公共事業の実施における費用便益分析の適用が広まるなか,評価の難しい非市場価値を精度よく推定できる方法が望まれている.仮想市場法(CVM)は非市場価値の計測に汎用的な適用性を持つといわれ,その適用事例が増えてきてはいるが,未だその精度に対する信頼性や適用可能性について十分な検討が行われているとは言い難い状況にある. 本研究では,高架高速道路が周辺景観におよぼす影響を例に取り,同一の調査方法をもちい,複数の評価対象と評価地域を設定してCVM調査を行った.この結果を報告するとともに,対象の特性や被験者の効用におよぼす影響の度合いが回答にどのように影響するかに着目し,CVM手法の適用性について検討した.
価格政策や補助政策を通じて交通機関をよりエネルギー効率の優れたものに誘導してゆくことは,今後さらに重要となってくるものと考えられる.このような政策を適正に推進するためには,インフラストラクチャーの整備水準の不足や需給不均衡と切り離して,交通技術のエネルギー消費に関する基本的な性格を認識する必要がある.本論文は,交通機関の支持・推進の力学と動力供給のシステムの性格を組み合わせ,基本的に要求される運用方法のもとにおけるエネルギー効率を比較したものである.
本論文は,「空港整備事業の費用対効果分析マニュアル」のとりまとめで議論された空港整備事業評価に特徴的な主要な論点,課題を紹介するものである.主要な論点・課題としては,誘発需要の推計方法,座席容量制約の取り込み方,空港間競合およびネットワーク効果の考慮,時間評価値の設定,増便等航空サービスの改善による効果,供給者便益の計測,環境負荷の影響の評価等が挙げられる.なお,巻末の付録にマニュアルの概要を紹介する.
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら