観察することができた。また音声言語行動の習得が早期に困難な重度心身障害児においても、早期からの動作的対応による言語訓練によって意志伝達が可能であり、また思考形成も可能であることが観察された。
  • 林 宝貴
    原稿種別: 本文
    1975 年 13 巻 2 号 p. 49-62
    発行日: 1975/12/15
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    特殊教育先進国における聾児言語指導は医学・心理・教育・工学など諸科学の発達の影響下で、口話法・聴能訓練を改善促進して著しい効果をあげているにも拘わらず在学中の聾唖生及び社会人としての聾唖者は、依然手話を交信の主な手段・又は補助手段として偏重している。最近特殊教育先進国の教育・心理学界の学者達も手話の存在価値を見直し再評価しようという傾向があり、僅かながらも、それに関する実験調査の報告が出ている現状にかんがみ、手話を言語指導上の補助手段として位置づけ、より合理的な手話の整理・研究を行なうための先行調査研究として、アメリカ・日本・中華民国(以下台湾と省略する)の手話法について比較研究を試みたい。
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