東海道新幹線に長期不通が発生した場合,深刻な社会的損失が発生する可能性がある.なぜなら,東海道新幹線が分担する需要は大きく,かつ列車を迂回運転できる代替ルートが今のところ存在しないからである.本研究では,東海道新幹線の代替ルート構築による効果を,代替ルートが存在するネットワークにおける,長期不通に伴う社会的損失の緩和ととらえ,東海道新幹線を例としてケーススタディを設定し,定量的に評価した.その結果,東海道新幹線の代替ルートが存在する状況においては,存在しない状況と比べ,東海道新幹線が不通になった際の利用者流動の減少幅が小さくなることがわかった.
社会的損失は,いずれのケースにおいても緩和されることを明示した.特に実際の現金収受を伴う損失において,東海道新幹線と多くの結節点を持ち迂回時間が少ないケースでは,顕著に大幅な損失緩和となることが確かめられた.
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