本稿では日本発着の外航RORO船による輸送の特徴をULD調査資料を基に明らかにする.さらに中国浙江省へのRORO船誘致の可能性を検討するため,輸送される貨物の特殊性を考慮し運賃の他輸送時間も勘案したフルコスト算定による評価を行った.対象としては近畿圏,首都圏発着のRORO船利用貨物とし港湾は博多港と若狭湾の港とした.その結果,博多港利用の輸入貨物のうち相当数が500km以上の陸上輸送を経た貨物であることがわかった.その結果,首都圏,近畿圏の貨物を若狭湾から通常のRORO船で輸送するためには,20%以上の大幅な運賃割引が必要であるがスピードボート導入により現行の博多港発着の運賃とほぼ同額で可能となることが示された.
タクシーに代表される人の個別的な移動ニーズに対応した自動車交通に係るサービス分野において,最近米国等で顧客と輸送手段とを簡便かつ効率的にマッチングすることを可能にする,IT技術を活用した新しいモビリティを提供するサービスが出現し,かなりの成長を見せている.この動きに対しては,利用者の支持を得る一方で,一部のサービスに対して既成運送秩序との摩擦も生じており,政策当局の対応も紆余曲折が見られるように,まだ解決すべき問題を抱えている.しかし,多様な人の移動ニーズにきめ細かく対応する新たなサービスの提供者の登場は,自動車交通分野におけるイノベーションとして積極的に評価できる.