本研究では,直行便および経由便の双方を考慮した総合的な航空ネットワーク・パフォーマンスの評価方法を提案した上で,日本の主要13空港に適用した.ここでは,航空ネットワークをダイレクト,インダイレクト,オンワード,そしてハブの4タイプのコネクティビティー(接続性)に分類し,経由便の質を定量化して理論上の直行便に転換することで,直行便の背後にある航空ネットワークの多角的な評価を行った.そして,日本の主要空港における航空ネットワーク・パフォーマンスの大きさや競争的地位を把握した結果,成田における航空ネットワークの多様性が明らかとなり,特に北アメリカ地域との間で強いネットワーク・コネクティビティーが確認された.
先般公表された国勢調査の都区部昼間人口は,夜間人口との比較から人口脱漏の可能性が高い.そこで昼間人口算出の原点にさかのぼり検討した結果,算出方法や年齢不詳者及び就業状況未回答者の増加によって,昼間人口が過小に表示されていることが判明した.このため,国勢調査の基本集計データとの整合性に留意しつつ,都区部を中心とした通勤通学者数と昼間人口の推計を行い,その結果をもとに2005年における昼間人口の都心回帰を明らかにするとともに,都心機能が港区を中心として都区部東南方向に展開しているなどの知見を得た.