卵巣の発育分化過程や組織由来を検討し, 以下の結果を得た.
紅織学的所見 : 新生期以後ではgerm cellは認められず, 生後7日目に原始卵胞の他に第二次卵胞が出現した.第三次卵胞, 第一次間質腺は生後14日目前後から出現した.卵細胞直径は卵胞の発育と共に増大し, 第三次卵胞で頂点に達した.胞状卵胞, 閉鎖卵胞, 第二次間質腺は生後21日前後から出現した.卵胞の閉鎖過程より, 第二次間質腺細胞は内膜細胞に由来するとの結果を得た.
組織化学的所見 : 生後3日目, 7日目頃の原始, 第一次, 第二次卵胞上皮に強いLDH活性をみたが, G-6-PDH活性は極めて弱かつた.しかし第三次卵胞でG-6-PDH活性の増加がみられた.
このことから小卵胞上皮の糖代謝は嫌気的解糖系が主体をなすと推察された.間質細胞, 内葵膜細胞ではつよい3β-HSD, G-6-PDH活性の他に脂質顯粒を証明できた.
Autoradiograph所見 : migration法より卵胞, 内莢膜細胞, 第一次間質細胞は未分化間質細胞に由来することを明かにした.pulse labeling法により,
3H-thymidineは第一次間質腺には取り込みがあつたが, 第二次間質腺では取り込みが見られなかつた.卵巣結合織の増量は間質細胞のとり込みが経令的に減少するので必ずしもin situ mesenchymの増殖に基くものではないと推測された.
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