効率的で環境にやさしい物流の実現のために,インターモーダル輸送が政策課題として着目され始めている.しかし,各国,各地域の政策目的,手段は異なっている.本稿では,EU,アメリカ,日本のインターモーダル・ロジスティクス政策を比較,分析する.
インターモーダル・ロジスティクスは,川上から川下までのサプライチェーンの最適なマネジメントおよび,混雑や環境上の問題を抱える多くの輸送手段の最適な利活用を目指している.本稿では,インターモーダル輸送を定義した後に,各国の同輸送分担率を比較した.さらに,各国のインターモーダル・ロジスティクス政策の目的,手段における類似点,相違点を明らかにした.その際,EUのマルコポーロ・プログラム,アメリカのインターモーダル結節点・プログラム,インターモーダル情報システム・プログラム,日本の都市,地域,国際ロジスティクス政策を検討し,それら政策実施の経験からの教訓をとりまとめた.
セミトレーラ連結車を利用した国際海上コンテナの国内陸上輸送においては,総重量が車両制限令の一般的制限値を超える重量コンテナや高さ9’6”の背高コンテナに関してまだ通行上の課題も多い.また,国際海上貨物の効率的な輸送を実現するための,港湾と道路の連携を考慮したプロジェクトの評価にあたっては,大型車両の通行上のボトルネック等も勘案したフレームで検討を行う必要がある.そこで本研究は,通行制限に関する制度や現状について整理し,輸送ネットワーク上における通行不能箇所を抽出して海上コンテナ用セミトレーラ連結車の通行可能ネットワークを車種別に作成したうえで,これらボトルネックの解消効果の試算を行うものである.
当研究では過疎地域において自治体がバスサービスをどの程度まで提供すべきなのかについて論じる.過疎地域では民間企業が営利的にサービスを提供することが困難であり,公平性の観点から,自動車を利用できない人の足を確保するため自治体バスが運行されている.ところが財政上の問題から,際限のないサービス提供は不可能であり,何らかの歯止め,あるいは政策を評価する基準が必要である.本研究ではこの問題に対処する現実的なアプローチの1つとして選択型コンジョイント分析を利用し,地域住民の望む自治体バスのサービスとは何か,そして住民はそのサービスに対してどの程度の支払意思額を持つのか推定した.