運輸政策研究
Online ISSN : 2433-7366
Print ISSN : 1344-3348
7 巻, 3 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
研究
  • 藤井 聡
    2004 年 7 巻 3 号 p. 002-009
    発行日: 2004/10/29
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    交通ネットワーク整備をはじめとする様々な交通政策を実施する際に近隣住民の合意が得られず,それ故にその政策を実施できないという局面は年々増加しているものと考えられる.こうした合意形成の問題に対処すべく,本稿では,社会的ジレンマ(藤井,2003)の理論的枠組を用いて社会状況を捉えることで,人々が特定の政策に対して合意する傾向を促進できる可能性を,社会心理学的アプローチに基づいて探る.特に,行政手続きに対する公正感(i.e. 手続き的公正)と行政に対する信頼の重要性を指摘するとともに,それらの高揚を目指すためには計画の修正可能性を担保すること,そして,計画上の誤りが明らかとなった場合には行政側の謝罪が決定的な役割を演ずることを理論的に指摘する.

  • -ドイツの連邦長距離道路事業制度と比較して-
    室田 昌子
    2004 年 7 巻 3 号 p. 010-018
    発行日: 2004/10/29
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    我が国の公共事業での用地取得で特に難航化するケースで確認される「事業の必要性」や「自然環境への影響や土地利用の合理性」,「周辺の環境対策」への反対や不満について,ドイツの制度での住民合意の形成方法という観点から,連邦長距離道路の事業プロセス制度の分析を行った.ドイツでは,事業プロセスの段階ごとに決定理由となる根拠データが公開され,段階別に異なる合意形成方法が設定されていること,用地取得の正当性と効率性向上を図る上で計画確定手続きが重要な役割を担っていること,計画確定手続きは全ての利益を集中的に調整し,併せて排除効によって計画の安定性と効率化を図る仕組みであることを指摘し,我が国での計画確定手続きの導入の提案と課題を論じた.

  • -生コンクリート搬入車両への適用例-
    西宮 良一, 服部 尚道
    2004 年 7 巻 3 号 p. 019-029
    発行日: 2004/10/29
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    道路を利用して輸送を行う場合には,渋滞による輸送時間の変動や搬入先における荷卸し場所の混雑等により輸送に要する時間が正確に予測できないため,時間的に余裕を持った出発でこれをカバーしている.この結果輸送目的地周辺の路上で待機車両が発生している.本研究では,待機車両が工程管理上でも社会的にも大きな問題になっている建設現場への生コンクリート搬入車両を例にとりあげ,情報通信技術を活用した動的スケジューリング手法を提案した.さらにこの手法の有効性を検証するため,インターネット上で稼働する定時到着搬入システムを構築して,実証実験を通じてその有効性の検証を行った.

報告
  • -世田谷線の事例を通じて-
    太田 雅文
    2004 年 7 巻 3 号 p. 030-040
    発行日: 2004/10/29
    公開日: 2019/05/31
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,世田谷線を題材に,LRTや路面電車を活用した都市再生の可能性について論じることにある.高度成長期において路面電車が次々と廃止される中,世田谷線も旧玉電の支線として残された.しかしながら,成熟型社会の到来により,サステイナブルな社会の必要性が高まる今日,むしろ,地域からの愛着を得やすい世田谷線の位置づけは高まりつつある.本稿では,バリアフリー等公共交通としてのサービス機能の向上にはじまり,沿線地域との相乗効果を発揮すべく実施した,コミュニティとの協働型「フラワリング」やIC乗車券「せたまる」を活用した商店街振興策といった近年の取り組みを紹介することにより,今後,都市・交通政策や事業者のパラダイムシフトについて論じる.

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