北海道庁は観光振興によって地域経済を活性化すべく,平成19年度までに外国人来道者数を54万人まで増加させるという目標を定めたが,その達成見込みに関する実証的な検証はなされていない.本研究では,今後の外国人来道者数について統計的手法を用いて予測することによりこの目標値の妥当性について検証し,目標値はそう無理のない数値であることが判明した.さらに,外国人来道者数が増加した場合の経済的影響として,約600億円の生産誘発を生み出し,さらにそれは雇用を誘発して,北海道の完全失業率を0.3ポイント引き下げるという結果が得られた.
今後の高速自動車国道の整備手法の検討に際し,道路関係四公団民営化推進委員会での審議結果を受け,国土交通省道路局では,総合評価手法による手法の開発及び適用に係る検討を行った.
本稿では,総合評価手法の具体的内容についての紹介とともに,開発・適用作業を通じて明らかになった課題等について,総合評価手法のさらなる開発・適用に資するために実施した一連の研究結果を紹介する.
公共交通については,ニーズが多様化し,また,規制緩和が実施される中で,「目指す姿」を明確にし,民間・行政あいまって,住民にとって,より満足度の高いサービスの提供を目指していくことが重要である.本研究は,顧客主義の立場に立って,心理学の理論を踏まえながら,社会的価値を含め,多様化する顧客の価値の内容と構造を分析してみたものであり,これにより,顧客特性ごとに,重視度に関する意識を質的・構造的に把握することができた.この結果は,政策目標を指向した公共交通政策体系の構築,シェアード・アウトカムという考え方による各主体におけるサービス改善の検討に資するものと考えられる.
本稿では,首都圏鉄道網を対象とした実時間鉄道利用者流動推計システムについて報告する.本システムは,(1)利用者の時間的変動を扱っている,(2)電車の運行を1列車ごとの運行として明示的に直接表現している,(3)利用者を路線ごとではなく,首都圏の全路線を対象として出発地から目的地までの移動を一貫して扱っている,(4)利用者が乗車する電車の選択を利用者均衡配分問題として扱っている,という特徴を有している.本システムを利用して,(a)常磐新線の開通に伴う需要予測,(b)東急田園都市線でのピーク時の優等電車の廃止による輸送能力の変化,(c)利用者が混雑を回避する選好を持つときの利用状況の計算,のそれぞれについてシミュレーションを行った.
空港の経営において効率性を高めるとともに,公共サービスとしての公正性や,透明性,アカウンタビリテイを維持する枠組みとして,行政評価手法の導入が考えられるが,手段としての有効性を高める上で評価指標のあり方が問題となる.本論は,空港経営の枠組みを支援する評価手法を検討していく上での参考として,空港経営のサービスの質に対する評価に関する海外事例を紹介するものである.
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