運輸政策研究
Online ISSN : 2433-7366
Print ISSN : 1344-3348
20 巻
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政策研究論文
  • 北野 喜正
    2018 年 20 巻 p. 006-019
    発行日: 2018/03/23
    公開日: 2018/04/23
    ジャーナル フリー

    東京圏の都市鉄道は世界でも有数の利便性を誇る鉄道である.しかし,運賃は事業者ごとに設定され,乗継ぐ際には事業者別に計算した運賃を合算した併算運賃となり,シームレスなものとはなっていない.事業者ごとに初乗り運賃がかかるため割高となり,遠回りといった非効率な交通行動の一因となっている.本研究では割高な併算運賃を解消するため,現状を考慮し,よりシームレスな鉄道運賃を検討した.具体的には①現状分析から併算運賃の問題点を明らかにした.②この問題に対する国内外の取り組みを調査した.③改善案を作成しその効果を評価した.2事業者のケースでは採算性を確保しつつ,社会的厚生を増大できることを試算により明らかにした.

学術研究論文
  • 古屋 秀樹, 岡本 直久, 野津 直樹
    2018 年 20 巻 p. 020-029
    発行日: 2018/03/23
    公開日: 2018/04/23
    ジャーナル フリー

    本研究は,訪日外国人旅行者の訪問パターンの特性把握をGPSログデータを用いて行うことを目的とする.論文では,はじめに訪問地の組み合わせである訪問パターンの抽出にトピックモデルを用いることを説明するとともに,潜在クラス分析との差異を明らかにした.トピックモデルは教師データなしの機械学習(セグメンテーション手法)の1つと位置づけられ,セグメントの確率的導出過程が明示でき,セグメント相互が排他的でない特色を有する.分析では,訪日外国人向けナビゲーションアプリにより取得できたGPSログ情報を用いて,トピックモデルによって訪問場所の組み合わせパターンを幾つかのクラスに分類した.

報告論文
  • チャン ティアンタム, 竹林 幹雄
    2018 年 20 巻 p. 030-039
    発行日: 2018/03/23
    公開日: 2018/04/23
    ジャーナル フリー

    本稿ではベトナム南部の港湾を対象として複数港湾の効率的運営方法について考究した.特に,政府と港湾との垂直的協調の可能性について検討した.まず,非集計データによるベトナム荷主の港湾選択行動についてパラメータ推定を行った.次に同定した荷主モデルを用いて2港湾の競争状態における解を求めた.続いて港湾と政府のとの垂直的協調について検討し,その結果,垂直的協調を行う場合,政府補給金を伴う港湾費用引き下げ政策は港湾の拡張政策よりも有効である可能性があることを示した.

  • 安部 智久
    2018 年 20 巻 p. 040-048
    発行日: 2018/03/23
    公開日: 2018/04/23
    ジャーナル フリー

    経済活動のグローバル化の中で企業はサプライチェーンを構築し,国際海上コンテナ輸送はその根幹を支えている.今後懸念されるドライバー不足や輸送コストの削減のため,港湾と荷主を結ぶ背後輸送の効率化の機運が高まっており,その一手段としてコンテナのラウンドユースが期待されている.内陸部にドライポートを設け,より多くの荷主がラウンドユースに参画することがそのマッチングを高める手段として想定される一方,ドライポートの設置・運営や陸上輸送経路の変更,さらには輸出入コンテナ個数のインバランスに起因する追加コストも懸念される.上記を背景とし,本研究ではドライポートの運用形態を設定した上で,コンテナ流動の実績データを用いて荷主やトラック事業者等関係する主体ごとに,背後輸送の効率化の効果を定量的に試算した.

  • 加藤 博敏, 相浦 宣徳
    2018 年 20 巻 p. 049-060
    発行日: 2018/03/23
    公開日: 2018/04/23
    ジャーナル フリー

    国内の貨物輸送は,主に鉄道,トラック,海運によって行われている.この内,多くのトラックが長距離フェリーを利用しているが,この実態を一般的な貨物統計で確認することができない.また,旅客船として運航しているフェリーは,貨物輸送手段の特徴比較などで取り上げられる機会が少なく,貨物輸送手段として特徴などがわかりづらくなっている.本稿では,長距離ユニットロード輸送を担う長距離フェリー並びに他の輸送機関(鉄道,トラック,内航海運)の特徴や課題を整理するとともに,500km超の長距離輸送において,トラック輸送される貨物量の約15%相当が,長距離フェリーを利用した複合一貫輸送されていることを明らかにした.

紹介
書評
  • 板谷 和也
    2018 年 20 巻 p. 066
    発行日: 2018/03/23
    公開日: 2018/04/23
    ジャーナル フリー
    フランスの地方都市はここ20年ほどで大きな変貌を遂げてきた.まちの中心部では道路や広場が多くの人で賑わい,路面店も百貨店も魅力ある姿で客の来訪を待っている.かつては日本と同じようにまちのあちこちに駐車場があり,道路は自動車であふれていたにもかかわらず,今ではクルマでなく公共交通機関や自転車で気軽に移動でき,住民のみならず来訪者にも優しいまちが実現している.
  • 青木 真美
    2018 年 20 巻 p. 067
    発行日: 2018/03/23
    公開日: 2018/04/23
    ジャーナル フリー
    ドイツのフライブルグ在住のジャーナリスト村上敦氏は,これまでに多くのエネルギー政策やまちづくりについての著作を発表している.本書は,最近のわが国の公共交通や道路交通の状況に関して,このままでは日本の地域が崩壊するという視点から,ドイツにおけるまちづくりの取組みを紹介し,自治体の大胆な取り組みを求めている.国土交通省が2011年に発表した「国土の長期展望」では,2050年には日本の総人口は1億人を下回り,国土の7割近くの地域で,人口が半分以下になると予測されている.
  • 赤松 隆
    2018 年 20 巻 p. 068
    発行日: 2018/03/23
    公開日: 2018/04/23
    ジャーナル フリー
    本書は,Masahisa Fujita and Jacques-François Thisse,Economics of Agglomeration(Second Edit ion),Cambridge University Press, 2013の日本語版である.空間経済学・地域科学分野の2人の巨匠によるこの原著は,様々な空間規模(都市内・地域間・国際)における立地集積現象に関するミクロ経済学的理論を包括的かつ体系的にまとめた専門書である.原著の第一版は,2002年の刊行後すぐ,国際的に極めて高く評価され,この分野の研究者・大学院生必携の書であった.
  • 太田 勝敏
    2018 年 20 巻 p. 069
    発行日: 2018/03/23
    公開日: 2018/04/23
    ジャーナル フリー
    自動車交通システムの基本インフラとしての道路については新設整備から既存施設の再整備・維持更新と有効利用が重要となっている.そのような時代認識のなかで本書は,政策手段として「道路課金」と「交通マネジメント」に着目して,副題にあるように関連する技術革新を踏まえた「戦略的イノベーション」が求められるとした啓蒙書である.評者は都市交通計画の視点から,人流を中心に交通まちづくりの研究をしてきており,自動車交通については交通渋滞対策,大気汚染対策としてのロードプライシング,交通安全や居住環境の確保などから交通需要マネジメントTDM,総合交通管理TransportManagementに関心をもっている.
  • 寺田 英子
    2018 年 20 巻 p. 070
    発行日: 2018/03/23
    公開日: 2018/04/23
    ジャーナル フリー
    孫武の兵法書のなかに,「智将は努めて敵に食む」という教えがある.補給物資を輸送する後方支援(ロジスティクス)が大規模になればなるほど戦費が膨らみ,国家は疲弊する.よって賢いリーダーは自国から遠路はるばる物資を運ぶのではなく,敵地で調達すべし,という意味らしい.物資の保管と輸送の機能は相互に関係があり,一方の費用を削減しようとすると,もう一方の費用を増加させてしまう可能性がある.
  • 加藤 博和
    2018 年 20 巻 p. 071
    発行日: 2018/03/23
    公開日: 2018/04/23
    ジャーナル フリー
    まさに時宜を得た出版である.「低迷と混乱,そして変革」の時期にタクシー産業はあり,それをコントロールするべき政策も「迷走」を続けてきたと,本書は冒頭で指摘する.これらの原因として,タクシー産業・政策に関する「正確な情報」が利害関係者に共有されていないことを挙げる.身近にあるがゆえに分かった気になっているが,実際のところタクシー産業を俯瞰的かつ十分に理解している人はほとんどおらず,それが「タクシー政策が歪む」原因であると主張する.
  • 西井 和夫
    2018 年 20 巻 p. 072
    発行日: 2018/03/23
    公開日: 2018/04/23
    ジャーナル フリー
    今やインバウンドや観光立国と言った言葉は世の中に溢れんばかりであり,また観光圏整備や地域創生・活性化の議 論も国土計画レベルだけでなく地域・市・地区等エリアレベルのマネジメント論など多様であり,「観光(Tourism)」のもつ学際性や政策科学性が注視されている時代はこれまでにない.このような「観光」に関わるさまざまな諸相の中で,本書の著者らは,『観光交通ビジネス』と題して「観光交通」に携わる『業界』について,その発展経緯と現状を概説するとともに,これからの業界のあり方を展望することにより,観光学を学ぶ学生に対して「観光交通ビジネス」への関心と理解を深めてもらうことを意図したテキストとして位置づけている.
  • 山内 弘隆
    2018 年 20 巻 p. 073
    発行日: 2018/03/23
    公開日: 2018/04/23
    ジャーナル フリー
    本書は,インフラストラクチャーにかかわるすべてのものにとって必読の書である.少子高齢化,人口減少という社会構造の変化に直面したわが国において,経済社会の基礎たるインフラストラクチャーの在り方を再考し,将来に向けた最適な戦略を構築することが喫緊の課題である.本書は,この課題に対峙するものを原点に立ち返らせ,未来に向けた様々な示唆を与えてくれる.時代背景を的確に反映した啓蒙書である.
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