幹線旅客鉄道の需要予測における交通機関分担率の推定では,旅客が利用可能な全交通機関を選択肢として認知しているとの前提に立った非集計型の交通機関選択モデルが適用される.しかしながら,特に非業務目的のトリップの場合には,必ずしも利用可能な交通機関の全てを代替選択肢として認知していない旅客が多く存在する.そこで本研究では,トリップ調査に基づき旅客の嗜好性等が選択肢の選別プロセスに与える影響を表現する選択行動モデルと,このモデルによる分担率推定手法を開発する.更には,既開業の整備新幹線沿線の複数ODにおいて交通機関分担率の事後推定を行ない,実用的な精度で幹線鉄道の分担率が推定可能であることを示す.
海外のインフラ経営企業体は,競争力強化に向けて水平的・総合的に事業を拡充し,国際展開戦略を進めており,特に2000年代以降,新興国の市場開拓など積極的な活動を展開している.本論は,その台頭の背景や進化の態様,ビジネスモデル特性を分野横断的に分析するものである.これらの動きは,我が国のインフラ競争力や経済的地位等の面に影響を及ぼすおそれがあり,各モードでダイナミックな変化が進む中,我が国でも固有の環境・条件を考慮の上,「国内外での複数インフラの戦略的活用」との視点から,国際競争力強化の政策フレームワークを構築していくことが期待される.
コンテナ船の船型は,継続して大型化を続けている.各航路での新造船投入に加え,さらに,欧州航路等への1万TEU超の大型船投入が,既存船の連鎖的な転配により,他航路の大型化をもたらしている.一方,東アジアにおける日本発着コンテナ量の割合は相対的に低下してきており,この傾向が今後も続くものと想定される.このような状況の中で,日本のコンテナターミナルを,より効率的に整備・運営していくためには,寄港船の船型動向を把握する必要がある.本研究は,航路体系が大きく変化しないとの設定の下で,日本に寄港するコンテナ船の航路別の将来船型を試算し,長期的には各航路にて船型の大型化が見込まれるとの結論を得た.