関西3空港問題は,関空伊丹法が国会で成立したことで,解決に向けて動き出した.しかし,この法律は,2空港を経営統合し,これにより関空の経営を改善して本来の機能を発揮させようとするものであるが,航空需要の拡大がないと,関西3空港問題をどこまで解決できるかは不確定要素が多い.3空港問題は,まず同法が予定するPFI事業者による2空港の運営が順調に動いてからのちの段階の問題であり,その段階まで見通して考察する必要がある.その場合,3空港の最大活用のための統一的運営を目指した神戸空港の統合には法制的難問が多い.関西広域連合による実施についても同様である.これらの経緯を追い,法制的に分析し,問題点を指摘する.
ドライバルク貨物を輸送するバルクキャリアが急激に大型化してきているが,我が国のバルク貨物輸入港湾の多くは高度成長期に整備されており,この流れに対応できていない.平成23年5月末に国際バルク戦略港湾が選定され,今後整備が進められることとなるが,東日本大震災の復旧・復興が優先される中では,整備完了までにはある程度の期間を要することとなる.そのため,整備完了までの間,既存施設において,安全性に支障がない範囲で,可能な限り大型のバルクキャリアを受け入れる必要がある.本研究では,以上の状況を踏まえ,潮位を有効に利用し,バルクキャリアの入港喫水を増加させるUKC予測・管理手法を提案する.
東日本大震災により,東京電力および東北電力管内の電力供給能力が著しく低下し,電力需要の高い2011年夏期には,政府による節電要請が下され,産業界や市民生活にも大きな影響を与えた.節電運動の一環として,時刻別の電力需要が公表されていることから,本分析では,節電実態について定量分析を行い,その効果を明らかにすることを試みる.具体的には,気温と電力需要の相関が極めて高いことから,時刻別の電力需要を推計する重回帰モデルを推定し,震災影響がなかった場合の電力需要を推計する.その推計値と,実績値を比較することにより,需要量減少の特性を考察した.結果から,ピーク時期(7・8月)では,当初の予定以上の15%を越える節電効果が認められた.またピーク分散効果についても,時刻別推計値の変動係数を算出することにより,その実績を確認することができた.