障害の重い人達の労働権保障の場として、また学校卒業後の進路先としての精神薄弱者授産施設の利用者が近年、急増している。この授産施設の労働とその指導についての組織化の現状を、教育的対応の視点から明らかにすることを目的に質問紙法による調査を行った(回収率は入所70.5%,通所71.6%)。調査内容は、中心的な作業種目の作業内容や作業の形態とその指導等についてである。その結果、作業種目は企業からの下請け作業が多いが、運営・指導の方針から導入しているのは入所46%、通所33%の種目に留まっている。作業内容については授産施設における一般的特徴が明らかになったが、施設形態(入所,通所)、受注形態(下請け作業,自主生産作業)による相違点も多い。また、作業の形態とその指導については施設形態に規定されることが多い。この結果は利用者の重度化、ニーズの多様化が指摘されている中で、その教育的対応のあり方に示唆するものと考える。
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